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魔法少女戦争 ~ロストグリモワールを俺は知っている~  作者: ゆき
第十章 夢幻泡影

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op12 花音のための場所

「さっきは冷たくしちゃってごめんね。色々あって・・・あ、この場所は気に入ってくれた? マリア専用の場所を作るの、結構難しくて」

 デウスエクスマキナの後ろを花音が歩いていく。


「私、花音だよ。マリアって慣れなくて」

「わかった、花音ね。ここはエジプトの様式も取り入れてるの。落ち着くでしょ?」


「えっと・・・この場所は・・・?」

 花音が戸惑いながらこめかみを掻く。


「花音のための場所だよ」

「私の・・・」

 デウスエクスマキナが花音に用意したのは、王宮の中庭のような場所だった。


 花と花の間を、蝶が飛んでいる。

 装飾の施された柱が並び、庭を囲むように清らかな水がさらさらと流れていた。

 

「花のある場所は落ち着くでしょ? 私のいる歯車の部屋だと、自由にできないし、ここなら私もすぐ来れるから」

 デウスエクスマキナが赤い薔薇を出して、中央の丸テーブルの上に置いた。

 ハーブティーを注いで、お菓子を置く。


「モニターも表示できるようにしたから試してみて。制限はあるけどね」

「あ、うん」

 花音が指を動かしてモニターを表示した。


「配信もしたければしていいよ。配信は花音の力になるから。魔法は制限してる。ここから出たり、攻撃したりする魔法は全て封じてるの」

「リリス、どうして? みんなのところに戻っちゃ駄目なの?」

「デウスエクスマキナって呼んで」

 デウスエクスマキナがほほ笑む。


「私は機械仕掛けの神デウスエクスマキナだから」

 髪を耳にかけた。


「じゃあ、デウスエクスマキナはどうしてこんなことを?」

「花音の安全性を確保するため」

「私の安全性?」

「そう。ここを離れて、魔法少女戦争に行けば、呪いがある限り、リリスの目の前で死ぬことになるから」

 デウスエクスマキナが薔薇の花びらに触れる。


「運命は変わってきてる。だからこそ、花音には慎重に進んでほしい。そうそう、アヌビスも連れてくるね。この庭は・・・」

「ふふ・・・」

 花音が力が抜けたように笑う。


「デウスエクスマキナもここに座って?」

「え?」

 花音が丸テーブルの椅子に座って、正面を指す。


「そんな固くならずに、ラフに話そうよ。リリス・・・じゃなくて、デウスエクスマキナを疑ったりしないから」

「ちゃんと疑わなきゃ駄目」

「わっ・・・」

 デウスエクスマキナが花音のおでこを人差し指で突く。


「花音はそうゆうお人よしなところがあるから、足元すくわれるの」

「私だって信じられる子しか信じないよ」

「はぁ・・・・」

「あ、待って」

 デウスエクスマキナが丸テーブルから離れる。


「ちゃんと話そうよ」

「今度ね。それより、花音の主を変えなきゃいけないの」

「えぇっ!? カイトから? どうして?」

 花音が勢いよく立ち上がると、テーブルがガタガタ揺れる。


「カイト・・・に何かあったの? 無事だよね?」


「もちろん。でも、花音がこのままサマエルと契約していたら、運命は同じルートを辿ることになる。歯車の動きは変えられない」

「それって・・・・・」


「花音はリリスの前で死ぬことになる」

「っ・・・」

 花音が口をつぐむ。


「人間になったサマエルと、主の契約を結ぶのは花音にとって良くない」

「でも・・・本当に死んじゃうかな? って、あまり信じられなくて。カイトは幼馴染だし、気心知れててやりやすいんだけど・・・・」

「花音はカイトのこと好きだもんね?」


「そ、そ、そうゆう意味じゃないよ!」

 花音が顔を赤らめて両手を振った。


「わかってる。マリア・・・花音とは長い付き合いだもの。魔法少女戦争に勝ちたいでしょ?」

「・・・・うん。自分の使命だと思ってる」

 花音が俯いて、小さく頷く。


「じゃあ、主はカイトじゃダメ。私がちゃんと主を用意するから、しばらくここでのんびりしていてね」

「あ・・・・デウスエクスマキナ」

 花音が諦めて、座っていた。

 デウスエクスマキナがふわっと飛んで、中庭から出ていく。


 



 デウスエクスマキナが地面に展開した魔法陣から、歯車の部屋に移動していた。

 長い瞬きをして、髪を後ろにやる。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴ


「いい感じに回ってるね」

 歯車ひとつひとつを確認しながら歩いていた。


「エレノア、来てくれてありがとう。『死者の国』でサマエルとは会ったんでしょ?」


「デウスエクスマキナ・・・・」

「怖い顔しないで。悪い話じゃないから」

 デウスエクスマキナが椅子に座って足を組んだ。


「あ、元々熾天使なんだもんね。白い翼がしっくりくるね」


 白銀の髪を赤いリボンで結んだ少女、エレノアが立っていた。

 背中には純白の翼が生えている。


「私に何の用?」

 エレノアが警戒しながら。デウスエクスマキナに声をかける。


「ちょっと待ってね。んーと、ここを動かして、と」

 デウスエクスマキナが機嫌よく人形をつまんでいた。

 テーブルに置いたボードの人形を一つ動かしてから、エレノアのほうを向く。

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