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歌声に花咲かせ  作者: 宮島485


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失敗したって

午後になって、ようやく少し落ち着いた頃


ピンポーン


インターホンが鳴った


びくりと体が跳ねる


ピンポーン


もう一度、鳴る。私は重い体を起こした


「……はい」


小さな声で答えると、聞き覚えのある声が返ってきた


「花奏ちゃん、るなだけど……お見舞い、来ちゃった」


玄関のドアを開けると、私服の星野先輩が立っている


いつもの明るさは少し控えめで、でも変わらず柔らかい顔で笑っていた


「急にごめんね。しおり先輩たち、今日はどうしても外せない用事があるみたいで」


「……い、いえ」


部屋に通すと、先輩はきょろきょろと周りを見てから、ベッドの端に腰掛けた


私はお茶を淹れて、テーブルに置く


…


少しの沈黙


「……無理に話さなくていいよ」


その言葉に、胸が少しだけ緩む


「でもさ」


星野先輩は、足をぶらぶらさせながら続けた


「花奏ちゃん、最近ずっと頑張りすぎてたと思う」


「……」


「失敗しないように、失敗しないようにって顔、してた」


図星だった


「私ね」


先輩は少し間を置いて


「一年生の頃、失恋してさ」


と言って、軽く笑って見せた


「え」


意外な言葉に、顔を上げる


「めちゃくちゃ落ち込んで、何もしたくなくなって。可愛いとか言われても、全然嬉しくなくて」


「……」


「そんな時に、エルナ先輩としおり先輩たちのライブを見て、笑って踊って、楽しそうな姿見たら自分もやりたくなって、それでスクールアイドル始めたの。初心者だったし、全然うまく踊れなかった」


「...」


「でも、私が楽しそうにしてると、周りも笑ってくれるし、私自身が嬉しいから、自然と心から笑えて、自信が湧いてくるんだ」


胸の奥が、少しだけ温かくなる


「花奏ちゃんは、考えすぎなんだよ」


先輩の視線が、真っ直ぐ向けられる


「自分が失敗することで、誰かが悲しむのが怖いんでしょ」


言葉を失う


「でもね」


先輩は、そっと続けた


「花奏ちゃんが一生懸命やってる姿で、不安になる人なんていないと思う」


「……」


「失敗したって、みんなで笑えばいいじゃん。だって、同好会だよ?」


その言葉に、胸がきゅっとなった


「完璧じゃなくても」


星野先輩は、少し照れながら言った


「ありのままでいるのが一番可愛いって思うよ、私は」


部屋に、静かな空気が流れる。気づけば、喉の奥に詰まっていたものが、少し溶けていた感じがした


「先輩、もしよかったら踊りの練習見てくれませんか?」

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