23/27
先輩の過去
あれは、中学生の頃の話
私はスクールアイドル部の強豪校にいた。全国大会の常連校で、部員も多くて、練習も厳しかった
大会に出られるのは選ばれた数人だけ
みんな必死だった。放課後も、休日も、夜まで残って踊った。誰も弱音なんて吐かなかった
最後の夏大会のメンバー選抜会の前夜、私たち3年生は円陣を組んだ
重ねた手のひらは、汗ばんでいて、少し震えていた
「絶対、みんなで出ようね」
誰かがそう言って、私たちは笑った
本気で信じていた
結果発表の日
静まり返った部室で、顧問の先生が名前を読み上げた
三年生で呼ばれたのは
―私だけだった
一瞬、胸が熱くなった。努力が報われたんだと思った。ずっと目指していた舞台に立てるんだと
でも、顔を上げたとき、視界に入ったのは、あのとき手を重ねたみんなだった
みんな、拍手してくれていた
「おめでとう」
そう言って、笑ってくれた
その笑顔が、少しだけ遠かった
私はうまく笑えなくて
それから、私は自分から距離を取った
誰も責めなかった。責められてもいない。ただ、私の中で何かが引っかかっていた
一緒に出ようと言ったのに
私はひとりだけが選ばれた




