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第30話 文化祭の準備ってなんだかんだ楽しい。

今週の金土で文化祭、各クラスでは看板を作り、女子達はデコレーションを制作し、男子達は力仕事を行う。うちのクラスは喫茶店なのだが、実はうちのクラスだけは早い段階からちょっとずつ準備を始めていた。

なぜって?俺が担任に提案したからだ。それは前に遡る。


「さて、前も伝えたが、文化祭があるからしっかりと準備を始めるように。」

「あーんじゃ先生、今週から始めていいっすか?」

「どうしてだ?そんなに焦ってやることでもないだろ?」


担任が「何故?」という表情をしてクラスメイト達も俺に注目してくる。2週間でも十分な期間のはずだ。間に合わなくなりかけても急げばいいんじゃ?そんな雰囲気がでる。


「ようは安全係数っすよ。」

「安全係数?」


安全係数、その言葉は製造業界や車関係、建設業界以外ではあまり聞かないだろう。

安全係数とは、設計値と実際の使用時の値との間に設ける「余裕」の倍率で、構造物や製品が壊れたり機能停止したりしないよう、不確実性やリスクに備えるために用いられる数値の事だ。


「まあわかりやすく言いますと、例えが違うかも知れないっすけど2週間や3週間で終わらせられるものをあえて1ヶ月かかるって伝えるようなもんすよ。余裕を持たせるって事っすね。」


違うと思うが大体そんなものと思ってくれていい(と思う)。

前世であったんだよ。とあるサバゲーショップで電動ガンのカスタム頼んだら「2週間で終わるよ。」と自信満々に言われて2ヶ月半くらいかかった事が。それ以降その店に二度とカスタム頼まなかったけど。しかもゴミになって帰ってきたからな。金返せよ。

おっと、逸れてしまったな、すまんすまん。


「早く始めるって…?」

「何をやるんだ?」


クラスメイト達がざわつく。んなもん簡単だ。小物を作ればいい。納期がずっと先にあるのなら先に細かい物、デコレーションなどを作り来週から看板を作ればいい。すれば周りの教室が忙しく作る中俺たちはゆっくりできる。教室の邪魔にならない物を先に作るのだ。


「何を作るのかしら?」

「花紙で花を作るとか、喫茶店に使う看板の適当な画像とかを作る。んで来週から看板制作を始めて、花をつけたり画像を印刷して貼り付ければいい。」

「めんどくせえな〜」


まぁ面倒臭いだろう。俺自身も思っている。だが今から始めればクオリティも上がるし作業も楽になる。

だが有無は言わせない。やりたいと言った奴らがやるのだ。やると言った以上売り上げだって黒字にしなくてはならない。赤字なんてごめんだ、元を取らなければ話にならないからな。


「久川君、大丈夫なの?」

「安心しろ、店はクオリティが大事だ。それにな?」


柊やクラスメイトたちが俺を見てくる。


「来週準備期間ということは授業は無い。早く終われば遊び放題だぞ?」


そう、準備期間はほぼ授業がない。なんたって出し物を決めてるからな。デコレーション制作や看板制作が始まればその分時間を使わなきゃならないし教室だって片付けが始まる。だから早めに準備するのさ。


「やるか。」

「やろう!」

「早くおわそうぜ!」


やる気出し始めたなこいつら。それはそうだ。制作が早く終わればこっちは遊べる。漫画を読もうがゲームをやろうが関係ない。授業がないからな。


「まったく‥まぁいいけど。提案した以上あなたもやって貰うわよ?」

「へいへい、ま、休み時間を削ってやってやるよ。」


自業自得だがまたやる事が増えちまった。まぁ台座の製造はほぼ終わってるから良いけど。


休み時間、俺と柊、平賀の3人で花を作る。これ作るの小学生以来だぞ。


「ったく、余計な提案しやがって。」

「まあ来週確実に楽になるぞ?先に小物を作っとけばいいんだ。」

「ほんとか?」


平賀が疑問の表情を見せてくるが俺は頷く。段取り八分仕事二分という言葉がある。段取りこそが重要で、意味は段取りをしっかりやれば仕事は早く進み成功する。という意味だ。


「段取り八分仕事二分という言葉がある。」

「なにそれ?」

「段取りができりゃ仕事は早く終わるって事さ」


柊もきょとんとする。2人がなんでそんな言葉知ってるの?みたいな表情をしてくるが気にしない。工場や現場で働くと口酸っぱく言われるんだよ。

ま、社会人っつうか工場勤務の経験だな。


「プラモデルで考えてみな?ランナーを適当に並べて、説明書見ながらやるとランナーを探したりして時間がかかるのに対してランナーをABCと順番に並べ行った方が分かりやすいし早く組み立てられる。その違いさ。」

「本当お前妙なことは詳しいな。」

「へっ、経験だ経験。」


ジョークを交えた反論だ。さーて、おっ始めますか!

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