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マギクラフト・マイスター  作者: 秋ぎつね
90 未来への一歩篇
3481/4350

90-11 『アステール』

 7月18日。

 仁は『アイオーン』のところへ。

 ゴウとルビーナ、マキナは『アスティノ』のところへと、それぞれ移動した。

 もちろん転移魔法陣を使って、である。

 つまりは『パールス島』へ。


 ゴウとルビーナがインフラを整備してあるため、問題なく作業ができるようになっていた。


「……『アイオーン』、そういうわけで、この後もう1基の魔導頭脳と接続し、『三位一体さんみいったい』の魔導頭脳システムを構成しようと考えているんだ」

『よろしいかと存じます』

「それに先駆けて、お前の性能をもう少し引き上げたい」

『はい、よろしくお願い致します』


 そんな短いやり取りのあと、仁は『アイオーン』を停止した。

 そして礼子を助手に、改良に取り掛かるのであった。


*   *   *


 同じ頃、ゴウとルビーナも『アスティノ』に対し、仁と同じような宣言を行っていた。


「そういうわけだから、一旦停止させて作業を行うよ」

『はい、ご存分に』


 こちらも仁のところ同様に作業を進め始めた。


*   *   *


 そして半日。

 仁の方、つまり『アイオーン』は作業を完了した。


 情報伝達用のケーブルを一新し、情報処理用のユニットを高品質の魔結晶(マギクリスタル)と交換した。

 本体の制御核(コントロールコア)はそのままだが、周辺装置の魔結晶(マギクリスタル)も新しくし、魔法制御の流れ(マギシークエンス)を見直して命令(コマンド)数を3分の2に減らした。

 魔導回路(マギサーキット)も見直し、余計な結線は削除。

 各魔導装置(マギデバイス)の配置も最適化。


 これだけの改良を加えたことで、最終的に36パーセントの性能アップとなった。


「どうだ、『アイオーン』?」

『はい、ジン様。非常によい調子です』


 今の『アイオーン』は『至上の主人(アークマスター)』である仁を『ジン様』と呼ぶ。


「それなら結構だ。これからもよろしくな」

『はい、お任せください』


 と、こちらは問題なし。


*   *   *


 ゴウとルビーナの方はというと。


「ええと、ここはこうした方がいいかしら」

「いいと思うよ」

「こっちは、こう」

「うん」


 2人で相談しながら、どうにかこうにか進めている。

 それを見守るマキナも、2人がゆっくり(仁基準)ではあるが確実に実力を付けてきているのを感じ取っていた。


「こっちはどうだ?」


 作業が7割くらい進んだ頃、礼子を連れて仁がやって来た。


「あ、ジン様」

「もう終わったの?」

「ああ、終わった」

「……早い……」

「お前たち、それはしょうがないだろう? ジンと比べるな。お前たちも十分早いぞ」


 マキナになだめられる2人。


「うん? どうした?」

「……ジン、お前が早く終わらせすぎて、この2人が落ち込んでるんだよ」

「あー……それはなんかすまん。だから手伝いに来たんだが」

「それはフォローになっていないぞ、ジン」

「わかってるよ」


 仁にも、2人の焦りのようなものが感じられる。

 至らなさ、歯がゆさ、もどかしさ……。

 理想と現実の乖離かいり、イメージが再現できない苛立たしさ。


 それらは技術者としての大きな壁だ。


「天才が殻を破ろうとする時の障壁みたいなものだな」


 だからそれをなんとかしてやりたいのだ。


「俺にはそういうの、なかったからな」


 それは、仁が『魔法工学師マギクラフト・マイスター』だからではない。

 仁が天才ではないからだ。

 現代日本の知識を持ち、初代『魔法工学師マギクラフト・マイスター』に認められ、そのすべての技術を受け継いだ『技術者』であり『職人』なのだ。


 ゴウとルビーナは違う。

 独特のものの見方ができ、古いものを組み合わせて新しいものを作り出すことができる。


 仁は、どこまでも『作り手』であるが、2人は『創り手』なのだ。


「アーノルトたちも今、『アスピーダ』を作っている頃だ。頑張れ」

「もちろん、頑張るわよ、ゴウ!」

「ルビーナ、わかってるよ!」


 彼らには、お決まりの言葉などではなく、目標を示してやればいい。

 1人ではないのだから。


*   *   *


 さて、その『アスピーダ』の進捗状況。


「既存の2基は老人と若者の思考パターンということだった。3基目はちょっと変えてみたい」


 アーノルトは、プロジェクトメンバーの前でそう宣言した。


「と、いいますと?」

「老人と若者の中間の年齢ですか?」

「それとも少年とか?」

「いや、性別を変えてみたい」

「あっ……」


 ここで、皆の視線がエイラに向かった。


「え? あたし?」

「そう、君だよ、エイラ君」


 アーノルトはエイラを名指しした。


「君の発想力や思考力を魔導頭脳に使わせて欲しい。もちろん、人格をコピーするようなことはない」

「それはいいけど、あたしよりカチェアの方が向いているんじゃあ?」

「確かにカチェアくんの論理思考や計算能力は魅力的だ。だが魔導頭脳は元々そうした能力を備えているからね」

「まあ、確かに」

「だから、型にはまらない発想力がほしいと思ったんだよ」

「ええと……どんな魔導頭脳になっても知りませんよ?」

「そこは任せてほしい」

「うー……わかりました」


 こうして、『アスピーダ』にはエイラの思考パターンが採用されることになったのである。


「こうした3つのユニットで構成される『アステール』の完成が楽しみだ」


 そしてアーノルトは、次のステップとして、『システム構成』について説明していくのであった。

 いつもお読みいただきありがとうございます。


  本日10月31日は14:00に

 『蓬莱島の工作箱』を更新します。

   https://ncode.syosetu.com/n0493fy/

  お楽しみいただけましたら幸いです。


 20221031 修正

(誤)「アーノルトたちも今、『アステール』を作っている頃だ。頑張れ」

(正)「アーノルトたちも今、『アスピーダ』を作っている頃だ。頑張れ」

(誤)さて、その『アステール』の進捗状況。

(正)さて、その『アスピーダ』の進捗状況。

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― 新着の感想 ―
『就寝前や目が覚めた早朝に読み返していますけど、寝落ちしてしまってなかなか読み返しが進みません…orz』 ≫仁にも、2人の焦りのようなものが感じられる。 ≫至らなさ、歯がゆさ、もどかしさ……。 ≫理…
[良い点] >仁が天才ではないからだ。 >現代日本の知識を持ち、初代『魔法工学師』に認められ、そのすべての技術を受け継いだ『技術者』であり『職人』なのだ。 確かに、職人らしい実直さは常々。 そして、…
[一言] > 仁は『アイオーン』のところへ。 > ゴウとルビーナ、マキナは『アスティノ』のところへと、それぞれ移動した。 ジ「ま、仲間外r o...同士仲良くしようn...rz ジ・アイ「そんなことは…
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