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『慈愛の王妃 アゼリア物語』 〜なんで本の主人公に!?こんな本、ぶっ壊してやるっ!〜  作者: てちてち


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「私を婚約者ですって?ふざけないで!誰がアンタみたいな変態と婚約するもんですかっ!ミザリーにお金と引き換えに私と婚約させると言われたんでしょ!?どうなの!?」


 私にちょん切ると言われ股間を押さえるように蹲ったバーナピーは、消えそうな声で「はい…、そうです…」と答えた。


「アンタ…っ」裏切られたミザリーは、ギリギリ奥歯を噛みしめた。


 これでめでたく三発目も決まったわ。


「この先、また女の子を拐って同じことをしたら許さないわ。もうしないと言うなら“私は”何も言わない。いいわね?」


 バーナピーは何も言えず、何度も頷くだけだった。


「さて、トビー?あの人誰だか知ってる?」


 バーナピーの後ろで、顔を青くして立っている男の人を指した。


「いいえ?どなたですか…?」トビーは首を傾げ、真っ直ぐ男の人を見つめた。


「トビー?もしかしてトヴァイアスなのか…?」男の人はトビーの横に来て、膝を着いた。


 トビーの手を取り「大きくなって…」と目から涙をこぼした。


 口を開けて戸惑うトビーを見て私は「トビーの本当のお父さんよ」と教えてやる。


 ちょっとしたサプライズだ。


「僕の父上!?本当に!?」驚くトビーを、名をトーマスさんと言う父親は優しく抱きしめた。


 このトーマスさんは、バーナピー家で侍従見習いをしていた。20代半ばで見習い。どんな扱いを受けていたのか、分かるってものよね。


 トビーのお父さんがバーナピー家にいるのは分かっていた。誰かまでは書いてなかったから、ジェロームに調べてもらったの。


「ああ、そうだ。私がトヴァイアスの父だ。ずっと探していた。やっとこの手に抱くことが出来た」二人を並べるとそっくりだ。


「顔が良く似ている。間違い無いようだ」とお祖父様が言ってくれた。私もそう思う。


「ありがとうございます。あの女に騙されていたのですね…」トーマスさんがミザリーを睨む。


 ミザリーの方は、トーマスさんを見ようともしなかった。


「何があったの?」私が聞くと「いいえ、もう良いのです。こうして息子に会えただけで…」と、トビーを抱きしめたまま離そうとしない。


 トビーも嬉しそうだから、良いか。




◆◇◆◇◆◇



「バーナピー卿、あなたにはミザリーと結婚してもらうわね?おめでとう」


 ミザリーが私に食って掛かる。「なんで私がこんなヤツと!絶対イヤよ!」


 あれ、もう麻痺が切れちゃった。


「あ゙?あんたに拒否権なんか有るわけ無いでしょ?どの口が言ってんのよ。アンタ達、クズ同士でお似合いよ」


 冷めた目でミザリーを見ると「この…ルイ!こいつを殺しなさい!」


 壁際に立っていた騎士が一人、剣を抜いて私に斬り掛かった。


 それをお祖父様が腰の短剣で弾き、一歩前に出てルイの鳩尾に「フンッ」と拳をめり込ませた。


「ウッ……」とお腹を押さえながら床に沈んだルイ。


「ヒューイ、弛み過ぎではないのか?」ギロッとお祖父様に睨まれたヒューイは飛び上がり、ヒュッと空気を喉から漏らす。


「つ、連れて行けっ!」ヒューイの一声で、他の騎士達がルイの体を拘束した。


「ミザリー…」ルイが助けを求めるが、自分は関係ないとでも言うように、ミザリーはそっぽを向いた。


 どこまで行っても情けない女だ。


 これで子飼いも始末できたわね。




◆◇◆◇◆◇



「トビー、包帯を全部取ってくれる?」トーマスさんと抱き合っている所に申し訳ないが、手を貸してもらう。


 全ての包帯を外し、ドレス姿で立ち上がって見せる。


「あっ…あんた、ケガは?」ミザリーが私に話し掛けてくるが、私は無視した。


 胸に下げている三日月のペンダントを、全員に見えるように掲げた。


「公爵家次期当主として告げます。バーナピー卿とミザリーの婚姻を認める。そして、ミザリーの借金白金貨3枚分を、バーナピー卿に肩代わりしてもらいます。出来るわよね?闇奴隷商を“あなたが”営んでいるんだから。お金ならたっぷり有るでしょ?」


「なぜ…それを…」まさに顔面蒼白。


 あー面白い。


「商売も畳んでもらう。また始めたら容赦しない。言う事を全て聞くなら“私は”黙る。どうする?」


 たかだか8才の娘に凄まれて、ガタガタ怯える三十路男。


 バーナピーは「分かりました。全て言う通りに致します。どうかお許しを…」やっと観念したのか項垂れた。


「じゃあ、そのゴミ持って帰って。あ、ミザリー。盗んだ母の私物は全て返してもらいます。それと、私を殺そうとした事は、ここにいる全員が見ていた。もし逃げたり、また私の命を狙うようなマネをしたら、命で償ってもらう。忘れないでね」


 すると、手に持っていた三日月がポワンと輝き、一粒の光がミザリーの額に着いた。


 額のド真ん中にでっかいホクロのような、丸くて真っ黒の円が描かれた。


 ピコンッ《鑑定:呪縛の一種 他人に悪意を持つと鋭い痛みが走る 反省するまで痛みは続く》と出た。


「呪いを付けたわ。他人に悪意を持つと痛みが走るって。良く反省しなさいね?」


 教えてやる必要は無いけど、罰があった方が良いもんね。






 ふふん、ざまぁみろ。






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