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99-111 メルツェ、ミツホへ

 8月26日。

 『アヴァロン』をったメルDは順調に飛行を続け、予定どおりの現地時間午前8時にミツホのセキの町に到着した。

 飛行場に『レルヒ(ヒバリ)0』を着陸させ、ララを留守番に置き、『テクノ49』と『テクノ50』をお供に、被害を受けた商会を訪問した。


 そこで得られた情報も、これまでとほとんど変わらない。

 盗られた物資はミツホ特産の『和紙』1万枚である。

 

 次いでメルツェは、現場へと向かう。それはセキの町の東、『アアジ』と『セト』の中間である。

 ここはハリハリ沙漠の南端にあたり、北側は岩と砂礫の荒野であった。


「ここも同じようですね……」


 『テクノ49』からの報告を聞き、メルツェは、目新しい情報はないことを知った。


*   *   *


 そして、ミツホにはもう一箇所、被害を受けた場所があった。

 それは首都ミヤコの西にある『インノ』と『クレ』の集落の間である。

 奪われたものは『岩塩』1トン。

 商会は直前に確認しに行ったところと同じなので、ここでは現場確認のみだ。


「やっぱり、ここも同じ……」


 少し肩を落としながらも、メルツェは必要事項をメモし、現場の画像を記録した。


「今日は、ここまで。……うーん……泊まるのはミヤコがいいかしらね……」


 首都であるから宿泊施設も多い。

 予算は下りているので、最低限の宿ではなく、そこそこの旅館に泊まるつもりだ。

 メルDなので、野宿でも問題ないのだが、それではあまりにも怪しすぎる。

 なので年頃の女性が泊まってもおかしくない程度の宿にしたわけだ。

 さすがに高級ホテルはあとで怒られそうなのでやめておこう、とも考えたメルツェであった。


*   *   *


 そして『レルヒ(ヒバリ)0』はミヤコの飛行場へ。

 『アヴァロン』の公務であることを告げ、作ったばかりの身分証を見せると、無料で『レルヒ(ヒバリ)0』は預かってくれることになった。

 しかも、飛行場にある格納庫に入れてくれると言うので、素直に頷いた。

 ついでにおすすめの旅館も教えてもらったメルツェである。


 時刻は午後3時。

 ララ、『テクノ49』、『テクノ50』を引き連れて歩くメルDはかなり目立っている。


「ええと、『迎賓館』の裏手……ああ、ここですね」


 静かな環境に建つ、落ち着いた旅館『水鏡すいきょう亭』。

 それがメルDたちの今夜の宿であった。


 事前に聞いていたとおり、『自動人形(オートマタ)』もゴーレムも同伴可である。

 この時期は比較的空いているらしく、静かな『離れ』に案内された。


「わあ……」


 離れは旅館の庭園に面しており、和洋折衷ではあるが落ち着いたたたずまいの景色が居ながらにして楽しめる。


「落ち着きますね……」


 メルDの視界を通じ、慌ただしかった1日の終わりに、こうしてくつろげることに感謝しつつ、メルツェは考えをまとめていく。


「ここまで、奪われたものこそ違えど、手口はほぼ同じ。同一犯の可能性大。同時に、大きい組織である可能性あり」


 各国に出没しているところから、組織的な犯行と判断したわけだ。


「うーん……これ以上は、情報が少ないので、無理に推測しないほうがいいでしょうね」


 間違った先入観をいだくとまずいですから、とメルツェは判断した。


「老君さん、いかがでしょう?」

『そうですね、メルツェさんの判断は間違ってはおりません。……ところで、これまでの調査によって、1つわかってきた事実があるのですが、どういたしましょうか?』

「えっと、それは、私が聞いたほうがいいのでしょうか?」

『そこが難しいところなのです』


 老君としても判断に迷うことってなんだろう、と考えながら、メルツェは聞き耳を立てた。


『今のところ、私にしか解析できない新事実が1つ、判明したのですよ』

「それって、この先、私にもわかるようになるんでしょうか?」

『いえ、メルツェさんでは無理ですね』

「では、『アヴァロン』のどなたかなら?」

『ゴウさん、ルビーナさんなら。アーノルトさんやチェルさんにも可能でしょう』

「でしたら、教えていただけますか?」


 『アヴァロン』に戻って相談すればいいだろうとメルツェは判断した。


『わかりました。……それは、『転移魔法陣』の痕跡なのです』


 これまで発見した痕跡はどれも魔法陣としては不完全なものであったが、複数の断片を組み合わせていくと、1つの傾向が見えてきた、ということであった。


『それは、奪った物資の転送先です』

「ど、どこなのですか?」

『ラシール大陸のどこかであることまでは間違いないですね。あとは、ポジションを特定するための『変数』部分の情報がまだ足りていません』

「でも、有力な情報です。……それって、『テクノ49』と『テクノ50』が発見した痕跡を重ね合わせればわかるんですか?」

『いえ、それだけでは不十分です、『魔導式(マギフォーミュラ)』や『命令(コマンド)』を当てはめていって初めてわかります』


 単語的なものであれば、虫食いでも推測できるが、単なる数値の場合は推測できない、と老君は言った。


「確かにそうですね」

『ですので、あと2つか3つの痕跡を調べられれば、もう少しポジションを絞り込めると思います』

「わかりました」


 この助言により、あと少し、データ収集を行おうと考えたメルツェであった。


*   *   *


『ところでメルツェさん』

「なんでしょう、老君さん?」

『明日、御主人様(マイロード)はミツホへ行くご予定なのです』

「え、ジン様が?」

『はい。ご旅行で』

「プライベートなのでしたら、お会いしないほうがいいでしょうか……」

『いえ、御主人様(マイロード)は、そういうことは気になさらないと思いますが』

「確かに、そうですね」


 わざわざ会いに行くことはしないが、もしも出会ったら相談するくらいはいいかな、と思ったメルツェであった。

 いつもお読みいただきありがとうございます。


 次回更新は3月3日(火)12:00の予定です。

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― 新着の感想 ―
転移魔法陣の痕跡から転送先を割り出すなんて犯人側からしたら想定外にも程がありますなーw
>>かなり目立っている ハ「某法師と」 エ「お供その1、2?」 仁「どの順だったっけ・・・・それで外されるのが」 >>もしも出会ったら 老・フラグ「くっくっくっくっく」
> 『アヴァロン』を発たったメルDh >「ここも同じようですね……」 >「やっぱり、ここも同じ……」 いあそら同じれんちうがやってたら同じ手口n 凹rz 〆「本当にそう↑かを確認することに、意味がある…
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