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マギクラフト・マイスター  作者: 秋ぎつね
92 ブレイクスルー篇
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92-77 リシアの特訓

 パワーアップの見込みは立った。

 残る課題は2つ。


「『強靱化(タフン)』などの効果を解除されないようにすることと、『制御核(コントロールコア)』の処理速度を向上させることだ」

「まだそれがあったね。……『強靱化(タフン)』などの効果を解除されないようにするのって、難しそう」

「それなんだが、俺と初心者で何が違うのか、比べてみたいんだ」

「くふ、なるほどねえ。初心者は『強靱化(タフン)』の効果も長持ちしないらしいからね」

「そうなんだ。それで、俺が掛けた工学魔法が長続きするのはどうしてなのか確認したいんだ」

「なるほど、その結果を反映させられるんじゃないかというんだね、ジン」

「そういうことなら、リシアさんが工学魔法の勉強中だよ?」

「え、リシアが?」

「はい」


 聞けば、今後のこと……『アヴァロン』への派遣を考えて、多少の工学魔法が使えると便利ではないか、ということで練習を始めたという。

 適性は低いが、初級レベルなら使えるようになりそうだということだった。


「それならちょうどいいな。『強靱化(タフン)』をちょっと試してもらおう」

「あの、ジンさん、私、まだ『強靱化(タフン)』は使えないんですが」

「じゃあ、覚えてもらおう」

「え、え!?」

「それはいいな、ジン! 今日中に実験ができるだろう」

「ふえええ……」

「リシアさん、頑張れ」


 そういうわけでリシアは、仁とラインハルト2人から工学魔法の特訓を受けることとなったのである。


*   *   *


「……リシアさんも大変だねー」


 それを横目にハンナがつぶやいた。

 そして、エルザも一言。


「……元々の魔法資質がそのまま人造人間(ホムンクルス)にも反映する、なんて思わなかった」

「うん……」

「くふ、ボクの目は治ったんだけどね」


 サキの視力は人造人間(ホムンクルス)になった際に人並みになったし、ロドリゴの荒れた内臓も完治(?)した。

 肉体的な故障は全て正常な状態に戻せたが、魔法の素養は付加できなかったのだ。


 そもそも、『始祖(オリジン)』が開発した『人造人間(ホムンクルス)』技術は、ほぼ人間の複製を作り上げることができる。

 細胞レベル、いや遺伝子レベルでの複製。

 細胞内のミトコンドリアまで忠実に再現されている。

 ただし遺伝子の堅牢さは人間を遥かに超えており、劣化しない。

 また、肉体年齢も成人の範囲で決定される。幼児や若年には設定できないのだ。

 現在のハンナが18歳相当の肉体になっているが、これが限度である。


「でも、エルザおねーちゃんもラインハルトさんも、人造人間(ホムンクルス)で再誕してからしばらくは魔法が使えなかったよね?」

「ん……そうだった」

「3年くらい……かな? 全然魔法が使えなかったよね」

「そう。……あの時は、少し……ううん、結構、落ち込んだ」

「だったよね」


 『人造人間(ホムンクルス)』としての再誕後、3年以上の間、エルザもラインハルトも……いや、魔法が使えていた者たちは皆一様に魔法が使えなかったのである。


「でも、ある日突然、天啓を受けたように、魔法が使えるようになった」

「そうだったねー」

「あの時は、嬉しかった」

「くふ、そうだろうね」


 いろいろ調べたが、なぜ突然魔法が使えるようになったか、そもそもどうしてそれまで魔法が使えなかったか、わからなかったのである。


「仮説だけは立てたけどねー」

「ハンナちゃんが言い出したこと」

「うんうん、『スピリット』が定着した、だっけ?」

「そう考えれば辻褄が合うかな、って」


 『人造人間(ホムンクルス)』も生命体だと考えれば、『スピリット』があってもおかしくはない。

 それが存在するかどうかは置いておいて、『魔法の素養』とでもいったものは、その『スピリット』が持っている、という説だ。

 作られた生命体である『人造人間(ホムンクルス)』なので、『スピリット』と肉体が微妙に乖離かいりしており、同期シンクロするのに3年という月日を要したのではないかというのがハンナの説であった。


「くふ、他にいい説明もないしね」

「ん、事実、今は『以前と同じ』魔法が使えているから」

「だよねー。でも、あたしも魔法使ってみたかったなあ」

「それはジン兄に頼んで」

「うん……」


 仁は『魔導工作機(マギニングツール)』という、魔法が使えなくても工学魔法が使えるようにする魔導機(マギマシン)を過去に開発しているのだ。

 それをもっと洗練した形状にし、性能も使い勝手もアップしてもらえばいい、とエルザは言ったのである。


*   *   *


 およそ1時間半後、時刻は午後3時。


「なんとかできるようになったな」

「……お二人のおかげ、です」


 仁とラインハルトによる特訓を経て、リシアもなんとか初歩の工学魔法を使えるようになっていた。


 断っておくが、『工学魔法』というのはあくまでも使い手側が行った分類である。

 『工学魔法』という魔法があるのではなく、該当する魔法を『工学魔法の1つ』と分類しているだけだ。

 例えば『加熱(ヒート)』は対象物を温める『工学魔法』であるが、同時に『火属性魔法』の初級でもある。

 『明かり(ライト)』も同様に『光属性魔法』初級であり『工学魔法』でもある。


 『変形(フォーミング)』や『強靱化(タフン)』も土属性魔法の応用ともいえる。

 そういう意味で、『工学魔法』は幾つもの属性を使える方が向いている、といえよう。


 リシアは元々『治癒魔法』が得意だった。

 『治癒系』は『水属性』と『土属性』、『風属性』、『光属性』などの複合である。

 なので、練習次第では『工学魔法』も使えるようになるはずなのだ。


*   *   *


 きっちりと3時休みをとった後、仁は確認実験を開始する。


「……『強靱化(タフン)』。……これでいいですか?」

「十分だよ、リシア。ありがとう」

「いえ、お役に立てたら嬉しいです」


「さあ、確認だ。俺の掛けた『強靱化(タフン)』と、初心者であるリシアの掛けた『強靱化(タフン)』の何が違うのかな?」

 いつもお読みいただきありがとうございます。


 本日は 異世界シルクロード(Silk Lord) も更新しております。

     https://ncode.syosetu.com/n5250en/

     お楽しみいただけましたら幸いです。

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― 新着の感想 ―
>肉体年齢も成人の範囲で決定される。幼児や若年には設定できないのだ。 マリッカは何故ロリッカになってしまったのか。 成人しても見た目はょぅι゛ょな人だった? だとすれば、セーフです。合法です。
[一言] 「人造人間で再誕してからしばらくは魔法が使えなかったよね?」 エ「ん……そうだった」 ラ「3年くらい……かな?」 …マリッカは再誕してすぐに使えている…?(使ってるよね…?)
[一言] >それをもっと洗練した形状にし、性能も使い勝手もアップしてもらえばいい、とエルザは言ったのである。 使い勝手を考えるとやはり装着型がベスト。 各種情報提示にHMDも欲しいし、せっかくだから…
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