消えない不安
こうして、私はエルナ先輩と星野先輩と一緒にお風呂へ向かった
想像していたよりもずっと広いお風呂だった
「すごい!三人でも余裕だね」
星野先輩が感心したように言いながら湯船に入る
(……あ)
私も続こうとして、一瞬固まった
エルナ先輩が先に入ったその瞬間、いろんな意味で視界に情報量が多すぎた
「…っ」
思わず目を逸らすと、星野先輩がクスッと笑う
「花奏ちゃんわかりやすいね」
「ち、違いま…」
顔が一気に熱くなるのを感じた。エルナ先輩は気にした様子もなく、穏やかに微笑んでいた
「慣れるよ、そのうち」
「そ、そういう問題では…」
誤魔化すように湯船に沈むと、じんわりと疲れが溶けていく
「でも」
星野先輩が天井を見上げる
「いよいよだね、ライブ」
「うん」
エルナ先輩も相槌を打つ
「楽しみだなぁ」
その言葉に少しだけ胸が軽くなった
「花奏ちゃんは?」
突然話を振られ、ビクッとした
「え、えっと…」
楽しみ。その気持ちは嘘じゃない
みんなと一緒にステージに立てることも
歌って踊る時間も
けれど
(このままで本当にいいのかな)
そんな不安が、同時に胸の中にあった
「……私も、です」
慌てて言葉を選んで、答えた
「そっか」
星野先輩がニコッと笑い、エルナ先輩も優しく頷く
それを見て少しだけ安心する自分がいる一方、胸の奥に残った引っ掛かりは、やっぱり消えてくれない
楽しみな気持ちも、不安な気持ちも、どちらも本当で
でもそのどちらを信じればいいのか、私はまだ分からずにいた




