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マギクラフト・マイスター  作者: 秋ぎつね
96 アカデミー発展篇
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96-20 各部署の新たな挑戦

 同じ頃、ゴウとルビーナ。

 仁から渡された『電気技術初級』のテキストを読み終え、講師として何をすべきか話し合っていた。


「やっぱり実践する機材?」

「うーん、どうかな。録画しておいてそれを見せるんじゃ駄目かな?」

「それはどうかしら……」


 実際にやって見せるのと映像で見るのとでは臨場感が違い、理解度も違うんじゃないかとルビーナは言った。


「聴講する人数にもよるだろうな」

「あ、ジン様」


 話し合いの最中さなか、仁がやって来たのだ。

 こちらは、蓬莱島から戻ってきた本人である。その証拠に礼子が付き従っている。


「30人くらいなら、演壇の上で実験してみせるのもありだ」


 小・中学校での理科の簡単な実験を思い出しながら仁は言った。


「だが映像で見せるというのは、編集ができるからいい場合もある」

「あ、そうですね」

「時間が掛かる反応とか、準備の様子は飛ばせますよね」

「そういうことだな。……俺としては、実験は別枠で希望者全員にやらせるのがいいと思う。……人数にもよるんだが」


 40人なら4人1組くらいにして10組。

 多ければ何回かに分けて。


「実際に自分の目と手で確認するというのは有効だと思う」

「そうですね……」

「やっぱりジン様、頼りになる」


 そこは年の功だ、と仁は笑ってごまかした。


 それからもゴウとルビーナの打ち合わせは続き、時折仁もアドバイスをしたが、概ね2人の望む方向で決まったのだった。


*   *   *


 そして『アヴァロン病院』のエルザとリシア。


「……1つ、肩の荷が、下りた」

「そうですね。ナージャスも吹っ切れたようで、よかったですね」

「ん」


 そして話は新しい魔導具のことに。


「オシロスコープの量産試作ができたそうですね」

「ん、見てきた。心電図はもう使えるレベル」

「あ、いいですね。これでまた1つ、『医療』が楽になります」

「同意。『医療を多くの人の手に』。今年の『アヴァロン病院』(仮称)の目標のひとつ(・・・)


 目標は多く、たどり着くべき場所は遥かに遠い……。


*   *   *


「ベルくん、ようこそ、『アヴァロン』へ!」


 そして整理整頓が終わった『ベルリッヒ工房』に、カチェアが顔を出した。


「あ、ありがとう」


 工房のメンバーは、全員2人の仲を知っているので、生温かい視線で見守っている。


「私も今年から、このフロアの担当になる予定ですから」

「本当に?」

「うん。なので、いろいろサポートできますよ」

「そうだね……」


 ちょっとだけ、期待していた言葉と違ったので気落ちするベルリッヒ・ベッカー。

 だが。


「……勤務時間が終わったら、いろいろ話しましょう」

「う、うん」


 別の言葉で無事立ち直ったのだった。


「で、この方たち……の顔ぶれだと、ケインさんが事務でしょうか?」

「ええ、そうです」


 カチェアは『ベルリッヒ工房』のほとんど全員と面識があるのだ。

 そしてもちろんケイン……ケイン・サイトクとも。

 ケイン・サイトクは『ベルリッヒ工房』の事務・会計担当である。


「でしたら、まずはケインさんとベルくんに、『データベース』の使い方をコーチしましょう」

「あ、それは嬉しいですね」


 ケインはカチェアの提案に小躍りした。


「こちらに来て、管理職の方々が使っているのを見る機会がありましたが、便利そうでした」

「とても便利ですよ。いずれ皆さん全員が使えるようになってください」


 カチェアとしても全員に教えるだけの時間がないと申し訳なく思ったのである。


 というのも、今のところ『ベルリッヒ工房』にある『データベース端末』は2台だけだからだ。


「ですので、ベルくんとケインさんが教えてあげてくださいね。復習にもなりますし」

「わかったよ」

「わかりました」


 そういうわけで、カチェアはまずベルリッヒ・ベッカーとケイン・サイトクの2人に『データベース』の使い方を教えたのであった。


*   *   *


 『オーディナリー工房』でも『データベース』は活用されている。


「慣れれば便利ね」

「端末、もっとほしいわね……」

「許可をもらって、うちで作っちゃいましょうよ」


 などというやり取りがあり、今現在『データベース端末』の量産中である。

 当面の納品予定数は30台。

 1日の生産台数は今のところ5台だが、慣れてきた今、7台まで増やせそうである。


「でも品質検査はきっちりやってね」

「はい、工房長」


 量産時、品質管理は重要だが軽視されやすい傾向にある。

 どうしても『数を作る』ことに囚われがちだからだ。

 しかし一旦不具合が出てしまうと、そのフォローとして不良ロットの回収、賠償、ひいては信用の失墜という形で巨大な減益をこうむりかねない。

 懸命に築いてきた信用が、一つの見落としで崩れ去ることもありうるのだから。


 その点、『オーディナリー工房』では……。


「初代以来築き上げてきた信用と信頼を、私たちの代で失うわけにはいかないわ」


 という意識が共有されており、ビーナの理念が確実に次世代に受け継がれていたのである。

 いつもお読みいただきありがとうございます。


  本日1月25日(木)は14:00に

  異世界でホムンクルスになっていたのでスローライフを目指す

  https://ncode.syosetu.com/n8402fn/

  を更新します。

  こちらも応援のほどよろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
[一言] >仁から渡された『電気技術初級』のテキストを読み終え、講師として何をすべきか話し合っていた。 >実際にやって見せるのと映像で見るのとでは臨場感が違い、理解度も違うんじゃないかとルビーナは言…
[一言]  ビーナもそうだけど中世に近い世界ならジンとか神格化されてそうな気がするな技術神みたいな感じでマイナー宗教としてどっかで崇められてそう、そして本人には似ていない像とかが乱立・・・。
[一言] >>やっぱり実践する 腐「実践・・・・・」愚腐っ 仁「おい・・・」 >>年の功 ハ「でも実際の年齢だと・・・・」 他♀陣「それは言うな」(--メ) >>たどり着くべき場所は遥かに遠い ハ…
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