93-10 『アヴァロン2』は……
さて、デウス・エクス・マキナ3世はどうしていたか。
彼は、主に『アヴァロン2』の仕上がり具合をチェックしていたのである。
農場、工場、そして『データベース』だ。
まず確認を行ったのは農場。
6層のフロアのうち上3層が農場である。
そして3層の農場フロアの最上階層には土は運び込まれていない。
水耕栽培を行っているからだ。
内部は幾つもの区画に区切られ、それぞれで異なる作物が栽培されている。
最も多いのが『葉物野菜』。
レタス、パセリ、サラダ菜、クリスパ(大葉)、ホウレンソウ、クリプトナ(ミツバ)、クレス(クレソン)などが作られている。
次は『果菜』。
トメトゥル(トマト)、キュウリ、ビスナ(ナス)、ピミエント(ピーマン)など。
それから『野菜系果物』、つまり草物の果物(本来は野菜に分類すべき?)。
エアベール(イチゴ)、シイカ(スイカ)、メロンが作られている。
レッドペッパー(トウガラシ)、ワサビも少し作られていた。
根菜類や木に生る果実類は水耕栽培に向かないので別フロアで、となる。
ほとんどの穀物も別フロアだが、水稲だけはこのフロアで少し栽培されていた。
また、食物ではないが、スウェルチア(センブリ)、フーロ(ゲンノショウコ)などの薬草やラモンセージ(レモンセージ)、カモマイル(カモミール)などのハーブもここで少量だが栽培されていた。
* * *
地下2層目は肥沃な土がたっぷりと敷き詰められ、その半分は果樹園となっている。
ペルシカ(桃)、アプルル(リンゴ)、シトラン(オレンジ)、ビチス(ブドウ)などだ。
もう半分は豆類の畑となっている。
作られているのは赤目豆、丸豆(大豆)、ナツマメ(エンドウ豆)、落花生など。
「転移魔法陣を使って土を運び込んだのだな」
畑を視察しながらデウス・エクス・マキナ3世は呟いた。
* * *
そして地下第3層。
ここは『穀物』と『根菜類』が作られている。
『穀物』は小麦、大麦、陸稲、そば。
『根菜類』はトポポ(ジャガイモ)、イトポ(サツマイモ)、サトイモ、ダイコン、カブ、カロット(ニンジン)などだ。
そしてごく僅かながら花も栽培されている。式典などに使うからだ。
かすみそう(カスミソウ)、ブーゲンビレア、ジャカラン(ジャカランダ)、リトルベル(スズラン)、カトラー(カトレア)、アネモネなどだ。
「ここから増やしていけばいいからな」
マキナ(=導師)としてはイェドタケ(シイタケ)や松茸もどき、カヒィ(コーヒー)、チャノキなどの栽培もしたいと考えていた。
* * *
3つの農業階層では、各フロア当たり20体、計60体の農業用ゴーレムが忙しく働いていた。
「この60体はゴウとルビーナの設計だな。いい出来だ」
動きや作業内容を確認したマキナは満足げに頷いたのであった。
* * *
地下4層目からは工場フロアである。
4層目は大物用、5層目は中物用、6層目は小物用と分かれている。
大物とは全長、全幅、全高のいずれかがおおよそ3メートルを超えるもの。
航空機はここで作られている。
「うん、だいぶ整備されたが、まだまだだな」
ゴウとルビーナが貸してもらえなかった助手ゴーレム(汎用ゴーレム)をはじめ、技術系の能力を持つゴーレムの4割がここで生産ラインの整備を行っている。
製造に携わっているのは残る6割の半分である3割。つまり計7割の技術系ゴーレムがここで働いていた。
マキナが『まだまだ』というのも無理はなく。大物製造用のラインやハンガーなどが、必要数の半分にも満たないのだ。
技術系ゴーレムの4割がフル稼働して、まだ30日は掛かりそうであった。
「支援のゴーレムを全部引き上げたからな……」
『アヴァロン』のゴーレムだけでは少々荷が重いようである。
「5層目の様子を見てみるか」
5層目は中物用。全長、全幅、全高のいずれかがおおよそ1メートルを超え、3メートルには満たないもの。
ゴーレムや自動人形はここだ。
「全然整備が追いついていないな……」
技術系ゴーレムの2割がここで作業をしている。
内容は彼らと同型のゴーレムの生産。
だが生産能力がまだまだ低く、2日で1体しか作れていないのが現状だった。
「……まずは技術系ゴーレムの量産が最優先だと思うんだがな……」
マキナはそう思ったのだが、『アヴァロン』にも事情がある。
信用問題になるので各国から受注した航空機の納品が優先されたのである。
「……人の世は関係性を保つのに苦労が多いな……」
そしてマキナは最後の層、6層目を視察する。
ここは小物……全長、全幅、全高のいずれかがおおよそ1メートル未満、または作業台の上で組み立てられるものを作っている。
具体的に言えば各種道具類、魔導具類だ。
技術系ゴーレムの1割がここで作業をしている。
「稼働率2パーセント、といったところか……先は長いな」
『アヴァロン』の体制が整うのはまだ先になるようだ。
* * *
同日夜、デウス・エクス・マキナ3世の頭脳である『導師』は蓬莱島の頭脳である『老君』と相談をしていた。
『今は見守るしかないでしょうね』
『ですね。御主人様が『アヴァロン』を訪れている、それだけでも大きな援助ですし』
『どうにもならなくなったなら御主人様が動くと思います』
『わかりました』
そしてまた、新しい1日が始まる……。
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本日は 異世界シルクロード(Silk Lord) も更新しております。
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