86-40 調査継続
店員テツヤ・レアーラが『暗示』を埋め込まれた『教室』。
「それはどこにあるんだ?」
「はい、テルルスへと続く街道の途中にある『リマ』という町です」
「リマか……」
ここでマキナは商談室を出ることにした。
ここから先の話は、ゼーガとペギーにも聞いてほしかったからだ。
* * *
「……と、こんな感じだ」
「は、はあ……」
「さすがマキナ殿ですね」
判明した事実を説明すると、ペギーは少し戸惑ったが、ゼーガはすぐに受け入れた。
そこで、もう少し詳しく説明をすることで、ペギーにも理解してもらうことができた。
「そこで、申し訳ないがテツヤ・レアーラは一時拘束させてもらうことになる」
「ですね」
「……」
「不当な扱いはしないから、安心してくれ」
落ち込むテツヤをマキナは慰めた。
「でも、拘束するって、場所は?」
「ここでいいだろう」
「は?」
「配下の『スペース20』を呼んで、監視させる」
自由な外出はできないが、通常業務はしてもらって構わない、とマキナは言った。
これなら『販売代理店』の業務への影響もないだろう。
「これから、どうするんですか?」
「『リマ』の町へ行ってみようと思う」
「テツヤさんが『暗示』を埋め込まれた『教室』のある町ですね」
ペギーが言った。
「そうだ。君たちも行くか?」
「はい、是非」
「行きます!」
「よし」
そういうわけで、店員テツヤ・レアーラは『スペース20』の監視付きでそのまま勤務させることとなった。
また、『販売代理店』は引き続き『第5列』のブラウとディーナ、そして『忍壱』から『伍』が観察を続けることになる。
なにせ、『書き込み』の現場は判明したが、『樹脂の塗布』に関してはまだ不明なのだから。
* * *
デウス・エクス・マキナ3世、ペギー・ゼノス、ゼーガ・ランバンらはウラウの町郊外に駐機してあった『アリストテレス』へ。
そこから空路でリマの町へ向かう。
距離はおよそ200キロ、『アリストテレス』なら1時間だ。
時差はマイナス30分ほどなので、時刻としてみたら30分経過で到着したことになる。
ウラウの町を出たのは午後4時だったので、今は現地時間で午後4時半。
まだ活動できる時間帯だ。
「とりあえず、その『教室』について聞き込みをしてもらおう」
マキナはペギーとゼーガに指示を出す。
「はい」
「わかりました」
大体の場所は聞いていたので、道を尋ねながら行けばわかるだろう、ということになった。
今回は、ペギーとゼーガは一緒に行動。
道行く人に尋ねると『教室』はすぐに分かった。
「町外れにある赤いレンガの家、か……」
「近くて助かりますね」
『アリストテレス』が着陸した地点からそう遠くはない場所だったのだ。
徒歩で15分。
午後5時にはその『レンガの家』に着いた2人であった。
「ここか」
「どうします? 訪ねてみますか?」
「いや、それはやめておこう」
ここが元凶なら、どんな事態に遭遇するかわからないから、準備をしてからでなければ危険だ、とゼーガはペギーを諭したのである。
* * *
さて、同時刻、蓬莱島。
もちろん、老君は『覗き見望遠鏡』を使い『レンガの家』を調べていた。
『既にいませんか……』
当時の『講師』は1年以上前に転勤しているということであった。
さすがに2年以上前の話なので、それほどおかしなことではない。
また、『教室』自体は別の講師によって教育が行われている。
だが、テツヤ・レアーラが教えを受けた講師はもうここにはいない、それが事実である。
『どこへ移転したのか、追っていくこともできるでしょうし』
この相手の傾向として、『周囲に疑われることをしない』というものがある。
つまり、『移転先を偽る』ようなことはしないのではないかという仮定が成り立つというわけだ。
『こうなると、ゼーガとペギーにも調べてもらえますね』
要調査内容は3つ。
1.その『講師』の移動先。
2.その『講師』に教えを受けた生徒の名簿。
3.『講義』内容。
……である。
『それは関係者が出勤してくる明日以降ですね』
『覗き見望遠鏡』で見たところ、今『レンガの家』には管理人しかいなかったのである。
* * *
『ですが、手掛かりはもう1つ、要調査事項ももう1つありますからね』
老君はそちらに力を入れようと、ウラウの町にいる『第5列』と『忍部隊』に連絡を取った。
『レグルス48、デネブ12、今は大丈夫ですか?』
『はい』
『はい』
『よろしい。……店員テツヤ・レアーラがナンパしようとしていた女性を調べてください』
ナンパに見せかけた連絡、という可能性もあると老君は説明した。
『了解です』
『了解しました』
2体はすぐに動き出した。
* * *
次は『忍部隊』である。
代表の『忍壱』に連絡を取る。
『『バックドア』を仕込む方法は明らかになりましたが、樹脂の塗布方法がまだ判明していません。そちらの解明を急いでください』
『了解しました』
こうして、蓬莱島勢の調査は続くのである。
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