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Episode 21

 12時35分00秒、4限終了のチャイムが鳴り響いた。


 愛子は今日リモート授業ではないので確認の連絡は必要がない。

 私はカバンから弁当箱を取り出し、手を合わせる。


 「頂きます」


 一口目の米を箸に摘み口へ運ぼうとしたその時。


 「秋人くん、隣いい? 一緒に食べようよ!」


 隣の席から、寧々さんの元気な声が聞こえる。


 「勿論いいよ、隣誰もいないから使って」


 秋人が椅子を引く音が聞こえてくる。


 「やった! じゃあ弁当隣置くね」


 寧々さんは自席に置いてあった弁当箱を持ち秋人の隣の席に移した。


 「今日私秋人くんの為におかず作って来たんだよ、食べる?」

 「いいの? じゃあ貰おうかなっ……。って、からあげ入ってるじゃん! 俺好きなんだよな」

 「ほんとに? 良かったー、正直なにが好きなんだろうって悩んだけど、男の人はこういうのが好きっていうイメージが私の中であったんだよね!」

 「じゃあ貰うよ……あ、うまい。味付け最高だし、かりかりして美味い! 料理得意なのか?」

 「平均よりは高いと思うよ? 趣味で料理することがあるから、それで上手になったんだと思う」


 秋人は私の命令に従い、寧々さんと付きあった。

 これによって、私のルーティンを乱す秋人からのアプローチというリスクはほとんどゼロになった。

 なのに、何故か頭がもやもやする。

 私は一口目の米を、ゆっくりと咀嚼した。


 順調ね、非常に順調だわ……。


 「ねえ秋人くん、今日の放課後二人三脚の練習しない? 早めにやっておいて損はないとおもうんだよね」

 「そうだな……じゃあ放課後、練習用の紐持ってくるよ、確か家にあったから」

 「嬉しい! 智乃さんも一緒に来てくれる?」


 不意に、会話の矛先が私の方へと向けられた。


 「私は遠慮しておくわ、私がいたってとくにやることもないでしょう?」

 「あるよ! タイムキーパー! 絶対適任だと思うんだけど……」


 寧々さんの提案に、私は少し考えた。


 「タイムキーパーなら、スマホのアプリで簡単にできるわ、私がわざわざ行く必要はないわ」

 「智乃さんは正確に測ってくれそうだと思ったんだけどなぁ……」

 「野上さんは、忙しいんだよ。……無理に誘わないほうがいいよ」


 背後から聞こえてきた秋人の声は、少し寂しそうに感じた。

 秋人が私の命令を守り、寧々さんの手料理を食べ、二人の時間を積み重ねる。


 ――これ以上の正解が、一体どこにあるというのか。

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