86-39 マキナの調査
『ゼーガとペギーの2人、発見したようですね』
彼らの増援要請信号は老君も受信していたし、何より途中経過を『覗き見望遠鏡』で見守っていたのだ。
『ここは、不自然ではない形で支援しますか』
ここで、デウス・エクス・マキナ3世の出番である。
* * *
「何、マキナ殿が?」
「はい」
『アヴァロン』では、デウス・エクス・マキナ3世の突然の来訪に少し戸惑っていた。
が、それは、マキナとしてはいつものこと。
最高管理官トマックス・バートマンも慣れっこになっている。
すぐに秘書自動人形のマノンとシモーヌを引き連れ、マキナの乗機『アリストテレス』を出迎えた。
「ようこそ、マキナ殿」
「トマックス殿、しばらくだな」
「今日は何か?」
「いや、特にこれといって緊急の用事があるわけではないが、『バックドア』について何か進展があったかと思ってな」
「ああ、それでしたら……」
「どうした?」
ここでトマックス・バートマンは、ゼーガ・ランバンとペギー・ゼノスからの増援要請信号について説明した。
「なるほど。……よし、俺が行こう」
「よろしいのですか?」
「なんとなく……勘だが、重要な発見があるような気がする。このまま行ってみるよ。ウラウの町、だな?」
「そうです」
「よし。……後ほど、搭載している『魔素通話器』で報告するから」
「お願いします」
というわけでマキナは、着陸したかと思ったら身を翻して機上の人となったのである。
そして『アリストテレス』は再び大空へと舞い上がった。
こうしてデウス・エクス・マキナ3世は、大義名分を得たのである。
* * *
『アヴァロン』からウラウの町までの距離は400キロ弱。
『アリストテレス』は時速200キロで飛び、2時間で翔破した。
時刻は午後2時。
『アリストテレス』を町の郊外に着陸させたマキナは、従騎士レイをお供に、ウラウの町へ向かった。
そして『販売代理店』へ。
「あ……マ、マキナ殿!?」
「ど、どうして……」
マキナが顔を出したので驚くペギーとゼーガ。
「いや、たまたま『アヴァロン』へ行ったら、『バックドア』の手掛かりが掴めたらしいというんでな」
「でも、心強いです」
「それにしても、よくここがわかりましたね」
「そこはいろいろあってな。……例えば、その『信号発信機』の信号を探知することもできるしな」
「さ、さすがマキナ殿ですね」
「す、凄いです」
「それより、何を発見した?」
感心するゼーガとペギーだが、マキナは要件を優先する。
実は知っているのだが、それを言うわけにはいかない。
「はい、実は……」
ゼーガ・ランバンがマキナに説明していく。
「なるほどな。その『銀色のトレイ』は中だな? 店長と店員も」
「は、はい」
というわけでマキナは2人と共に店の中へ入り、店長マオリクスと店員テツヤ・レアーラを紹介される。
「こちらが店長のマオリクスさんです。それと店員のテツヤ・レアーラさん」
「デウス・エクス・マキナだ」
「おお……お会いできて光栄です」
「調査に協力してもらいたい」
「はい、それはもちろんです」
店長はマキナのことを知っており、協力を約束した。
そこでペギーはまず、証拠品である『銀色のトレイ』について説明を行う。
「なるほど。その『銀色のトレイ』は?」
「はい、ここに」
ペギーは押収したトレイを差し出した。
「これか。お、なかなか綺麗にバラしてあるな」
そう言いながら、マキナは確認をしていく。
「なるほど。これは確かにバックドアを仕込むための魔法陣だ。光属性の魔結晶をここに1分間以上置いておくと書き込まれてしまうようだな」
「やはりそうですか……」
「マキナ殿が来てくださって助かります!」
マキナによる解析は素早く、動かぬ物的証拠として『銀色のトレイ』が確保できた。
だが問題は……。
「わ、わた、私は、ど、どど、どうなるのでしょうか……」
がたがた震えている店員、テツヤ・レアーラである。
「そうだな……店長、彼と2人きりで話せる部屋はないかな?」
「は、はい。商談室がございます」
マキナは店長に申し入れ、個室を一時的に借りることにした。
扉の前では従騎士レイが見張っている。
* * *
「あ、あの……?」
「心配しなくていい。そうだな、30秒ほど目を閉じてじっとしていてくれ」
「は……はい」
「これから、この魔結晶に君の記憶の一部を転写する。それを読み取れば、真実がわかるというわけだ」
「そんな事ができるのですか?」
「君が拒絶すればできないがな」
「い、いえ、協力します!」
「よし」
目を閉じたテツヤ・レアーラに対し、マキナはポケットから出した『魔結晶』に『知識転写レベル6マイルド』を掛けた。
「もういいぞ」
「へっ?」
何も感じなかったのでテツヤは拍子抜けしたようだ。
「この中に必要な情報が入っている」
「はあ……」
「読み取ってみよう。『知識確認』」
マキナはその魔結晶に『知識確認』を掛けてみせた。
2秒足らずのうちに、必要な情報が読み取られる。
「ふうん」
「ど、どうなのでしょう?」
「君に罪はなさそうだ」
「は、はあ……」
「君は、ここへ来る前に、『教室』に通っていたな?」
「あ、はい。読み書き、計算、それにいろいろな職業のコツを教えてくれる教室に」
「おそらくそこで『暗示』を埋め込まれたんだ」
ここにまた1つ、事実が判明したのである。
いつもお読みいただきありがとうございます。
20220426 修正
(誤)「デウス・エクス・マキナだ。3代目になる」
(正)「デウス・エクス・マキナだ」




