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マギクラフト・マイスター  作者: 秋ぎつね
92 ブレイクスルー篇
3677/4359

92-80 誕生会と報告 前編

 10月10日はマルシアとシオンの誕生日である。

 例によって、蓬莱島には『仁ファミリー』全員が集まっていた(アーノルトも)。


「誕生日おめでとう、シオン」

「誕生日おめでとう、マルシア」

「おめでとう」

「おめでとう」

「ありがとう、みんな」

「ありがとう!」


 もはや恒例となった花束贈呈の後、仁はまず今日の主役2人に新『仲間の腕輪』を渡した。


「これはさらに性能アップしているんだ。ああ、全員の分あるからな?」


 そして残りのメンバーにも腕輪を手渡したのである。


「お、ありがとう、ジン」

「これは何が変わったのかな?」

「今説明するよ」


 今日の主人公2人をあくまでも立てつつ、仁は説明を始めた。


「まずはエネルギー源が『新型魔力反応炉(マギリアクター)』になっているから、これまでの10倍以上の魔力素(マナ)を使えるんだ」

「話には聞いていたけど、すごいわね」


 シオンが感心半分呆れ半分といった顔で言った。


「で、機能として一番強化したのが障壁(バリア)系だな。『物理障壁(ソリッドバリア)』は3重展開できる」

「すごい……」

「場合によっては『防御盾(アイギス)』も展開可能だ」

「使う場面が思いつかないね」


 マルシアも少し呆れ顔だ。


「で、追加した機能が『転送装置』だ」

「自分自身を転送できるというやつね」

「そう、シオンの言うとおり。転移先は『しんかい』の中だ。必要に応じて老君に見守っていてもらうことで、危険が迫った時点で自動でも発動する」

「至れり尽くせりだな」


「で、『明かり(ライト)』の機能や『魔素通信機(マナカム)』機能はそのままだ。……治癒魔法は『解毒(エントギフテン)』『癒し(フェルハイレ)』『快復(ハイルング)』『滅菌(ステリリジールング)』が使える」

「それは凄いわね。一般的な治癒士以上だわ。ありがたいわね」


 シオンは嬉しそうである。


「それから、『麻痺(スタン)』『掘削(ディグ)』『水弾(ウォーターボール)』『風の弾丸(ウインドバレット)』も使える。非殺傷魔法だな」


 敵を牽制、足止めできるレベルの魔法である。

 その間に転移で逃げればいい、というわけだ。


「それもいいわね。使う機会があるかどうかは別として」

「使う機会なんてないほうがいいに決まってるよ」


 シオンはまだ現役だが、マルシアはヘールで好きなことを研究している。当分使う機会はないだろうと思われた。

 それならそれでいい、と仁は思っている。

 あくまでも非常用の付加機能だからだ。


*   *   *


 そして宴会である。

 和気あいあいとした時間が過ぎていく。


 昼食時間が過ぎ、皆、宴会に少し疲れた頃。


「ジン、最近すごい発見をしたんだって?」

「なんでも、これまでの数千倍の魔力反応炉(マギリアクター)ができたと言ってたよね」

「今回の『腕輪』もその応用なんでしょう?」


 と、興味を持ったメンバーが次々と仁に質問を浴びせかけた。


「ああ、そろそろ時間的にもいいかな?」


 仁としても、全員揃ったこの機会に説明をしておきたいと思っていたのである。


「それじゃあ説明しよう」

「ぜひ聞かせてほしいわね」

「よし。……きっかけは礼子の強化を考えていた時なんだ」


 ああ、やっぱり、というつぶやきが誰かの口から漏れた。


「え、ええとだな、まず思いついたのが『エルラドライト』と『マライト』だった」

「ああ、どちらも『増幅』と縁が深いからね」

「そういうことだな。そしてハンナとサキに相談し、その後『長老』ターレスさんにも相談したわけだ……」

「ふむ、そうであったな」

「その後、『紛い物(エラート)』にも相談したら、北極海の海底6000メートルに、資材庫みたいな施設があると教わって……」

「なるほど」

「その過程で深海用ゴーレムを開発したわけだ」

「バチス、といったかな」


 そのようにして、仁は経緯いきさつを簡単に説明していった。


「……そんなわけで、まずは『精神触媒』の応用をいろいろと研究したわけだな」


 その結果、大きな技術の進歩……ブレイクスルーと言える改革が可能になった、と仁は言った。


 1.改良マライトである『ベネマライト』。マライトを純粋結晶化したものを開発。

 2.新型魔力反応炉(マギリアクター)は積層型の組み合わせ。

 3.『エルラドライト』部分で『自由魔力素(エーテル)』を取り込み、『魔結晶(マギクリスタル)』で『魔力素(マナ)』に変え、『ベネマライト』部分で増幅する。

 4.『精神触媒』を重量比で1000万分の1添加することで、これまでの5120倍の最大出力が得られるようになった。おそらく『(サブ)自由魔力素(エーテル)』も利用していると思われる。


「これはすごいなあ」

「うむ、ジン殿、見事である」

「ありがとう」


 そして仁は次の説明を開始。


「これだけのエネルギーは、今の素材では受け止められない。だから素材も強化しなければならなかったし、制御する『制御核(コントロールコア)』も改良が必要だと思った」

「うむ、道理であるな」

「それはそうだよなあ」


「そこでハンナとサキに依頼して……」


 結果が出るまでの間、10倍レベルの『新型魔力反応炉(マギリアクター)』を礼子やレイに搭載してチェックしていたと説明。


「それができるまでの間に『仲間の腕輪』を作ったんだよ」


 ちょっと寄り道して『ワープロ』や『プリンター』を作ったりもした、と話す仁。


「そうそう、『アヴァロン』の制服の話もしたっけなあ」


 これは本筋とは関係ないけど、と詳しい話は割愛した。


「で、『人為的魔術(アルティマギア)変異元素(ミューエレメンタル)』のお披露目となったわけだ」


 鉛に『(サブ)自由魔力素(エーテル)波』を照射することで『魔力子(マギトロン)』を発生させ、それを素材に20時間浴びせる処理をすると説明。


「『人為的魔術(アルティマギア)変異元素(ミューエレメンタル)』化した『ヴァジュリウム』は、5000倍の出力を受け止められる程の強化が可能なんだ。『強靱化(タフン)』や『補強(ストレングスン)』の効果が大なんだよ」


 同様に、『竜革(ドラゴンレザー)』『地底蜘蛛樹脂(GSP)』などもまた、工学魔法による強化度合いが著しい、ということも説明。


「そして、この驚異のパワーアップを制御するために『制御核(コントロールコア)』の処理速度も向上させたんだ」


 『人為的魔術(アルティマギア)変異元素(ミューエレメンタル)』化した『ベネマライト』は7000倍以上の演算速度になることも仁は説明。


「凄いもんだな」

「凄まじいわね……」


 仁の説明はまだまだ続く……。

 いつもお読みいただきありがとうございます。


 20230523 修正

(誤)「その過程で潜水艇を開発したわけだ」

(正)「その過程で深海用ゴーレムを開発したわけだ」

(誤)「……そんなわけで、まずは『精神触媒」の応用をいろいろと研究したわけだな」

(正)「……そんなわけで、まずは『精神触媒』の応用をいろいろと研究したわけだな」

(誤)3.『エルラドライト』部分で『自由魔力素(エーテル)』を取り込み、『魔結晶マギクリスタル』で

(正)3.『エルラドライト』部分で『自由魔力素(エーテル)』を取り込み、『魔結晶(マギクリスタル)』で

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― 新着の感想 ―
『久しぶりの読み返し中、色々と忘れている事柄が多数あってなかなか楽しめますよ』 ≫「『人為的魔術変異元素(アルティマギアミューエレメンタル)』化した『ヴァジュリウム』は、5000倍の出力を受け止めら…
[一言] 仲間の腕輪は再改造して工学魔法を使えるようにした方が良さそうですね、仁ファミリーには工学魔法が使えないメンバーもいるし、研究活動には工学魔法が役立つでしょうから。
[一言] 「で、『明かりライト』の機能や『魔素通信機マナカム』機能はそのままだ。……治癒魔法は『解毒エントギフテン』『癒しフェルハイレ』『快復ハイルング』『滅菌ステリリジールング』が使える」  明か…
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