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魔法少女戦争 ~ロストグリモワールを俺は知っている~  作者: ゆき
第九章 心恋

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op11 リリスとデウスエクスマキナ

 夜空には満天の星と、大きな月が浮かんでいた。

 リリスがふわっと屋根に乗る。


『デウスエクスマキナ様』

「?」

 AIルルがデウスエクスマキナの指を引っ張った。


「デウスエクスマキナ」

「リリス、貴女と会うのは500年ぶりね」


 デウスエクスマキナが立ち上がって、リリスと向かい合う。

 同じ顔、同じ身長、同じ服、同じ声だった。


「私の"成れ果て"・・・」


「そうだったね。機械仕掛けの神だけど、元はリリスの"成れ果て"」

「・・・・・」

 リリスがデウスエクスマキナに手を伸ばすと、デウスエクスマキナがリリスの手を取って、自分の頬にあてた。


「ふふ、あの薔薇のところに行かなくてもいいの? サマエルが取り込まれてるんだよ」

「私があの黒い薔薇を斬ったら、"成れ果て"もろとも死んでしまうことくらいわかってるくせに」

「へぇ、意外と冷静」


「カイトを信じてるから」


 リリスが言うとデウスエクスマキナがほほ笑んだ。


「マリアは?」


「マリアは私と一緒にいる。大好きなマリア、何度生まれ変っても魂は変わらない。私にとって大切な友人であり、愛する人」

「相変わらずだね。マリアを見つけたの?」

「本当は、わかってるくせに」

「・・・・・・・」

 リリスと同じ口調で言う。


『どちらもデウスエクスマキナ様? リリス?』

 AIルルが2人を交互に見て混乱していた。


「どうして、今回の魔法少女戦争の地を電子世界で行うようにしたの?」

「内緒」

「マリアのため?」

「内緒」

 デウスエクスマキナが指を口に当てた。


 リリスの瞳がサファイアのように輝く。


「マリアを連れていったでしょ?」

「もちろん。リリスといると、マリアはリリスの目の前で死ぬからね。安全なところに連れて行ったよ」

「・・・そう、私といると、呪いが発動しちゃうもんね。カイトもメイリアも私に隠そうとしてたけど、バレバレだよ」


「サマエルだって、リリスの恐ろしさ、わかってるはずなのにね」

「わかってるから、言わないのかな? カイトの考えてることは難しいの。私にも心を開いてくれない」

 リリスが寂しそうに笑う。


 雲が月明かりを遮った。


「私が何度もサマエルを愛するように」

「私は何度もマリアを愛する」


 リリスとデウスエクスマキナが手を合わせる。


「やっぱり、私の”成れ果て”だね。愛する気持ちはわかるよ。でも、もう終わらせようよ」

「ううん、魔法少女戦争は終わらせない」


 デウスエクスマキナがリリスから離れて、魔法陣を展開した。


「魔法少女戦争がある限り、何度でも生まれ変わったマリアに会うことができる。どのマリアに出会っても愛しく感じるの。ううん、生と死を繰り返すほどにマリアへの愛は深まっていく」

 胸に手をあてながら言う。


「リリスが生まれ変わったサマエルを愛するように、私はマリアを愛するの。私たちは同じだから。この愛に終わりはないと思わない?」


「私はもう、こんなの苦しいのに・・・・」

「苦しみこそが、愛だよ」

 デウスエクスマキナのサファイアのような瞳が曇る。


「デウスエクスマキナ」


「この愛はリリス(わたし)以外は、誰にも気づかれてはいけない。マリアは誰にも渡さない、誰にも傷つけさせない、永遠に私のもの」


『デウスエクスマキナ様』

 AIルルがデウスエクスマキナの肩に乗る。


「デウスエクスマキナと喧嘩するつもりはない」

 リリスがデウスエクスマキナに背を向けた。


「でも、今回魔法少女戦争の勝者になるのは私とカイトだから」


「じゃあね、リリス。また今度」


 シュッ

 

「・・・・・・」

 デウスエクスマキナとAIルルがが消えていく。


 リリスが杖を出して、地上に視線を向ける。

 黒い花が中庭を突き破って、外に出ていこうとしていた。

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