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『慈愛の王妃 アゼリア物語』 〜なんで本の主人公に!?こんな本、ぶっ壊してやるっ!〜  作者: てちてち


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「ジェローム、書類を」アーチーの離籍と、バーナピーとミザリーの婚姻届にサインをさせる。


 ミザリーが抵抗したけど、額の激痛とお祖父様が頭を押さえ付けたことで、やっとサインした。


「トーマスさんは我が家にもらいます。異存は無いわね?」


 バーナピーは魂が抜けたような顔で「ありません…」と言って「それでは失礼します…」と、ミザリーの腕を引っ張って我が家から消えた。


 ミザリーは最後まで、トビーに声を掛けることも無かった。薄情な女だ、まったく。



 トドメを刺したから良しとするか。



「お前は父を見捨てるのか?私は実の父親だぞ!なぜこんな目に…」アーチーも麻痺が切れて、私の体を掴もうとした。


 そこへお祖父様が割って入り「その実の娘にお前は何をした!忘れたとは言わせんぞ!アゼリアには二度と会わせん!とっとと出て行けっ!ヒューイ!」お祖父様の雷が落ち、怯んだアーチーが逃げようと食堂の扉へ走ったが、ヒューイにすぐ捕まった。


「アーチー、あなたを父だと思ったことは一度も無いわ。父親らしいことなんて一度もしたこと無いじゃないの。笑わせないでよ!今さら父だと言われても何も響かないわ!」私の渾身の叫びに、三日月のペンダントが応えた。


 光の粒がアーチーの額に飛び、ミザリーと同じものが現れた。


「あはっ、アーチーの額にも呪いが付いたわ。鉱山でサボったり逃げ出すことは許さない。一生働いて借金を返すのよ」


 私の言葉にとうとう心が折れたアーチーは、引きずられるように荷馬車に乗せられ、北方の鉱山へと旅立った。


 ミザリーもアーチーも着のみ着のまま、私の前から消えた。


 ルイも殺人未遂の現行犯として、王宮に連れて行かれた。一生を牢屋で過ごすのか、犯罪奴隷になるのかは分からないが、二度とミザリーには会えないだろう。と言うより、あんな女に引っかかるなんて。バカな男よね。


 後はお祖父様にサインを書いてもらってと。私じゃ効力が無いのよね。女だし、子供だし。




◆◇◆◇◆◇



「アゼリア、本当にアレで良かったのか?もっとしっかりと罪を償わせた方が良かったのではないのか?」お祖父様の懸念は最もだが。


「私は何も話さないわよ?でも、ここにいる皆が余所で話してしまっても、私は止められないわ。そうでしょ?」


 使用人達の顔を見回すと、それぞれが「あっ」と気づき頷いている。


「ね?お祖父様そう言うことよ」


「フハハハ!我が孫ながら恐ろしいな!」と、とても嬉しそうに頭を撫でてくれた。


「それじゃあ、食事にしましょう。お腹がすいたわ」


 一応誕生日パーティーだから、手の空いた使用人達が食堂に集まり、皆で私を祝ってくれた。


「皆ありがとう。アーチーとミザリーの事で迷惑かけたわね。ごめんなさい。もうあの二人は追い出したから、心配いらないわ。それと、これからの話をするわね」


 食事が終わり、皆とケーキを食べ終えた頃、私は話を切り出した。


「この王都の家を売却し、領地で暮らします。使用人の皆さんは解雇となります。お祖父様には一時的に当主に戻ってもらい、公爵を返上します。これはお祖父様と話し合って決めたことなの。皆、ごめんなさい」私は使用人達に頭を下げた。


「お嬢様…っ!」「そんな…」「これからどうしたら…」


 使用人達の悲痛な叫びは、ちゃんと分かっているつもり。


「皆、王都に家族がいたり友人がいたり、離れられない理由があるでしょ?ちゃんと紹介状を出すから心配いらないわ。この家を処分するまでの間、お願いね」


 ちなみに家令のケイブは、余所で見習いからやり直しさせることにした。しっかりやれよ?


 ほとんどの人が王都で雇い入れた者だから、王都から離れたくないでしょ?と思ったんだけど、何人かは私達と一緒に領地へ行くと言う。


 まずジェローム「私はもちろん、領地へ参ります」まぁそうよね。


 そしてヒューイ「閣下のお側で一から鍛え直したいと思います」ハイハイ。


 メイド長マーサ「お嬢様のお世話はお任せ下さい」ありがとうね。


 そしてトーマスさん「私ももちろん行きますよ」トビーが大喜びしていた。




◆◇◆◇◆◇



 お祖父様は領地に戻らず、そのまま王都で色々仕事を片付けてくれた。


 王宮にも足を運び、国王に爵位返上を伝えたら、とても驚かれたとか。


「何が不満なんだ!?」と言われて「女性の地位が低過ぎて、この国では私の孫が安心して暮らせません」と言ってしまったとか。


 実は国王は、お祖父様の剣の弟子なんだって。今だに師匠には逆らえないらしい。


「なるべく後継を見つけてくれ」と国王は言って、お祖父様に縋り付いたんだって。


 何やってんだか、国王が。



 私達は着々と売却を進め、家の調度品も家具も食器に至るまで売り払った。


 使用人達も私の思惑通りに色んな所で、バーナピーとミザリーの悪評と結婚をバラまいてくれた。


 バーナピー伯爵は我が家に白金貨3枚を納めると、ミザリーとわずかな使用人を連れて別荘に籠もったそうだ。


 もう二度と、人前には出られないだろう。




 多分、捕まるし。



 ざまぁみろだ。





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