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歌声に花咲かせ  作者: 宮島485


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後悔しないかな

お風呂から出るとキッチンからいい匂いが漂ってきた


「手伝います」


そう言って私が駆け寄ると、先輩は振り返って笑った


「花奏ちゃんはゆっくりしてていいよ」


「…」


「ほら、座って座って」


軽く背中を押され、私は大人しくテーブルの前に座った


星野先輩は味見係を自称し、つまみ食いをして「うまっ!」と声をあげている。エルナ先輩はその様子を見て楽しそうに笑っていた


テーブルに料理が並ぶ

ハンバーグにサラダ、スープ。どれもお店のように綺麗で思わず目を見張る


「「「「いただきまーす」」」」


四人で手を合わせる


「…!美味しい」


一口食べて思わず声が漏れた


「でしょ?」


朝倉先輩が少し誇らしげに笑う


「本番前なんだから、ちゃんと食べないとね」


その言葉に、胸がチクリとした


…本番まで、あと二日。


楽しい空気の中で、その単語だけが少し重く脳内に響いた


「明日は軽く確認だけにしよ」


星野先輩が言う


「今日は結構動いたからね」


「無理して本番動けなくなったら大変だもんね」


エルナ先輩も共感する


みんな落ち着いていて、穏やかで、どこか余裕すら感じられる


そんな中


(本当にこれで大丈夫なのかな)


そう思ってしまう自分がいる



でも目の前では朝倉先輩が笑っていて


星野先輩が冗談を言って


エルナ先輩がそれに優しく突っ込んでいる


その空気があまりにも温かくて、優しくて


…


「花奏ちゃん?」


名前を呼ばれて、ハッとする


「どうしたの?難しい顔して」


「あ、いえ…なんでもないです」


慌てて首を振ると、みんながクスッと笑う


「大丈夫だよ」


朝倉先輩が自然な声で言う


「ちゃんとできてるから」


その言葉に胸が少しだけ軽くなる


けれど同時に、どこか落ち着かない


楽しいし、嬉しい


でも


このまま本番を迎えてしまって、本当に後悔しないだろうか


笑い声に包まれながら、私は静かにスープを口に運んだ


その暖かさが、ゆっくりと体の奥に染み込んでいく


それでも胸の奥にあった小さな不安は、まだ消えなかった

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