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マギクラフト・マイスター  作者: 秋ぎつね
96 アカデミー発展篇
3946/4414

96-48 ルイスの誕生日

 1月16日はルイスの誕生日である。

 例によって例のごとく、蓬莱島に『仁ファミリー』が集まって誕生会である。


 なお、今年から花束贈呈もお祝い品の贈呈も、基本行わないことになった。

 言い出しっぺはルイス。

 『仁ファミリー』で一番誕生日が早いルイスが、これを言い出したのである。


「みんな、用意するのが大変だから」


 というのがその主な理由。

 また、貰う方もそれなりに大変である。


「まあ、確かにお祝いをしてもらえるだけで嬉しいよ」


 と、意見も一致したので、今年からお祝いだけ、となったのである。

 プレゼントを渡したいなら、誕生会が終わってから、あるいは始まる前に、個人的にやり取りすればいい、ということになった。


 と、まあそういうわけで、お祝いをするだけとなったわけだ。

 それでも、全員が揃って賑やかにやるというのは楽しいもので、研究所の食堂は大賑わい。


*   *   *


「あなた、誕生日おめでとう」

「おめでとう、ルイス」

「ルイスさん、おめでとうございます」

「みんな、ありがとう」


 まずは乾杯がなされる。

 それからはいつもどおり、歓談である。

 みな、数名のグループに分かれ、日常のこと、最近のこと、専門的なことなどを話し合っている。


*   *   *


「エルザ、最近忙しそうね」

「うん。今、『病院』を軌道に乗せるのに、いろいろ大変」

「でもいいことだわ。私も、何か手伝えることがあるといいのだけど」

「……それなら、母さまには『看護師』になって、もらいたい」


 看護師が不足しすぎている、とエルザ。


「私に、できるかしら?」

「母さまなら、大丈夫」


 エルザとミーネはそんな会話を。


*   *   *


「ゴウとルビーナが、『抗菌効果』のある表面処理を開発したんです」

「へえ! ……軽銀の酸化皮膜を利用したのかな?」

「ええ。結構効果があるみたいですよ」

「なかなかやるねえ。……民生品や一般向けにはいいだろうね」


 リシアはサキに、ゴウとルビーナが軽銀の表面処理を工夫した話を伝えた。


「そのあと、塗料に酸化軽銀の粉末を混ぜたりしているみたいだけど……」

「くふ、それは駄目だろう……」

「ですよね」

「酸化軽銀が殺菌力を発揮するためには菌に接触しないとね」


 塗料で覆ってしまっては効果が落ちるだろう、とサキは予測したのだった。


「それに、塗料はいずれ剥がれるだろうから、病院内で使う機器に塗るのはねえ」

「『強靱化(タフン)』とか『安定化(スタビライズ)』を掛ければいいかもしれませんが」

「うん、その場合、分子の性質が変化するだろうから、抗菌効果が維持できるのならいいんだけど」

「それもありましたね」


 ゴウとルビーナは気が付いているのであろうか……。


*   *   *


「ゴウが『回転式エンジン』を開発しているんだよ」

「へえ……なかなかやるじゃないか」

「ラインハルトが昔作った外輪船にも使えるな」


 そこへマルシアとロドリゴも参加。


「スクリューを回すにもよさそうだね」

「そう思いますよ」

「よりコンパクトにできそうだし」

「ガソリンエンジンの場合は、ロータリーは燃費が悪かったけど、こっちはどうなのかな……」


 仁のつぶやきを聞いたラインハルトも、意見を口にした。


「ゴーレムアームの応用は、効率がいいからね」

「そうなんだよな」


 回転式に比べ大きく重くなるが、『腕』でクランクを回すという構成上、トルクは太いし、エネルギー効率も悪くないのである。


「そのあたりはまだこれから、かな」

「ジンの言うとおり、もうしばらく見守ってやろう」


*   *   *


「母さま、『カレー』は好評だったわね」

「ええ。ほっとしたわ」

「今日出てくるカレーは、さらに洗練されているんでしょう?」

「そうよ。ジンさんが90点を付けたレシピですから」

「楽しみね」


 シオンとロロナは、そんな会話をしている。


*   *   *


「ハンナちゃん、『発酵』を早める研究は、どう?」

「うん、順調だよ」


 ミーネとの話を終えたエルザは、ハンナに話し掛けた。


「『治療(キュア)』で十分なんだけど、今日は『全快(フェリーゲネーゼン)』を使って試してみたワインを用意してあるんだよ」

「あ、ライ兄に味見してもらうの?」

「うん。うまくいっていれば、そこそこできているはずなんだけど」

「それは、楽しみ」


 ということで、エルザとハンナはラインハルトの所へ。


「ああ、ちょうど飲んでみるところさ」


 そう言ってラインハルトは、手にしたワイングラスの中身の匂いをぎ、次いで一口。


「……うん、特に問題はないね。なかなか美味しいよ」

「よかった。ラインハルトさんにそう言ってもらえれば、研究にはずみが付くから」

「これで、どのくらいなんだい?」

「約1週間」

「へえ! 1週間でこれだけのものができるんだね」

「……熟成は、発酵とはまた違うから、まだまだ研究の余地はあるけどね」

「楽しみにしてるよ」

「うん」


「あと、この方法でちょっとだけ『バニラ』を熟成させてみたの。後で、それを使ったお菓子が出てくるから、楽しみにしていてね」

「わかったよ、ハンナちゃん」


 『仁ファミリー』は、今日もマイペースである……。

 いつもお読みいただきありがとうございます。


  本日2月22日(木)は14:00に

  異世界でホムンクルスになっていたのでスローライフを目指す

  https://ncode.syosetu.com/n8402fn/

  を更新します。

  こちらも応援のほどよろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] >「うん。今、『病院』を軌道に乗せるのに、いろいろ大変」 >「でもいいことだわ。私も、何か手伝えることがあるといいのだけど」 >「……それなら、母さまには『看護師』になって、もらいたい」 …
[一言] >1月16日はルイスの誕生日である。 >例によって例のごとく、蓬莱島に『仁ファミリー』が集まって誕生会である。 普段はバラバラに散って活動している仲間が集まる機会があるのは良いですね、現状…
[一言] 明確な寿命のないホムンクルスの体だからな、 毎年誕プレもらってたら、数十年ごとに蔵建てないと保管できないよな・・・
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