第14話【太陽】
──木曜日。
乙女は昨晩のことを思い出しては悶えていた。
金糸雀に抱きしめられ、パニックになった乙女はその後、また金糸雀を突き放して逃げてしまった。
「はぁぁぁ………」
大きなため息をつきながら向かう学校。
校門前に差し掛かると、そこにはいつもなら金糸雀の周りに集まっているメンツが揃っていた。
「暁乃さんおはよう。よく来れるね」
そんな彼女たちの高圧的な態度に乙女は屈せず、にらみつけ返した。
「何か用かしら」
「用っていうか…なに、調子乗んないでよね」
「乗ってないわよ。私の何が気に食わないのか知らないけれど、嫌ってる人間にわざわざ時間を使うのはお互いに不利益だと思うわよ」
「……そういう所。マジで暁乃ってダルいわ」
「特に用がないなら行くわ」
乙女は彼女たちの間をすり抜けて行こうとする。しかし、彼女たちはそれを許さなかった。
「自分の立場分かってんの?」
「はぁ……」
──イライラする。なんでこんな奴らの相手なんかしなくちゃならない。
握っていた拳に力が入る。
発散したい。この、ストレスを───。
───。
「──何をしているんですの?」
「!!」
──花葉金糸雀。今登校してきたのだ。
「花葉さ……」
取り巻きたちが狼狽える。
「見ていましたわよ。寄って集って、乙女に何をしていたのか言いなさい!!」
金糸雀はいつになく声を荒らげて、怒鳴った。
「それは……こいつが花葉さんに酷いことしてたから──」
「──“こいつ”?」
金糸雀の表情は引きつっていた。まるで汚物を見るような目で、彼女たちを見るようになった。
「酷いことなんて、されていませんわよ」
金糸雀はそう吐き捨て、乙女の元に歩いてきた。
「乙女。行きますわよ」
金糸雀に手を掴まれ、乙女は校舎へと連れられた。
「金糸雀……」
「ごめんなさい。わたくしのせいで、嫌な思いをさせましたわね」
「ぁ……いいえ、そんなこと……ないわ。……昨日はごめんなさい。今のことは、ありがとう」
「……昨日は……わたくしもやりすぎましたわ。乙女の気持ちも考えるべきでしたのに」
「……いや、その……ええ」
靴を履き替えて、教室を目指す。
「……」
やはり金糸雀の隣は心臓に悪い。
変に緊張してしまって心臓が破裂しそうになる。
けれど、居心地は良いと思う。優しさに包まれるような温かさがある。
「……か…っ……金糸雀……」
「なんですの?」
「っ……あ……っ…なんでもないわ」
「?」
「………」
「好きかもしれない」なんて告白の言葉が、吐き出せるわけがなかった。
…To be continued




