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結婚経験ナシのおっさんが、いきなり聖女と令嬢と獣耳娘の保護者になったら  作者: 大橋 仰
②南都攻防戦 編

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いつの間に

 パイセンの言いつけに従って、俺はヒビキを連れて女神様がいる王城に戻ろうと思っていたのだが、

「ウチ、天界に帰るわ。ずっと留守にしておく訳にもいかないからね」

という言葉を残し、ヒビキはサッサと天界目指して帰って行った。


 服はボロボロだけど、あんまりダメージは受けていなかったようだ。

 なんだよ、大の字になって倒れてたから心配してやったのに…… って、あれ?


 ひょっとして俺、ヒビキに騙されたのか?

 演技が壊滅的に下手クソでお馴染みの、あのヒビキの演技に騙されたっていうのか?

 うーむ…… よし、俺が騙されたってことは、絶対ホニーには秘密にしておこう。

 アイツがこのことを知ったら、また何を言われるかわからないからな。


 そういう訳で、俺は一人でユラユラと空中を漂いながら王城の窓を目指すことにした。


「流石に今日は疲れたし、ちょっと休みたいな」

 などと呑気にひとり言をつぶやきながら、ボロボロになった王城の窓から室内に入ると——


「あっ、ミミーじゃないか! お前、南都に到着してたんだな」

 なんと俺の心のオアシス、ミミーが室内にいるではないか。


「オウっ! オレっち、ドドーンと到着だゾ!」

 駆け寄ってきたミミーを両手で抱え上げた。

 いいか? 絶対に抱きしめてはいないからな!

 また誤解が広がると、とても困るのだ。


 ミミーを優しく地面に降ろした後、再び室内に視線を戻すと——

「クローニン侯爵もオソレナシー将軍も、みんな到着してたんですね」

 輸送任務を途中で放棄したヒビキによって、どこかの街に放置されていたインチキ王国のメンバーも、無事南都に到着していたようだ。


「ひょっとして、ここまで歩いて来たんですか? まったくヒビキのヤツときたら、本当に仕事が中途半端で——」


「チョット! アンタ、今までどこほっつき歩いてたのヨ!」

「カイセイさん、なにノホホーンとした顔してるの!? みんな、心配してたんだからね!」

 ホニーとアイシューによって、俺の話はさえぎられた。


「なんだよ、俺だって疲れてるんだよ。ちょっとぐらいミミーと喋って癒されたって、バチは当たらないだろ」


「その前に教えて欲しいの。お城の外で、いったい何があったの?」

 真剣な表情でアイシューが言葉を向けてくる。


「そんなの、女神様、じゃなかった、コテラに聞けばいいじゃ…… って、あれ? コテラはどこに行ったんだ?」


「それが…… 『危険は去りました。カイセイさんもパイセンも無事です。私は一度、天界に戻ります』と言い残して、窓から外へ飛んで行かれてしまったの」

 女神様ってば、もう女神の巫女コテラ設定はどうでもよくなったのかな。

 まあ、ついさっきコズールイから、盛大に本当のことをバラされてたし、多分ここら辺が潮時だと思ったのだろう。


「陛下、よろしいですか?」

 ここで我が国の頼れる宰相、クローニン侯爵が発言の許可を求めてきた。

 宰相は本当に堅物だ。

 俺が『ダメです』なんて言うはずないのに。


「もちろんです、どうぞ」

 俺は発言を促す。


「我々のことは後ほど話しますので、先ずは悪魔教徒首魁がどうなったのかということをお話しいただけませんか? ここに集う皆様方も、きっと陛下のお言葉をお待ちのものと推察いたします」


 まあ、そりゃそうなるか。

 コズールイの放った魔法の光る球を破壊した時、結構大きな音がしてたからな。


「我々からも、お願い致します」

 ここにいる一同を代表するように、ミナミノ国のカーセロ王が真剣な表情で口を開いた。


「あっ、なんだかモタモタしちゃってスミマセン。直ちに事の顛末をお話しさせていただきます」

 前回のターンで事実上の上司であったカーセロ王と話す時、どうしても緊張してしまうのは仕方のないことだ。


 それから俺はちょっと緊張気味に、これまでの経緯について話をすることになった。



 だいたいの内容は伝え終えたかなと思った時、ホニーが力強く言い放った。

「お城の外で何があったのかはわかったワ。それで、これからどうするつもりなの?」

「え?」

 いや、その…… 俺はこれから休息をとるつもりだったんだけど……


「『え?』って何ヨ。アンタまさか、この後のことを何も考えてなかったなんて言わないでしょうネ?」


「バババ、バカなこと言ってんじゃねえよ。ちゃんと考えてるに決まってるだろ。ですよね、クローニン宰相?」


 今後のことなど無論何も考えていなかった俺は、いつものように侯爵を頼ることにした。


 しかし宰相は、

「そうですね…………」

と、言っただけで、何やら思索にふけってしまわれたようだ。


 沈黙が室内を覆う。

 どうしよう、ここは俺が何か言わないといけないよな。

 焦りながらそんなことを考えていると——


「あの、少しよろしいでしょうか?」

 キタノ国の皇太弟シオスの声が室内に響いた。


「意見があるなら、積極的に発言してくれて構わないよ」

と、俺はそれらしいことを言ったのだけれど、心の中はシオスへの感謝の気持ちで溢れていた。

 無能で無策な俺を助けてくれて、本当にありがとう。


「悪魔教徒首魁の出現により、ここまで想定外の出来事の連続でしたが、本来ここへ来た目的は、すべての人間族国家間で新しい盟約を結ぶことでした。幸にして、ミナミノ国王陛下も同意していただけるようですので、改めて盟約の内容について話し合いませんか?」

 そうなのだ。

 実は俺の知らない所で、そんな話が進んでいたのだ。

 よし、じゃあもう、そういうことで話を進めてしまおう。

 でも、俺は疲れているので、ちょっと休憩時間はもらうことにしよう。


「流石はシオス、やっぱりいいことを言うね。それじゃあ、みなさんお疲れのことと思いますので、ここは少し休憩をはさんで、それから——」


「待って欲しいのです」

 そう言って、俺の話をさえぎったのは、参の国の頭脳ことナレードだった。


「もちろん、盟約の話は進めるべきなのです。でも、まずは先のニシノ国の国王について、何らかの処分を下すべきではないのですか? これはインチキ王国にとって、先送り出来ない問題だと思うのです。どうですか、クローニンインチキ王国宰相閣下?」


「いやはや、流石はナレード殿下ですね。実は先王の問題を早く解決したかったのですが、各国の王侯貴族の方々をお待たせするのはいかがなものかと思案しておりまして」


 え? そんなことを考えていたんですか、クローニン宰相?

 というか、ナレードはそんな宰相の思惑まで察することが出来るのか?


 よし、俺は今後一切、政治に口出しするのはやめよう。

 これからは、頭の良い人たちに全てお任せすることにしよう。

 あれ、既に今までもお任せしてたっけ?


「自国のことにしか考えが及ばず、恥ずかしい限りです……」

 シオスがシュンとした顔で、そんなことを言ったので、


「なに言ってんだよ、シオスは本当に素晴らしい青年だよ。みんなが意見を言いにくい雰囲気の中、一番に口を開くことなんて、なかなか出来ることじゃないよ」

と、励ましの言葉を述べたのだが、


「……ありがとうございます」

と言ったシオスの表情は暗い。


 これはもうちょっと励ましてやる必要があるなと思っていると、

「シオス様はご立派です!」

という声が背後から聞こえてきた。


 驚いて後ろを振り返ると、なんとそこには——


 アイシューの姿があるではないか!?


「ありがとうございます!!!」

 シオス青年の顔が華やいだ。


 あれ?

 おい、ちょっと待てよ。

 お前ら、いつからそんな仲良しになったんだ?

 ひょっとして、二人は付き合ってたりするのか?


 そう思ったのは俺だけではないようで、シオスの姉のニシノ国王シーナは、


「シオスったらいつの間に、アイシューちゃんと親しくなったの? そういうことは、ちゃんとお姉さんに報告しないとダメでしょ?」

と言い、ホニーは、


「アンタたち、なにラブラブしてるのヨ! アイシューったら、顔を真っ赤にしちゃって。いっそのこと、もう付き合っちゃえばいいのよ、ヒューヒュー!」

と、中学生のようなことを言い、参ノ国のナレードは、


「フッ、これでライバルが一人消えたのです」

と、腹黒いことをつぶやいた。


 ちなみにナレードの姉であるレネーゼは、ボーッとしながらハナクソをほじくっていた。

 自分のターンじゃないからって、気を抜いてんじゃねえよ。

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