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11/23

Episode 11

 10時22分05秒。304号室へ到着した。


 「もっと広い部屋だと思ったけど意外と狭いんだな!」

 「まあ、5人だし丁度いいんじゃないかな? 7人くらい座れそう……」


 部屋の中央には長方形のテーブルがあり、その両脇を挟むように長いソファーが向かい合っている。入り口から見て奥の壁はカラオケモニターが設置されていた。


「私1番奥の席座っていい? お姉ちゃんは私の隣ね!」

「わかったわ、じゃあ秋人と三浦さんは隣として、栞さんはどうする?」

「私は智乃さんの隣でいいかな? 話したいこともあるので!」


 そういえば、話したいことがあるという理由で呼ばれたことを忘れていた。


「その方がいいと思うわ」

「じゃあ決定! 各自着席!」


 愛子がカラオケ専用タブレットとマイクを持ち私に差し出した。


 「お姉ちゃんは何歌うの?」

 「『水平線のパノラマ』よ、理由は1番聴いてる曲だからよ」


 私は曲名検索欄で『水平線のパノラマ』と素早く打ち検索する。


 「『水平線のパノラマ』いいですよね! 私も結構聴いてますよ!」

 「僕……その曲は初めましてだ」

 「そういえば何気なく私が先に選択しちゃってるけど、私から歌ってもいいのよね?」

 「もちろんいいですよ! 歌声気になりますし!」

 「これはテンション上がるな!」

 「じゃあ、選択するわよ」


 私は歌うボタンを押す。するとカラオケモニターの右上に次の曲は『水平線のパノラマ』と表示された。


 「お姉ちゃんファイトー!」


 すると、カラオケモニターに音程バーが表示された。もう歌うしかない。


 私は大きく息を吸ってから、第一声を出した。


 「どこまでも続く定規の線……」

 「…………えっ?」


 愛子が小さく息を呑んだ。

 隣に座る栞さんの目と口が、驚きで大きくなる。

 秋人は……涙を流して固まっている。

 「凄すぎる……上手すぎて頭が理解できてない!」

 

 10時30分15秒、最後までしっかり歌い切った。カラオケモニターの画面が切り替わり、採点 Ai による結果が出される。


 ――運命の瞬間。


 『98.241点』


 95点以上出せた、良かったわ。

 私は安堵のため息をつく。正直初めてなので不安だった。


「野上さん! こんなに感動したの俺初めてだよ!」

 「呼んで正解だったね、僕も驚いた」

「お姉ちゃんさすが! じゃあ次は……秋人さん、出番だよ!  お姉ちゃんのスコア、超えてみよう!」


 愛子がいたずらっぽく笑いながら、マイクとカラオケ専用タブレットを秋人に突きつけた。


「この次に俺ぇー?!」

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