Episode 7
無事家に帰宅した私は、真っ先に愛子の部屋の前へやってきた。
16時20分05秒。私は右手をグーにしてドアを3回ノックした。
「はーい、誰?」
「私」
「あ、お姉ちゃん、ちょっと待って!」
数秒間待っていると、ドアが開いた。
「お姉ちゃん、ただいま!」
「おかえり、なにもなかった?」
愛子は少し考えてから、口を開いた。
「うん、お姉ちゃんがボットになったこと以外特に何事もなかったよ!」
愛子は笑みを浮かべながらそう言った。
良かった、チャットだけじゃ本当に元気なのかわからないから、実際に元気な姿を見て安心する。
「あ、そういえばお姉ちゃん、明日学校の友達とカラオケいくことになったんだけど、お姉ちゃんに会いたいって言ってる友達がいて、会ってくれない?」
……私に会いたい友達?
「因みになんていう人?」
「えっと、青柳栞さんだよ、お姉ちゃんの同じクラスにその子のお姉ちゃんもいるらしいんだけど……わかる?」
青柳栞。もしかして、私の隣の席の青柳寧々のこと?
「一応、知ってはいるけど、あんまり話したことがないの。なんで会いたがってるのかわかる?」
愛子は首を横に振って続けた。
「話してみたいってだけ言われたの、でもそれはそれとして、私は、お姉ちゃんがカラオケに来てくれたら凄い嬉しいから来てほしい!」
「……1時間だけなら」
私がそう言うと、愛子はぱあっと顔を輝かせた。
「決まり! お姉ちゃん大好き!」
勢いよく抱きついてくる愛子の温もりを感じながら、明日行うはずだったルーティンをどうするか考える。
カラオケなんていつぶりだろうか、というか、初めてかもしれない。行った記憶がない。
「愛子、私ってカラオケいったことあったっけ?」
「私が知ってる限りではないと思うよ、あ! もしかして初カラオケ!?」
私は首を縦に振る。
「初カラオケ! 私が絶対楽しめるようにプロデュースするね!」
愛子は机の上にあったスマホを取って何やら調べ始めた。
初カラオケか。カラオケに参加する以上、何かしら曲を歌うことになるだろうけど、最近の曲とか全くわからないな。調べておかないとな。
「あ、後お姉ちゃん。私たちいつもカラオケ行くとき恒例行事があって、95点以上を取った人はそれ以下の点数の人に何でも1つ言うことを聞く権利っていうのがわたされるんだ!」
な、なにその恒例行事。
「……なんでも、1つ?」
「そうだよ! お姉ちゃんも参加ね。あ、でもお姉ちゃんは初めてだから、80点以上で合格にしてあげようか?」
愛子は親切心で言っているのは知っているけど、それは私のプライドが許さない。
「いや、大丈夫……95点取れればいいのね」
「わかった! じゃあ集合時間と場所は後で連絡するから、明日はよろしくね」
私は首を縦に振ってから、アナログ時計を見る。
16時32分15秒、結構長く喋ってしまった。部屋に戻らないと。
「一旦部屋に戻るわ、なんかあったら声掛けて」
「うん、わかった!」
私は愛子の部屋を後にした。
……95点、私の辞書に音痴という2文字は存在しないわ。
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