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Episode 15

 12時00分00秒、カラオケの利用終了の時間。

 私たち5人はカラオケ専用マイクとカラオケ専用タブレットを元の位置に戻して、荷物を持ちカラオケ福招きを後にした。


 「お姉ちゃん、今日はどうだった?」


 愛子の問いかけに対し、私は左腕の時計をチラリと確認してから答えた。


 「今日は目標も達成できたし、とてもいい日だったわ、愛子はどうだった?」


 愛子は私の問いかけを少し考えてから言う。


 「お姉ちゃんがカラオケ凄い上手ってことがわかったからそれだけでお腹いっぱいだよ!」


 愛子はお腹をさすりながら満面の笑みを浮かべた。


 「そう、それは良かったわ。……秋人は、目標達成できたのかしら?」


 私は、少し後ろを歩いていた秋人へ視線を投げた。その横には三浦さんと栞さんが並んで歩いている。


 「え?  目標っていうか……。野上さんの新しい一面を見られたし俺は満足だよ! 新しく友人も出来たしな!」


 秋人は三浦さんと肩を並べ、屈託のない笑顔を見せている。隣に歩いていた栞さんは、安堵した表情を浮かべる。


 「そう、それはなによりね」


 私は返答をすると、再び前を向いた。

 現在私たちが向かっているのは、栞さんが提案した新潟で有名なラーメン屋さん。

 本来のルーティンでは、13時ちょうどに自室のデスクで英単語の勉強を開始しなければならない。ラーメンなので食べる速度は速い。ただ待っている時間が長い可能性は十分にある。移動時間と食事時間、待ち時間を計算すると、残り時間は55分30秒。


 「智乃さん、あそこの看板が見えるお店です!  あそこのラーメン、本当に美味しくて、テレビでも紹介されてます!」


 栞さんが意気揚々と指差した先には、確かに新潟五大ラーメンの1つで有名な、あっさり醤油ラーメンを作る行列店だった。

 既に20人ほどの列ができていて、これだけで客寄せになりそうだと思う。


 「うわ、やっぱり有名店は混んでるな!  でもこの匂い、並ぶ価値ありそうだな!」


 秋人は鼻をクンクン嗅ぎながら、列の最後尾に並ぼうとした。


 「……あ」


 栞さんは小さく呟いた。その目線の先には、ベンチで優雅に座る青柳寧々の姿があった。

 ネイビーのワンピースに、手入れの行き届いた黒髪。

 私たちのクラスメイトであり、栞さんの姉である寧々さんが、私たちに気づいたのか、本を閉じてこちらをゆっくりと見上げた。

 そしてベンチから立ち上がり、一切の無駄がない動作で私たちに近づいてきた。


 「あ、やっぱり。栞からここのお店の話を聞いてたから、もしかしたらきたら会えるかもって思ってついでに寄ったらまさか会うなんて! 奇遇だね!」


 寧々さんはそう言って、屈託のない笑顔を秋人に向ける。


 「奇遇だな! まさか寧々さんと会うなんて!」


 秋人はまだ気づいてない、この奇遇が本当は奇遇じゃない可能性に。


 「秋人さん、カラオケ楽しかった? 智乃さんの歌声聴いてみたかったな! 今度は私と一緒に歌ってよ!」

 「勿論! 俺ならいくらでも一緒に歌うぜ!」


 寧々さんは「あ、あと」と思い出した様に言い、行列の先頭付近を指刺した。

 そこには寧々さんが席を外しても横取りされないように自分のバックを置いていた。


 「ちょうど次、私の番だったの。5名までなら一緒に入れるみたいだし、みんなで私の席、使う?」

「えっ、いいのか!?  20人待ちをなしにできるなんて! ラッキー過ぎる!」


 確かに、20人の最後尾に並べば確実に時間には間に合わない。誘いに乗る方が効率的ではあるわ。


「じぁあ、お姉ちゃんに甘えて座らせて貰おうかな」

「よし、決まり!」


 私たちは寧々さんの誘いに乗り、無事待ち時間を短縮して席に座る事ができた。


 「ここはあっさり醤油が有名なんだけど、秋人さんは濃い味の方が好きとかある?」

「俺は基本濃い派だけど、名物的なのがある時はそれを頼むようにしてるよ」

「じゃああっさり醤油で決まりだね! みんなはどうする?」


「あっさり」「あっさり」「あっさり!」


「じぁあ、私もみんなと一緒のあっさりで」


 全員の注文が一致した。私はテーブルに置いてある調味料品の隣にあった店員を呼ぶボタンを押す。


 「ご注文お決まりでしょうか?」


 店員さんが颯爽と駆けつけ、笑顔で対応する。


「あっさり醤油を5つお願いします。それと、1つだけ葱抜きでお願いします」

「かしこまりました、少々お待ちください」


 店員さんは笑顔で対応し、持ち場に戻っていった。


「お姉ちゃん、葱抜きってなに?」

「ラーメンにネギやタマネギを入れないことよ」

「そういう頼み方できるんだ!」


 12時22分00秒、5杯のラーメンが湯気を立てて運ばれてきた。


「はい、お待たせいたしました。こちら葱抜きになります」

「ありがとうございます」

「全員揃ったし、食べようぜ!」

「じゃあ全員で頂きますしょうか! みんな! 手を合わせて下さい!」


 愛子が全員手を合わせたか確認下あと、大きく口を開いた。


「「「「「「頂きます!」」」」」」

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