99-110 あまり進展せず
2月27日(金)の更新ができずに申し訳もないことでした……
m(_ _)m
さて、時間は少し戻って8月23日、メルツェ。
彼女は(というかメルツェDは)ゴウとルビーナがカスタマイズした『レルヒ0』に乗ってセルロア王国へと向かった。
向かうのはセルロア王国北西部、ドガール市。
ここは、『アヒ鉱山』で採掘された金・銀の鉱石を輸送する要衝で、国営企業である『ドガール運輸』の本拠地であった。
ちなみに、その輸送隊が襲われたのはアヒ鉱山とドガール市を結ぶ街道の途中にあるポオ町とピムン町の中間付近である。
メルツェD(以下メルD)はまず、『ドガール運輸』の責任者に話を聞きに行ったのである。
そこで聞いた内容も、ショウロ皇国で聞いた話と大差はなかった。
周りに人気のない街道で。
空中から不意に現れたように見えるゴーレムが。
人的被害は微小、死亡者はなし。
荷物を奪ったあと、いつの間にか消えている。
そしてその次には現場検証。
これもまた、前と同じ。
『転移魔法陣』の痕跡が残っていたのである。
* * *
「奪われたものがお米と鉱石という違いはあれど、手口や経過はほぼ同じですね……」
蓬莱島にいるメルツェはひとりごちた。
「老君さん、まだ2つ目ですけど、これって同一犯の可能性が高いですよね?」
『そうですね、メルツェさん』
「他の事件も調べてみます」
『それがいいでしょうね』
* * *
『アヴァロン』に戻り、最高管理官に中間報告を行ったメルツェは、調査の継続を許可された。
(次はエゲレア王国かしらね……でも明日の話だわ)
『アヴァロン』から『レルヒ0』でその国に向かい、被害を受けた商会で話を聞き、現場検証をして戻って来る。それだけで1日が潰れてしまうのだ。
(『転移門』や『超音速飛行』それに『覗き見望遠鏡』……今更ながらジン様の力って凄まじいです……)
仁が動いたなら、1日で事情聴取と現場検証が終わっていただろうな、とメルツェは考えたのだった。
* * *
明けて24日、メルツェDはエゲレア王国へと向かった。
『アヴァロン』との時差は小さいので楽である。
訪れたのは地方都市ディジールにある商会。
そこで訪れた際の様子を聞き、次いで現場へ向かう。
現場はディジールと隣のジアラル町の中間である。
ここでも、これまでの2箇所とほぼ同じ痕跡があった。
襲われた際の様子もほぼ同じ。
こちらでは、軽銀のインゴットが奪われたのが異なる点、というだけである。
「これで、ますます同一犯の可能性が高まりましたね……」
しかも、いずれも転売しても足がつかないようなものばかりである。
* * *
『アヴァロン』からの距離が近いこともあって、メルDはもう一箇所へ訪れることができた。
エリアス王国である。
事情聴取はリナート町、現場はハンバルフ峠。
その昔、仁とエルザの一行がショウロ皇国目指して越えた峠である。
奪われたのはドーサ鉱山で採れた『魔結晶』である。
ここも、死者はなし、重傷者もなし。
ゴーレムはいきなり現れ、いつの間にか消えてしまっている。
「ここもですか……」
事件の内容といい、これはもう同一犯としか思えなくなってきた。
その日の報告書にもその旨を書き添える。
そしてメルDと入れ替わり、自室に戻るメルツェ。
「うーん……犯人像が浮かんでこないんですよね……」
仁に相談したくても、旅行中なのでそれもかなわない。
ゴウとルビーナに相談するのは、ちょっと違う気がする。
老君には、『もう少し情報が集まらないと、間違った結論を導いてしまうおそれがある』と言われている。
あまりにも似通っている手口のため、情報量としては少ないのだそうだ。
「明日はクライン王国とフランツ王国ですね……」
それが終われば、なんとか仮説が立てられるかも、とメルツェは考えたのである。
* * *
そして25日、メルツェはメルDと入れ代わった。
メルDは『レルヒ0』でクライン王国へ。
場所は北西部のクレンセン町とドドル村の中間、奪われたものは『魔結晶』。
ここも他とほとんど同じ結果であった。
そしてもう一箇所、フランツ王国中北部リンマルドの町へ。現場はそのすぐ北、ドタイとの中間地点。奪われたのはベルサルト鉱山で採れたミスリル銀鉱石である。
「ここも同じ……ここまで同じ手口だと、情報量が少ないわよね……」
そう、『同じ手口を繰り返している』という情報以外、目新しくないのだ。
これでは仮説を立てるのも難しい、とメルツェは内心でため息をついた。
それを狙っているとしたら、犯人はなかなか用心深い、といえよう。
「うーん……残るはミツホだけですね……」
ノルド連邦には被害がなかったため、残る被害国はミツホだけである(公国群にも被害はない)。
夕方、午後4時半に『アヴァロン』に帰ってきたメルツェは、『レルヒ0』内で書いた報告書を持ってトマックス・バートマンに報告を行った。
同時に、翌日はミツホへ行く予定であることと、距離があるために1泊してきたいことも申請する。
「『テクノ49』と『テクノ50』、それに『ララ』が一緒なら大丈夫だろう。必要ならミツホ支部に相談するといい」
「ありがとうございます!」
ミツホは遠い。
『アヴァロン』との時差もマイナス3時間半ほどある。
「こっちを8時に出て、時速350キロで飛べば……3時間半くらいでセキの町に着くと、向こうでも8時になるわけですね」
ざっと暗算してみるメルツェ。
「ミツホでは2箇所あるから、やっぱり1泊した方がよさそうですね……」
一泊する準備も整えたあと、連日の調査行の(精神的な)疲れもあり、メルツェは早々に就寝したのであった。
* * *
そして26日。
『分身人形』と入れ替わったメルツェは蓬莱島へ。
メルDは午前8時半に『アヴァロン』を発ってミツホへと向かったのである。
いつもお読みいただきありがとうございます。
更新ミス挽回のため、次回更新は3月2日(月)12:00の予定です。
20260301 修正
(誤)メルD午前8時半に『アヴァロン』を発ってミツホへと向かったのである。
(正)メルDは午前8時半に『アヴァロン』を発ってミツホへと向かったのである。




