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魔法少女戦争 ~ロストグリモワールを俺は知っている~  作者: ゆき
第十章 夢幻泡影

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op 14 主変更

「ナナキ、配信してる魔法少女が激減してる気がするよ」

『魔法少女も少なくなってきたんだろ』


「いつの間に、こんなに減ったのかな? 魔法少女アカデミア終了から急激に・・・?」

『さぁ』


「・・・いろいろあったもんね。私が見えるところでも、見えないところでも」

『・・・・・・』

 人の姿に戻ったナナキが肘をついて視線を逸らす。


 テーブルの端には、ハーブティーとカップが置かれていた。

 花音が目の前に表示したモニターを覗き込んで、魔法少女配信者のSNSを確認している。


「SNSも荒れてるよ。急に推しの更新が途絶えたって、大混乱だ」

 スクロールして、ランキング詳細の画面を開いた。

 ランキング上位の魔法少女は、配信がしばらく止まっている子ばかりだった。


「この子たち、魔法少女戦争で負けちゃったのかな?」

『だろうな』


「そういえば、えりえり配信もなくなっちゃったもんね。うんうん、★アクト★さんわかるよ。寂しい気持ち、すごくわかる。でも、えりえりは泉の女神に戻ったから仕方ないんだよ」

 えりえりのファンを名乗るアカウントに語りかけていた。


『そういえば、自分のリスナーは気にしなくていいのか?』

「さっき、SNS更新したんだ。トラブルがあってしばらく配信できなかったけど、再開しますって宣言してきた」


『仕事が早いねぇ』

「配信者になりたくて、魔法少女になったんだから当然だよ」

『あ、そう』

 花音が自慢げに話す。


「ナナキはこの場所慣れた?」


『まぁ・・・懐かしい匂いはするよ。うっすらとこうゆう場所で過ごしたことあるの覚えてるから』

「宮殿の中庭って感じだよね」


『ったく・・・デウスエクスマキナもどうゆうつもりなんだろうな。檻に入れたと思えば、花音にこんな場所を用意するなんて』

 ナナキがエジプト様式で装飾された柱を見つめながら言う。


「デウスエクスマキナにもきっと理由があるんだよ」

『花音は相手を信じすぎるんだよ』


「はは、デウスエクスマキナにも言われた」

 花音が軽く伸びをする。


「でも、本当にデウスエクスマキナを信じてるの。彼女は間違いなくリリスだよ。どうして、リリスが2人いるのかはわからないけど、リリスは騙したりしない」

『確かに似ているけど、魔力が全然違うだろ。完全に別人が化けてるんだろ?』


「ううん、魔力が違っていてもわかるよ。きっとね、私、リリスが大好きだからわかるの。本当に不思議なんだけど、ずっと昔からリリスに憧れてた気がする」


『・・・・・・』


「あーあ、魔法少女戦争に関係なく、リリスと友達になれたらよかったのにね。映画言ったり、恋バナしたり・・・あ、恋バナは難しいか。リリス、カイトのこと好きだもんね」

 花音が苦笑いする。

 ナナキが黙ったまま、花音の目を見つめていた。


 ブワッ


「!?」

 エレノアが白い翼を広げて降り立つ。

 魔法陣を展開すると、瞬時に白い翼は光の中に消えていった。


「て・・・天使?」

 花音が驚いて立ち上がる。

 ナナキは冷静にエレノアに視線を向ける。


「はじめまして、じゃないんだけどね。花音だよね?」

「え・・・・あ・・・うん、もしかして」

『熾天使までデウスエクスマキナについてるのか』

 ナナキが頬杖をついて、息をついた。


『弱みでも握られtのか?』

「エジプト神アヌビス、人の姿に戻れたんだ」

『フン・・・・』

 ナナキが不貞腐れていた。


「花音って呼んでもいい?」

「も、もちろん。私の・・・・新しい主? でも、天使の姿を・・・」

 言葉を選んでもごもごしていた。

 エレノアがふっと噴き出す。

 

「今は人間だよ。天使は自在に人間になれるの。ミハイルがそうだったでしょ?」

「あ、そっか」

 花音が口に手をあてる。



「じゃあ、本題だけど・・・」

 エレノアが胸に手をあてて、深呼吸をした。


「私と主の契約をして、花音」

『花音、デウスエクスマキナの策略に乗ったら駄目だ。奴は何を考えているかわからない』


「えっと・・・・」

 ナナキがエレノアと花音の間に入る。


「サマエルと主の契約をしていたら、花音はリリスの目の前で死ぬことになる。デウスエクスマキナは、このルートを潰したいと思ってる」


「でも! ほら、メイリアの石化は解けたでしょ? 何か変わってきているのかもしれないし」

「呪いは簡単に解けるものじゃない。メイリアだって、今だけ、監視の目をうまく避けられているのかもしれない。本当はわからないの」

 エレノアが真剣な表情で言う。


「・・・・・・」

 花音が下を向く。


「花音の願いを聞かせて」

 ナナキを避けて、花音に近づいた。


「主になる前に、貴女の願いが知りたい」


「私は・・・・魔法少女戦争の勝者になって、魔法少女全員を助けたいの。過去の魔法少女もみんな助けたい。だって、みんな普通の女の子になりたいでしょ? 私にそんなことができるのかわからないけどね」

 花音が自信なさげにほほ笑む。


「・・・・・!」


 花音が放つ黄金のような魔力が、エレノアには見えていた。

 少し驚いた後、長い瞬きをする。


「デウスエクスマキナにも、見えていたのね」

「ん?」

 花音が首を傾げた。


「ううん、何でもない。私ね、昔の魔法少女戦争の勝者だったの」


「えっ!?」

『!?』

 ナナキと花音が同じように目を丸くしていた。


「私じゃ、魔法少女戦争を止めることができなかった。きっと、三賢ほどの力が無かったのね。そうだ、少し話しましょう」

 エレノアが白銀の髪をリボンで結び直す。


「アヌビスの許可ももらわなきゃ、契約してもらえそうにないからね」

『・・・・・・・』

 ナナキが無言で、テーブルの前に椅子を出した。


「ナナキ!」

『言っておくけど、話し聞くだけだから』

「うん。よろしくね、エレノア」

 エレノアが椅子に座って背もたれに寄りかかる。


「あ、エレノアもハーブティー飲む?」


「うん。いい匂い、ローズマリーかな?」

「当たり。デウスエクスマキナが調合してくれて、ミントも少し入ってるよ」

 花音が慣れない手つきで、デウスエクスマキナの用意したハーブティーを入れていた。

 軽くテーブルに飛び散っている。


「おっと、もしかして注ぎすぎたかな?」

「大丈夫、大丈夫。ありがとう」

 食器のカタカタする音に、エレノアが笑いながらカップを受け取っていた。

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