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魔法少女戦争 ~ロストグリモワールを俺は知っている~  作者: ゆき
第九章 心恋

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op8 大好きな友達

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


「いたたた、どこ? ここは・・・わっ、床が動いた?」

 花音が起き上がると、歯車に囲まれた広い部屋にいた。

 

『見覚えのある部屋だ・・・』

「あれ? ナナキ・・・でいいんだよね?」


『あぁ、姿を強制的に変えられた。なぜこんなところに・・・まさか・・・』

 ナナキはエジプト神、アヌビスの本来の姿、黒い犬になっていた。


 デウスエクスマキナがふわっと降りてくる。

 つま先が着くと、ナナキのほうを見る。


「久しぶりね。アヌビス。もう、貴方は私のことを覚えてないでしょ?」

『今、思い出したよ。忘れたかったけどね』


「ふふ、元の姿に戻したから怒ってるの? 私なりの親切心だったんだけど」

 ナナキが牙を剥き出しにして、デウスエクスマキナを睨む。


「リリス・・・なの?」


「ううん。私はデウスエクスマキナ」


「デウスエクスマキナ・・・?」

「そう」

 花音が首をかしげると、デウスエクスマキナがほほ笑んだ。


「花音にはしばらくここにいてもらおうと思って。あ、三賢のマリアって呼んだほうがいいかな?」


『お前!!』

 アヌビスが飛び掛かると、デウスエクスマキナがすっと避けた。


「ここでは何をしても無駄。私の部屋の中なんだから」

「三賢のマリアってどうゆう意味・・・?」

 花音が魔法少女の鍵を握り締めた。


 ゴォッ


「きゃっ」


 デウスエクスマキナが指を振ると、花音とナナキの前に黒い柵が現れた。

 花音が尻もちをつく。


「三賢のマリアの話は、もちろん聞いてないもんね? アヌビスは知ってるんでしょ?」


『・・・・・』

「ナナキ、どうゆうこと!?」


 ナナキがデウスエクスマキナを睨みつける。


「ちゃんと三賢について説明しなきゃね。昔々、聖杯の水を飲み魔法少女になった3人がいるの。はじまりの魔法少女であり、魔法少女戦争のきっかけとなった3人。3人は魔法少女になると同時に、呪いを受けた」

 

 歯車の音が小さくなっていく。


「リリスは不死の呪い。何をされても死なない、死ぬことができない呪い」

 デウスエクスマキナが人差し指を立てて口に当てる。


「メイリアは石化。サマエルが呪いを解いたのには驚いたけどね」


「何の話を・・・・」


「マリアは魔法少女戦争で死んで、全ての記憶を失って生まれ変るの。何度でも、何度でも、同じように生まれ変わって、魔法少女戦争に参加する」

 花音を見下ろす。


「でも、不死であるリリスの前で必ず死ぬの。自分が三賢のマリアだったって気づくときには、もう遅い。だから、サマエルとメイリアは貴方がマリアだったと知っても、何も言わなかった」


「え・・・・・」


「花音、貴方が三賢の1人マリアだよ」

 デウスエクスマキナがサファイアのような瞳をまっすぐ向けた。


「・・・・・・」

 

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


 歯車の音が大きくなる。


『デウスエクスマキナ、お前の狙いはなんだ!?』

 ナナキが声を荒げた。


「狙い? そんなの正直に・・・」

「はは・・・・全部、繋がったよ・・・」

 花音がデウスエクスマキナの声を遮って、気が抜けたように言う。


「何・・・・?」


「よかった。初めて会ったときから、初めてだって気がしなかった。本当はね、リリスともっと仲良くなりたかった。でも、なかなか言えなくて・・・近づきたくても近づけなくて・・・憧れっていうのかな? きっと、今までもずっとそうだったんだと思う」


「・・・・・・・」

「ねぇ、私はどんなときもずっと親友だと思ってるから」


「・・・・親友?」


「そう。大好きな、大好きな友達」

 花音がほほ笑んで、柵の間からリリスに手を伸ばした。


『花音・・・』

「ナナキ、私、リリスを独りにしたくない。リリス、ここから出して」

 袖を引っ張るナナキの頭を撫でる。 


「勘違いしないで、私はデウスエクスマキナ。機械仕掛けの神だから」


「ううん、違うよ。私はリリスを間違えない」

 

「・・・・・・・・!」

 花音が首を振ると、デウスエクスマキナが一歩下がって背を向けた。


「・・・サマエルと同じことを言うのね・・・」

「カイトも?」


「好きに思っていればいい・・・全ては計画通りだから」


 デウスエクスマキナが軽く浮き上がった。  


「花音には魔法少女戦争からしばらく離脱してもらう。柵の中でおとなしくしててね」

「え・・・・」

 背中を向けたまま言う。


 空中から杖を出した。

 杖を回して、飛びながら歯車の動きを調整していた。




 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ



「何を言っても、もう止める気はないから」

 デウスエクスマキナが小さく呟く。


 無表情のまま中央のテーブルのほうに向かった。

 ボードに置かれた人形が、一つ一つ動いていた。

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