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マギクラフト・マイスター  作者: 秋ぎつね
93 アヴァロン改革篇
3681/4359

93-02 彼らは今

 仁は、ゴウとルビーナの近況を、アーノルトに尋ねた。


「今、あの2人はゴーレム作りに励んでいますよ」

「ゴーレム?」

「はい。『アヴァロン2』で農業を行うので、人手がまだまだ足りないんです」

「ああ、なるほど」


 仁やマキナがゴーレムを貸し出すにも限度がある(本当はないのだが)。

 ゴーレム作成においては、『アカデミー』のメンバーの中でも、2人の技術力は群を抜いている。

 仁はそれを聞いて任されるのも当然か、と感じていた。


「で、2人はどんな?」


 2人で話し合ってどんどん進めているのだろうなと想像した仁であったが、その予想はいい意味で裏切られる。


「シオン議長を通じ、お母上のロロナ女史に教えを受けに『ノルド連邦』まで行ってくるという熱心さでしたよ」

「ほう」


 現世界会議議長『森羅しんら』のシオンの母親の『森羅しんら』のロロナは、農業における世界的大家である。

 農業用ゴーレムを作るにあたって、その教えを受けに行くというのはいい判断だと仁は感心したのであった。


「で、『バウアー』というゴーレムを完成させてくれました」

「バウアー……ショウロ皇国の方言で『農民』だっけ?」

「ええ。今では殆ど使われませんので古い方言、あるいは古語ですね」


 とにかく『バウアー』という農業用ゴーレムが開発された、ということである。


「量産は、当然『アヴァロン2』の工場だろう?」

「そうです。そちらは『アヴァロン』の技術系ゴーレムで行っていますが、こちらも近いうちに増強しなくてはならないでしょう」

「そうだろうな。……それもゴウとルビーナが?」

「いえ、今2人には、最高管理官代理自動人形(オートマタ)の開発を頼んでいます」

「それはトマックス・バートマンの負担軽減のため?」

「それもありますが、むしろ非常時のためですね」


 非常時、つまりトマックス・バートマンが不在……もっとあからさまに言えば『倒れた』時だろう。


「平常は最高管理官の補佐を行い、非常時は代わって判断を下すことになります」

「そんな権限を自動人形(オートマタ)に与えるのか?」


 さすがに最高管理官として自動人形(オートマタ)を頂くのはどうかと仁は言った。

 能力的な問題ではなく、自動人形(オートマタ)の命令を聞かない者が続出するのではないかと危惧きぐしたのだ。


「いえ、権限は与えません」

「どういうことだ?」

「あくまでも判断するだけで、その判断を検討、吟味し、決定を下すのは管理部の者たちです」

「そうか、それなら納得だ」


 仁としても、『アヴァロン』という組織の補強は必要だろうと感じてはいた。

 それが内部から改善案が出てきているのはいい傾向だと思っている。


「だけど、そういうことなら、ゴウとルビーナだけでは不十分だろう?」


 自動人形(オートマタ)を作る技術力ではなく、最高管理官を補佐できる知識を与えるには、『バウアー』の時にロロナに聞きに行ったように、助言者が必要だろうと仁は考えている。


「それはそうです。なので、まずはメルツェさんが2人をサポートしています」

「なるほど、それは心強いな」

「もちろん付きっきりで、というのは無理ですけどね」

「それはしょうがないな」


 メルツェは今『総合管理局』勤務になっており、そちらの業務が優先されるだろう。

 それでも、彼女の知識と経験は、ゴウとルビーナにとってかけがえのない助けになるはずだ。


「行き詰まった時は助けてやってくれよ」

「それはもちろんです。僕は2人の上司ですから」


 アーノルトはそう言って微笑んだのだった。


「じゃあ、あとはリシアについて……」


 アーノルトからひととおりの話を聞いた仁はリシアの派遣についても打ち合わせていったでのある。


*   *   *


 蓬莱島の夜。

 みんな帰ってしまい、今は仁とエルザ、礼子だけが『家』にいる。


「ここ数日、慌ただしかったなあ」

「お父さま、お疲れさまでした」

「ジン兄、いろいろとご苦労さま」

「しばらくのんびりするか」

「ん、できる、なら」

「何だよ、それ」


 エルザの物言いに引っかかりを感じる仁。


「お父さま、エルザさんは、お父さまはのんびりしようなんて言い出しても半日でもうそれを忘れる、と言いたいのでしょう」

「ん、そのとおり」

「ひでえ……でも否定しきれない」

「やっぱり」

「ははは」

「ふふふ」


 仁とエルザは顔を見合わせて笑った。


 そして夕食は夫婦水入らず。

 礼子は隣の部屋に控えていた。


「……明日、リシアが『アヴァロン』に行く。俺も別件で、ということで行こうと思ってる」

「ん、そういうことなら、私も」

「頼むよ」


 エルザが一緒ならリシアも心強いだろうと仁は言った。


「ん、よくも悪くも、リシアさんは普通の人。ただ、人一倍努力家」

「そうだなあ」


 騎士としての訓練も、救護騎士としての活躍も、トカ村の領主としての尽力も……。

 全部、リシアは期待に答えようと日々努力していた。


「きっと、いい先生になる」

「そうかもしれないなあ」

「私も、できるだけフォローする」

「頼むよ」


 そんな会話がなされたのだった。

 いつもお読みいただきありがとうございます。


 20230526 修正

(誤)「もちろん付ききりで、というのはは無理ですけどね」

(正)「もちろん付きっきりで、というのは無理ですけどね」

(誤) 仁としても、『アヴァロン』という組織の補強は必要ろうと感じてはいた。

(正) 仁としても、『アヴァロン』という組織の補強は必要だろうと感じてはいた。

(誤)最高管理感を補佐できる知識を与えるには、

(正)最高管理官を補佐できる知識を与えるには、


 20230527 修正

(旧)「あくまでも判断するだけで、その判断を検討、吟味し、判断を下すのは管理部の者たちです」

「そうか、それなら納得だ」

(新)「あくまでも判断するだけで、その判断を検討、吟味し、決定を下すのは管理部の者たちです」

「そうか、それなら納得だ」

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― 新着の感想 ―
[良い点] >「行き詰まった時は助けてやってくれよ」 >「それはもちろんです。僕は2人の上司ですから」 いい上司さんですね。 上司の役割の一つではあるんですけれど実践は本当に大変なこと。 でもアーノ…
[一言] ……(´・ω・`)?もう12時なった?? ジ「キニシナイ」 ←うんそおする(ぼお そりわともかく、 > 仁は、ゴウとルビーナの近況を、アーノルトに尋ねた。 > >「今、あの2人はゴーレム作…
[一言] > リシアはエルザとともに作った資料をアーノルトに見せた。 (中略) > 大きさはA4サイズで、120ページもある。資料というより、もう立派な教本である。 そしてリシアの背後には1000部は…
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