Episode 5
15時10分00秒、終礼のチャイムが鳴り響いた。
考えたことを実践するのは意外と大変だ、明日こそ完璧にルーティンをこなそう。
私は心の中でそう誓い、机の中の筆記用具をカバンへと戻した。
「はい、じゃあ今日はここまで、挨拶するぞー、起立!」
生徒が一斉に立つ。
「気を付け、礼!」
『ありがとうございました!』
私は帰宅部なので、部活とかしないですぐ帰る事が出来る。
15時12分10秒、私は忘れ物がないかを確認してから、席を立ち、教室のドアへと踏み出した。
「あ、野上さんちょっと待って!」
後ろから秋人の声が聞こえるが、 15時35分の電車に遅れると嫌なのでそっと振り返って会釈をし、教室を後にした。
15時13分30秒、昇降口に到着。1年3組列に移動し、32番と書かれている下駄箱の前に立つ。
私はゆっくりと下駄箱を開け、ローファーを取り出そうとしたが、なぜか右足だけ、あさっての方向を向いていることに気が付いた。
しかも、そのローファーの中には――。
「マリーゴールド?」
誰が何のためにマリーゴールドを下駄箱に……?
「あ、追いついた! ん? 野上さん、どうしたそんな難しい顔して、って、何だこれ? 何の花だ?」
「これはたぶん、マリーゴールド」
「へー、野上さんこれ誰かからのプレゼントじゃない? スタイルいいしやっぱりモテるんだなー!」
「プレゼントだったらこんな雑に置かないわよ、何か袋とかにいれるんじゃない? もし仮にプレゼントだったとしたらそんな非常識な人と関わりたくないわ」
「そ、そうか……じゃあなんで?」
「それは私が知りたいわ」
この花、どうしょう、持って帰るのも変だし、道に捨てるのもなんか駄目な気がする。いっそ秋人に渡す?
「なぁその花どうするんだ?」
考えたけど、ほかに処理する方法がないな、よし、秋人にあげよう。
「この花、秋人くんにあげる」
「え? まじで!?」
「ほかに処理する方法がないから仕方なくね」
私は謎のマリーゴールドを手に取り、秋人に手渡した。
「はい、上げる」
秋人は満面の笑みをしてマリーゴールドを受け取った。
「おお……せんきゅ! 大切にするわ!」
15時16分20秒、かなり時間を割いてしまった、私は急いでローファーを履き、門へと向かった。
「あ、ちょっと待って、野上さんって電車通学?」
「そうだけど」
「じゃあさ、俺の自転車の後ろ乗らない?」
無邪気に私を誘う秋人。
確か二人乗りは違反なはず……。それに違反じゃなくても乗りたくはない。事故起こしそうだし。
「二人乗りは違反になるので無理です」
「そうだったのか!?」
知らなかったのか……。
「じゃあ、駅まで並走するわ! 俺自転車だし!」
「ご自由にどうぞ」
私は校門を抜け、駅に向けて歩く。数分経つと、後ろから自転車を漕ぐ音がだんだんと近づいてきたのがわかった。
「今日はありがとうな、新しい学校で不安だったけど、野上さんがいてくれてよかったわ!」
「……そう」
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