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結婚経験ナシのおっさんが、いきなり聖女と令嬢と獣耳娘の保護者になったら  作者: 大橋 仰
②南都攻防戦 編

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パイセンの妙案

「この凄まじい攻撃力…… もしかして、キサマがインチキ王なのですか!?」

 俺の超級魔法を受けたコズールイが、驚きの表情を浮かべて俺の顔を見つめている。


 フッ、やはり俺の攻撃を受けて、コイツはビビっているようだ。

 ならばと思い、俺は調子に乗って次の言葉を放った。


「フフッ、我は超級魔法の使い手にして人間族最強魔導士である岸快晴。我が身は常に女神様の隣にあるのだよ」

 俺はカッコをつけてそう言ったのだが——


「常に隣にいる? キサマ、いつもこのポンコツ女神の隣にいて、恥ずかしくはないのですか?」

 なんだよ。コイツってば、コテラが女神様だとわかった上で、女神様をおちょくってたのかよ。


「真顔で恥ずかしくないのかと問われると、何と返答してよいやら……」


「ちょっとカイセイさん! ここはキッパリ、ハッキリ、ドッキリと否定して下さい!」

と言ったのは、ご立腹のご様子の女神様。


「それでは…… 『うわっ、ビックリした! でも違いますからね!』って…… うーむ…… きっと、こういうことじゃないんでしょうね……」

 ダメだ…… お題が難しすぎて、上手くボケられない。


 そんな俺の様子をなぜか気の毒そうに見ていたコズールイが、ため息混じりに言葉を漏らす。

「私の部下の情報では、インチキ王は幼女を見るや有無を言わさず襲いかかり、敵を見るや見さかいなく超級魔法を放ってくるイカれた男だと聞いていたのですが…… キサマ、結構まともな人じゃないですか」


 なんだコイツ? コイツって、実は良い人だったりするのか?


「カイセイさん、騙されてはいけません! あなたは精神攻撃を受け洗脳されかかっているのです! この男が言っていることは、すべてデタラメです!」

 ちょっと女神様、なに言ってるんですか?

 それなら俺は犯罪的幼女愛好者で、なおかつ猟奇的殺人者ってことになるじゃないですか……


「黙れ、このポンコツ女神め! キサマは味方にまで精神攻撃を向けるのですか? なんと凶悪な女神なのでしょう……」

 あれ? ひょっとして、俺今、女神様から精神攻撃を受けてたのか?

 実はコズールイの方がマトモな人物なのか?


 ハァ…… 女神様と関わると、なんだか頭の中が暴風警報発令中だよ。

 そう言えば、以前ホコーラの街で出会った女神の巫女のバーサンさんが言ってたな。

『女神様と出会って以来、あたしの人生、毎日が奇想天外だよ』って。



 さて、そんな警報発令中の俺の頭のことなどお構いましに、また女神様とコズールイの口喧嘩が始まったようだ。


 女神様の奇想天外度合いや、コズールイが常識人かどうかって話は一旦置いておくとして、これは再び攻撃のチャンスがやって来たってことでいいよな?


 俺はもう一度、魔法防壁から出て超級魔法を使おうとするが、


「何度も同じ手はくいませんよ!」

 そういいながら、コズールイが自分の両腕を胸の前でクロスさせた。


 これは防御の姿勢をとったということなのだろうか?

 なら、効くかどうかわからないけど、とりあえずもう一度魔法を放ってみるか。



「ぐぇぇぇーーーー!!!」

 コズールイが叫んだ。

 俺が放った超級魔法は、きっちりコズールイを捉えていたようだ。


 しかし——


いてぇぇぇーーーー!!!」

 なぜか俺も叫んだ。

 モロにコズールイの魔法攻撃を受けてしまったようだ。


 なんだよ、さっきの胸部を守るような動作は、防御のための準備じゃなくて魔法の発動に必要な動作だったのか?

 困るよ…… わかりにくいじゃないか……


 どうやら森林族も無詠唱で魔法を使えるようだけど、それなら魔法の発動前に、『これでもくらえ!』とか『これでキサマも終わりだ!』とか、何かひとこと言ってからにしてくれよ。



 そんなどうでもいいことを考えながら俺が痛みでモダえ苦しんでいると、俺の襟首をつかんだホニーとアイシューに魔法防壁の中へと引き戻された。


「チョット! アンタ調子に乗ってんじゃないわヨ!」

「相手の魔法が直撃したみたいだけど、カイセイさん大丈夫なの!?」


「た、助かったよ……」

 ヤバイ! 俺のHPが4分の1ぐらい削られていた…… 危ない。本当に調子に乗ってたな、俺。


「今、ヒールをかけるっス」

 パイセンが慌てて俺に近づき、ヒールをかけてくれた。かけてくれたのはいいんだけど……


「クックックッ」


「……おいパイセン、なんで笑ってるんだ? それから、ちょっと怖いんですけど」


「カイセイ氏のさっきの行動はちょっと軽率だったっスけど、これでコズールイの攻撃力がわかったっスね。ほら、コズールイを見てみるっスよ。アイツ、自分でヒールを使ってHPを回復させているじゃないっスか、クックックッ」


「え?」


「ジブンもコズールイのMP総量は測定出来ないっスけど、あんなに必死になってヒールを使ってるんだ。相当MPを消費してるはずっスよ」

 なんだか、パイセンさんがとても愉快そうにお話されている。


「でも、俺だって相当HPが削られたんだけど……」


「ハア? ジブンがヒールを使ってやったから、カイセイ氏のHPはもうパンパンっスけど、何か?」


 そうか。

 俺は魔力無尽蔵の女神の使徒パイセンにヒールをかけ続けてもらえる。

 一方のコズールイは自分でヒールをかけないといけないのだから、そのうちMPが尽きてしまう。

 お互い攻撃を受けても即死しないなら、持久戦に持ち込めばいいんだ。

 そうすれば、最終的に俺が勝つっていう算段だな。


 でも……


 コズールイの魔法、スッゲエ痛いんだよ……

 いくらHPは回復するって言っても、痛いものは痛いんだよ……

 周りに誰もいなければ、号泣するぐらい痛いんだよ……



「いや、でもさあ、ほら、ホニーやアイシューだって俺のことを心配してるみたいだし……」

 一縷いちるの望みを胸に秘め、俺はホニーとアイシューに視線を向けるが——


「パイセンが言うんだから、その作戦で間違いないのヨ! さあカイセイ、さっさと魔法防壁から出なさい!」


「パイセンさんが大丈夫って言うんだから大丈夫なのよ! カイセイさん、早くコズールイに超級魔法を放って!」


 ですよね……

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