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マギクラフト・マイスター  作者: 秋ぎつね
90 未来への一歩篇
3483/4349

90-13 見学と手伝いと

 7月19日は、アーノルト率いるプロジェクトチームは朝から大忙しであった。

 朝食後すぐにアーノルトは『アカデミー』学長セイバン・イライエ・センチと共に、最高管理官トマックス・バートマンに面会。

 このあと、魔導頭脳の建造に取り掛かると報告した。


「うむ、朝一番でジン殿とマキナ殿も報告してくれている。アーノルト君、よろしく頼む」

「はい」


 必要な報告を終えたアーノルトは学長セイバンと別れてプロジェクトチームの待つ中会議室へ行った。

 そこには既にメンバーが揃っており、討論を始めていたのである。


「あ、主任だ」

「おはようございます!」

「おはよう。ゆっくり休んだかい? 最高管理官に報告してきたから、早速始めよう」

「はい!」

「おー!」


「おはよう」

「おはようございます」

「おはようございまーす!」


 そこへ仁とゴウ、ルビーナもやって来た。

 『アイオーン』と『アスティノ』の管理者としての立場から協力するのだ。


「お、客人も来てくれた、さあ頑張ろう」


 仁たち3人は、当面は積極的な口出しはせず、プロジェクトチームのやり取りを見学だ。


「ここはこうした回路に……」

「そこはもう少し太い導線にした方が……」

「ここの魔結晶(マギクリスタル)は小さくてもいいが品質の高いものを……」


 メンバーがいろいろな意見を出し、


「よし、ここのフローはこう直そう」

「使用するミスリル銀の純度を上げればいいだろう」

「わかった、ランクAのものを使おう」


 アーノルトがそれを設計に反映させていく。

 その様子を、ゴウとルビーナは興味津々で眺めていた。


「ああ、こういう風にして大勢の意見をまとめていくのか」

「意見を昇華させる、というのはこういうことをいうのね」


 2人にとって、こうした『チームワーク』を目の当たりにする機会は少ないので、貴重な経験になるだろうと仁は考えていた。

 そして2人は、そうした場合のまとめ方を肌で感じ、吸収していく。

 ただし……。


「ねえジン様、あたしたちも参加しちゃ駄目?」


 30分でルビーナは飽きたようだ。


「そうだな、あと30分我慢しろ」

「はーい」


 その頃には、設計も佳境を迎えており、再びルビーナも興味を示し始めていた。


「よし、これでここはいいだろう」

「こっちのデバッグ終わりました」

「もう1つルーチンを追加してくれ」


「ふうん……こういう形式になるのね」

「面白いね。『魔導大戦』当時の方式を色濃く受け継いでいるのかな?」

「ゴウの言うとおりだ。今回の魔導頭脳は知ってのとおり『アイオーン』『アスティノ』と並び立つ仕様だから、こうしているのさ」

「ああ、やっぱり」

「意味があるのねえ」


 そして1時間、設計は終了した。


「ジン、もしよかったらデバッグしてもらえないか?」

「いいとも。……礼子も手伝ってくれ」

「はい、お父さま」


 仁は設計図を読み取りつつ魔結晶(マギクリスタル)に書き込んでいく。

 礼子はそれをチェックする役目だ。

 2分で巨大な設計図は1個の魔結晶(マギクリスタル)に書き込まれた。


「ここまででバグは見つからなかった。念の為、礼子にもデバッグしてもらったが、大丈夫だな」

「はい」


 加えて、蓬莱島の老君にも内容は送信されており、既に内容をエミュレートしてチェック済みである。


「そうか、なら安心だね」

「ジン、助かったよ」

「いや、これからが本番だぞ」

「そうだね。……うん、キリがいいからここで午前中は終わりにし、また午後から頑張ろう」


 アーノルトが宣言した。

 時刻は午前11時40分。

 少し早いが、人間が集中力を発揮できる時間は短い。

 一旦昼食とし、英気を養ってからまた頑張ることになったのである。


*   *   *


「見学はどうだった?」

「いろいろ勉強になりました」

「正直、ちょっと中だるみしちゃったけど」


 昼食後、お茶を飲みながら仁は2人に感想を聞いた。


「まあそうだろうな。少し退屈なのはわかるが、それも含めて技術者の仕事だからな」

「はい」

「はーい……」

「自分たちで何か作っている時の方が楽しいのは同感だけどな」

「ジン様も?」

「まあな。でもそういった、気の進まない仕事もしなきゃならないのが大人なんだよ。残念ながら、な」


 自分に言い聞かせるように語る仁であった。


*   *   *


 昼休みの後は再び魔導頭脳の製作である。

 午後は、いよいよ基本構成の組み立てになる。


 これにはゴウとルビーナも加わることになる。実技だからだ。


「ゴウ君、そこの線を繋げるのちょっと待ってて……こっちを繋げてから頼むよ」

「ルビーナ君、その魔結晶(マギクリスタル)はきっちりとめ込んでおいてね」

「ちょっとここの導線に魔力を流してみてくれるかな」


 2人とも、プロジェクトチームの面々とはすぐに馴染んで作業を行っている。

 こうした作業では、もうゴウとルビーナはトップクラスだ。


 途中で仁も手伝ったので、午後5時にはほぼメインユニットが完成したのであった。


「いやあ、はかどったはかどった。ジン、ゴウ君、ルビーナさん、ありがとうよ!」


 テンションの上がったエイラは仁、ゴウ、ルビーナの順に背中をばしばしと叩いて喜びと感謝を表した。痛い感謝だなあとゴウとルビーナが思ったどうかは定かではない。


「ジン、ゴウ君、ルビーナさん、ありがとう」


 アーノルトは真摯に3人への礼を述べた。


「これで7割は終了した。明日には完成できるだろうね」


 仁から見たらかなり遅いが、『アカデミー』の基準で見れば3倍くらいの速さである。


「お三方のおかげだよ」


 グローマや他のメンバーも上機嫌……というかテンションが高いままだ。


 こういう雰囲気もいいな、と仁は思った。

 そしてゴウとルビーナも、


「こちらこそ、いい経験をさせてもらいました。ありがとうございました!」

「とっても楽しかったわ! ありがとう!」


 と、感想と礼を口にしたのである。


 『アヴァロン』の将来を背負って立つ、そんなメンバーがここに集っていた。

 いつもお読みいただきありがとうございます。


 20221102 修正

(誤)2人にとって、こうした『チームワーク』を目の当たりする機会は少ないので

(正)2人にとって、こうした『チームワーク』を目の当たりにする機会は少ないので

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『本日の読み返しの感想・2回目』 ≫仁たち3人は、当面は積極的な口出しはせず、プロジェクトチームのやり取りを見学だ。 最初から卓越した技術力を持つ仁・ゴウ・ルビーナの3人が手を出してしまったら、ア…
[一言] >「あ、主任だ」 >「おはようございます!   見て下さい、この徹y o...の成k...rz 「だから(呆「残業(呆「禁止だっての(呆」」」 >「おはよう」 >「おはようございます」 >…
[一言] >2人にとって、こうした『チームワーク』を目の当たりする機会は少ないので、貴重な経験になるだろうと仁は考えていた。 目の当たりする → 目の当たりにする の方が一般的じゃないかなぁ。 >…
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