Episode 11
10時22分05秒。304号室へ到着した。
「もっと広い部屋だと思ったけど意外と狭いんだな!」
「まあ、5人だし丁度いいんじゃないかな? 7人くらい座れそう……」
部屋の中央には長方形のテーブルがあり、その両脇を挟むように長いソファーが向かい合っている。入り口から見て奥の壁はカラオケモニターが設置されていた。
「私1番奥の席座っていい? お姉ちゃんは私の隣ね!」
「わかったわ、じゃあ秋人と三浦さんは隣として、栞さんはどうする?」
「私は智乃さんの隣でいいかな? 話したいこともあるので!」
そういえば、話したいことがあるという理由で呼ばれたことを忘れていた。
「その方がいいと思うわ」
「じゃあ決定! 各自着席!」
愛子がカラオケ専用タブレットとマイクを持ち私に差し出した。
「お姉ちゃんは何歌うの?」
「『水平線のパノラマ』よ、理由は1番聴いてる曲だからよ」
私は曲名検索欄で『水平線のパノラマ』と素早く打ち検索する。
「『水平線のパノラマ』いいですよね! 私も結構聴いてますよ!」
「僕……その曲は初めましてだ」
「そういえば何気なく私が先に選択しちゃってるけど、私から歌ってもいいのよね?」
「もちろんいいですよ! 歌声気になりますし!」
「これはテンション上がるな!」
「じゃあ、選択するわよ」
私は歌うボタンを押す。するとカラオケモニターの右上に次の曲は『水平線のパノラマ』と表示された。
「お姉ちゃんファイトー!」
すると、カラオケモニターに音程バーが表示された。もう歌うしかない。
私は大きく息を吸ってから、第一声を出した。
「どこまでも続く定規の線……」
「…………えっ?」
愛子が小さく息を呑んだ。
隣に座る栞さんの目と口が、驚きで大きくなる。
秋人は……涙を流して固まっている。
「凄すぎる……上手すぎて頭が理解できてない!」
10時30分15秒、最後までしっかり歌い切った。カラオケモニターの画面が切り替わり、採点 Ai による結果が出される。
――運命の瞬間。
『98.241点』
95点以上出せた、良かったわ。
私は安堵のため息をつく。正直初めてなので不安だった。
「野上さん! こんなに感動したの俺初めてだよ!」
「呼んで正解だったね、僕も驚いた」
「お姉ちゃんさすが! じゃあ次は……秋人さん、出番だよ! お姉ちゃんのスコア、超えてみよう!」
愛子がいたずらっぽく笑いながら、マイクとカラオケ専用タブレットを秋人に突きつけた。
「この次に俺ぇー?!」
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