表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『慈愛の王妃 アゼリア物語』 〜なんで本の主人公に!?こんな本、ぶっ壊してやるっ!〜  作者: てちてち


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/11

08 



「お前は婚姻制度も理解しておらぬのか。何と間抜けな女だ」お祖父様が呆れて、言葉を吐き捨てた。


「アーチーとあなたが婚姻を結ぶには、アーチーがフリーランド家から離籍しなければ無理なのよ?だって、ただの入り婿なんだから。公爵籍は持っていないのよ?」


 今まで何度も“アゼリアが”ミザリーに説明しているのだ。「お父様との婚姻は出来ないのです」と。


 キーキー喚くだけで理解しなかったけど。


「赤の他人が我が家の資産を好きに使った。これは立派な窃盗です。あなた達が使ったお金を返却するならば許しましょう。返せないのであれば、王宮に通報するまでです。どうしますか?」


 私が目だけを動かしてミザリーを見ると、悔しそうに口唇を噛んでいる。


「私の…お…金を…使ってな…にが…悪…い…の…よっ」ミザリーの言葉に、その場にいる全員が目を剥いた。


「あなたはどこまで愚かなんだ…」ヒューイが呆れて言った。


「領収書は全部揃えたかしら?」と、家令のケイブに聞く。


「はい、お嬢様。全てこちらに」と、紙束がテーブルに乗った。


 この中に、ミザリーが実家に送った分も入っているだろう。


 すんごい厚み。よくもまぁこんなに…。


「合計金額は?」


「旦那様がこの4年で白金貨2枚。ミザリー様が白金貨3枚です…」


「なっ…、何だとぉーーっ!」お祖父様、落ち着いて?


 ちなみに白金貨1枚で一億円ぐらいよ。


「ケイブ。あなた、それをずっと黙って支払っていたのよね?どうしてなの?」私の質問にケイブは、床に額を擦り付け「申し訳ありませんっ。いつの間にか領収書が回って来て、支払わない理由にはいかず…。誰にも相談出来ませんでした…ウッウッ」


 はぁ〜…、と私は深いため息を吐いた。


 ケイブは、フリージアが亡くなった後に雇った人だ。要は経験が浅くて、ミザリーの言いなりだったのだろう。


 子飼いじゃなかったのね。


「分かった。あなたの処分は後よ。それで?二人はこのお金、どうやって返してくれるの?明確にできるのなら、今、話を聞くけど?」


 二人は金額の大きさに焦ったのか、ここから逃げられないと悟ったのか、冷や汗を大量に掻きながら俯いた。


 おかげで、ミザリーの化粧もドロドロに落ちたよ。ププッ。


「そう、案は無いのね。ならば借金と見なし、全額きっちり返して頂きます。アーチーは離籍後、北方の鉱山に送りなさい。ミザリーは…やっぱり娼館かしら?生きているうちに全額、返せるかしら?」部屋の中の全員が首を横に振った。


 だよね~。う〜ん、どうしよう?


 とそこへ、客が来たと知らせが届き、ジェロームが玄関に向かった。


 多分アイツだろうな?あっ、そうだ!




◆◇◆◇◆◇




 食堂の扉が開き、入って来た男が二人。


「やあ、これはこれは、皆様お揃いで。アゼリア嬢、誕生日おめでとう!」と、満面の笑みで花束を抱え、テーブルの真ん中に座る私に近寄って来た。


 この、胡散臭い顔をした男がバーナピー伯爵か。


「どちら様ですか?」冷静に問い掛ける私に、おや?とバーナピーが目を見開いた。


「あなたの婚約者のホイス・バーナピー伯爵ですよ!もっと早くお会いしたかった!私を待っていたのでしょう?さぁ、パーティーを始めましょう!」両手を天井に高々と上げて、悦に浸っているけど…


 皆から白い目で見られているのに、気付かないマヌケ男。


 ミザリーだけは、味方が現れたと思って喜んでいる。動かない体をガタガタ揺らし、存在をアピールしているけど、バーナピーの目には入らないようだ。


「トビー、顔の包帯を取ってくれる?」


 トビーは無言で頷き、丁寧に包帯を外し、髪まで整えてくれた。


「ありがとう、トビー」私の、傷が一切無い顔を見てミザリーが息を飲んだ。


「ど…う…し…て…」


 ミザリーを無視して、バーナピーに向き合う。


 私の顔を見て、デレデレと目尻を下げているバーナピー。キモい。


「さてバーナピー卿?私の知っているバーナピー伯爵は、幼い女の子が大好きで、貧しい村や街の中でむりやり拐い、別荘に閉じ込めて身の回りの世話をさせている男のことだけど?一緒にお風呂に入り、体中を舐め回すそうよ?13才ぐらいになると急に興味を無くして、わずかなお金を持たせて、森の中に放り出すそうね?そうでしょ?バーナピー伯爵?」


 私の鋭い睨みと、使用人達の驚愕の目線と、青ざめるバーナピーの比較が面白い。


 使用人達は怒りで震え、バーナピーは誰にも知られていないハズの秘密を、他人に知られた衝撃で震えている。


「ハハ…何のことでしょう?私は何もしておりませんよ?」


 ふ〜ん、しらを切るか。


「そお?ロッテ、カリーヌ、ジャスミン。まだ言った方が良いかしら?」


 これは王妃となったアゼリアが、夜会で酔っ払ったバーナピーが、ベラベラと自慢気に話しているのを聞いてしまい「そんな…なんて事を…。女の子達が幸せに暮らせていれば良いわね」と、外に向かって静かに祈るのだ。



 イヤ、祈ってんじゃねーよ!変態を断罪しろって!



「こっんの変態!ロリコン!気持ち悪いんだよ!お前の大事な所、ちょん切ってやろーかっ!!」


 いきなり怒鳴った私に、全員の視線が刺さる。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ