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マギクラフト・マイスター  作者: 秋ぎつね
90 未来への一歩篇
3482/4350

90-12 改良完了、そして次へ

 18日夜、午後7時に、ゴウとルビーナが手掛けた『アスティノ』の改良が終了した。


「調子はどうだい、『アスティノ』?」

『はいゴウ様、素晴らしい調子です。これまでに比べ、41パーセントの性能向上が見込まれます』

「それはよかった」


「よくやったな」

「ああ。俺はただ見ていただけで終わったよ。成長したな」

「ありがとうございます、ジン様!」

「マキナ様、ありがとうございました!」


 仁からはねぎらいの言葉、マキナからは褒詞をもらい、喜ぶ2人。


「接続はまた後日だな。今日は帰ってゆっくり休もう」

「はい!」


 というわけで、『転移魔法陣』を使い、仁たちは『アヴァロン』へと戻ったのである。


*   *   *


 『アヴァロン』に戻った仁たちは、まず疲れを取ろうと、風呂に入ることにした。

 時差はマイナス1時間20分ほど、『アヴァロン』は今、午後6時である。


 夕食時なので風呂は空いていた。なので居室のシャワーではなく、大浴場へ行った。仁も一緒だ。


「ふわあ……」

「ああ、のんびりするな」


 湯船でのんびりと身体を伸ばす仁とゴウ。


「ゆったりして疲れが取れるよ」

「ですね」


*   *   *


「ああ、いいお湯」


 ルビーナは女性用浴場で寛いでいる。

 今のところ女湯は貸切状態である。


「泳ぐ……のは駄目よね……」


 『仁ファミリー』の一族だけあって、ゴウもルビーナもお風呂は大好きであった。


*   *   *


 風呂から上がり、少し遅い夕食を摂った仁たち。

 仁はゴウとルビーナの疲れを気遣い、早めに寝るように言ってからアーノルトたちの所へ行った。


 第3の魔導頭脳『アスピーダ』の設計をしているプロジェクトは、中会議室を借り切って行われている。

 この日は午後8時になってもまだ白熱した議論が交わされていた。


「やあ、こんばんは」

「おお、ジン! そっちは順調かい?」


 プロジェクトリーダーのアーノルトが仁に尋ねた。


「ああ、『アイオーン』と『アスティノ』の性能アップは終わった。『アイオーン』は36パーセント、『アスティノ』は41パーセントの性能アップとなったぞ」

「それはすごい。なら、こっちも頑張らないとな」

「それはいいんだが、残業は9時までだろう? あと1時間もないぞ」


 平常時の『アカデミー』では、事前に申請しておかない限り、午後9時以降の残業は許可されないのである。

 『アヴァロン』は、ホワイトとは言わないが、少なくともブラックではないのだ(ごく一部の管理職除く)。

 そもそも管理職は残業手当が付かない、という企業が多い……はず。


 ……などと仁が昔を思い出しながら忠告すると、アーノルトはわかっているよ、と頷いた。


「構想は終わって、フローチャートまではできているんだ。あとは設計図に落とし込むだけさ」

「そうだったのか。……見せてもらっていいか?」

「もちろん。意見を聞かせてもらえるとありがたいよ」


 そこで仁はテーブル上のひときわ大きな紙に描かれたフローチャートを見ていった。

 そして一言。


「うーん、見事だな」

「そうかい?」

「ああ。全体の流れも、補助ユニットの割り込みも、記憶セクターのプロテクションも、堅実でゆらぎがない」

「ありがとう。ジンにそう言って貰えると安心だよ」

「これなら『アイオーン』と『アスティノ』の2基とバランスを取ってやっていけるだろう」

「そう言ってもらえると嬉しいよ」


 あとは設計どおりに作れるか、そして思いどおりの性能を発揮してくれるか、だとアーノルトは言った。


「……で、こいつの思考パターンはエイラのものをコピーするんだな?」


 仁がエイラを見てそう言うと、言われた当人は珍しく顔を赤らめた。


「なんか、そういうことになったみたいだな」

「まあ、気にすることはないぞ。人格が残るわけじゃないからな」

「わかってはいるんだけどな」

「考え方の道筋というか、論理の組み立て方というか、そういうものを転写するだけだから」

「まあ、その辺は説明してもらったけどね」


「俺としては完成が楽しみだよ。……で、やっぱり管理者はアーノルトに?」

「そうみたいだ。エイラさんでもいいと思うんだが……」

「やだよ、あたしは」

「……と、嫌がるものでね。思考パターンを使わせてもらったので、管理者については仕方なく僕が……」

「そういうことか。……しかし、改めて考えてみると、異論も異議も反発もなしに、ゴウとルビーナが管理者であることがよくも受け入れられたものだ、と思うよ」


 『アカデミー』の学位持ちとはいえまだ成人前の2人である。

 批判する者が出てきてもおかしくない。


「そこはそれ、仁が後見人だし、『フェニーチェ』という実績はあるし。それに今更変えられないだろうし」

「そうかなあ」

「まあ、仁が後見人で、マキナにも認められているというのが大きかったんだろうさ」

「そういうものか」

「そうさ。『魔法工学師マギクラフト・マイスター』というネームバリューはそれだけ大きいんだよ」


 そんな話をしているうちに、時刻は午後8時45分。


「そろそろ片付けるとするか。……皆、今日はご苦労さまでした。明日は午前8時から詳細設計をします」


 アーノルトはこの日の業務の終わりを宣言した。


「皆、今夜はゆっくり休んでください」


 書類はチェルが確認しながらファイリングしている。

 この段階で紛失したらいろいろとまずいことになるからだ。


 そうした後片付けをぼんやりと眺めながら、


(小説とか映画だと、内部にスパイが入り込んでいて、設計図が盗まれたりコピーされたりするんだけどな)


 ……などと益体やくたいもないことを考える仁であった。

 いつもお読みいただきありがとうございます。


 20221101 修正

(誤)『アヴァロン』に戻った仁たちは、まず疲れと取ろうと、風呂に入ることにした。

(正)『アヴァロン』に戻った仁たちは、まず疲れを取ろうと、風呂に入ることにした。

(誤)……しかし、よく考えてみると、ゴウとルビーナが管理者であることが受け入れられたものだ、と思うよ」

(正)……しかし、改めて考えてみると、異論も異議も反発もなしに、ゴウとルビーナが管理者であることがよくも受け入れられたものだ、と思うよ」

(誤)そもそも管理職は残業が付かない、という企業が多い……はず。

(正)そもそも管理職は残業手当が付かない、という企業が多い……はず。

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― 新着の感想 ―
[良い点] >「そういうことか。……しかし、改めて考えてみると、異論も異議も反発もなしに、ゴウとルビーナが管理者であることがよくも受け入れられたものだ、と思うよ」 まあ、いきなりの『特別な立場』は負…
[一言] >「泳ぐ……のは駄目よね……」 ル「何しろ、『遊泳禁止』の注意書きもあったしね」 仁「なければ泳いでいたんかい##」 拷「あと、入って直ぐの所には、でかでかと『ちゃんと身体を洗ってから湯船に…
[一言] >「調子はどうだい、『アスティノ』?」 >『はいゴウ様、素晴らしい調子です。これまでに比べ、41パーセントの性能向上が見込まれます』 すごーっ、ジンさんより向上率高いよっ!! ゴ・ル「え!?…
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