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マギクラフト・マイスター  作者: 秋ぎつね
86 暗示事件篇
3281/4349

86-28 対面、そして

『よく来た、『ホープ』殿の製作者殿とそのご友人たち』


 魔導頭脳『ファースト』は仁たちを好意的な言葉で迎えた。


『空気の組成はいかがかな? 外気をそのまま取り込んだのだが』

「問題ない」


 仁Dが答えた。

 ここに来るまでの間、空気の組成を調べたところ、ほぼ地上部分と変わりがなかったのである。

 仁Dたちは誰ひとりとして呼吸を必要とはしないが、『ファースト』の底意を知る意味もある。

 そして。


「こういうモノも持ってきている」


 仁Dはハンディタイプの酸素ボンベと酸素マスクを取り出した。


「およそ30分、呼吸可能だ。だが、マスクを付けてしまうと意思の疎通がしづらくなるからな」

『用意がいいな』


 そして仕切り直しということでホープが仁Dたちを紹介する。


「それでは改めて紹介しましょう。こちらが私の製作者様で二堂仁様。今代の『魔法工学師マギクラフト・マイスター』です」

『なんと、『魔法工学師マギクラフト・マイスター』殿だったか!』

「ご存知か?」

『外界の情報も取り入れているからな。そうか、貴殿が『今代魔法工学師マギクラフト・マイスター』か……』


「紹介を続けさせてください。……こちらはハンナさん。製作者様のご友人です。そちらはアーノルト様、同じくご友人です」

『お2人はなんの専門家なのですかな?』

「ハンナさんは科学者ですね。アーノルト様は魔法工作士(マギクラフトマン)です」

『なるほどなるほど。で、お付きの自動人形(オートマタ)は?』

「こちらは礼子さん。製作者様のお付きです。そちらはチェルさん。アーノルト様のお付きです。こちらはアンさん。ハンナさんのお付きです」


 アンを紹介すると、『ファースト』は即反応した。


『アン……? その青髪、もしや『魔導大戦』時の遺物?』

「はい、わたくしめは確かに『魔導大戦』時代に作られました。ですが、ジン様に全面的な改修をしていただきましたので遺物ではございません」

『ほほう』

「わたくしめはもう、かつての量産型ではないのです」

『なるほどな。……試させてもらってもよいか?』

「試す、とは?」

『こちらのゴーレムと模擬戦をしてくれればいい』


 それを聞いていた仁Dは、最近はなんだか模擬戦づいているなあ……と思ったようだ。

 そして仁Dはアンに頷いてみせる。


「わかりました。壊し合いでないのでしたらお受けします」

『それでよい。……では、こちらはこのゴーレムだ』


 壁の扉がスライドし、『スポークス』と同型のゴーレムが1体現れた。


『こいつと模擬戦をしてもらおう』

「武器はどうします? 素手でいいのですか?」

『それでかまわない。開始はそちらで宣言してくれ』

「わかりました。……始めます!」


 アンは宣言したあと、大きく踏み出した。

 一気に加速、相手ゴーレムの正面へと飛び出す。

 相手ゴーレムはそれを迎え撃たんと右腕を振り下ろした。

 が、そこにアンはいない。

 腕が届かないギリギリの距離でもう一度床を蹴り、右へと横っ飛びに移動。そこからさらに背後へと回り込み、相手ゴーレムの左後方からローキックを放った。


 があん、と金属音が響き、相手ゴーレムの体勢が崩れる。

 そこへローキックをもう1発。

 相手ゴーレムはたまらず床に転がった。


 アンは大きく飛び下がって距離を取る。


「……どうです?」

『十分だ。アン嬢、間違いなくそなたは量産型の青髪自動人形(オートマタ)ではない。それは認めよう。その実力なら、護衛としても十分であろう』

「ありがとうございます」


 こうしてアンは『ファースト』にその実力を認められたのである。


*   *   *


『ところで、アーノルト殿、といったか。貴殿のお付きの自動人形(オートマタ)も、なんとなく形式に覚えがあるのだが』

「そうでしょうね。チェルもまた、『魔導大戦』時の製作ですから」

『やはりそうだったか。……そしてどことなく『シェンナ殿』の色が見える』

「わかりますか。そう、チェルは、シェンナ先生への憧憬しょうけいを込めて製作したものと言ってもいいのですから」

『ほう、なるほど』

「『ファースト』殿はシェンナ先生のことをどうお考えです?」

『シェンナ殿は、アドリアナ・バルボラ・ツェツィとはまた違った体系の技術を生み出された方である』

「そのとおりだと思います」

『なるほど、アーノルト殿はシェンナ殿の技術体系にお詳しいようだ』

「詳しいといえるかどうか。ですがシェンナ先生のことは尊敬しております」

『十分だ』


*   *   *


 そして『ファースト』は仁Dに話し掛ける。


『今代魔法工学師マギクラフト・マイスター殿』

「何か質問が?」

『私の得た情報によれば、お付きの自動人形(オートマタ)、レーコ嬢は無敵だとか』

「無敵は大袈裟かもしれないが、負けたことはないかな」

『十分だ。……私の『基底命令』は……』

「『強くなること』だろう?」

『知っていたか』

「ホープから聞いてな」

『ならば、話は早い。……私の戦力と戦ってほしい』

「……理由を聞いてもいいか?」


 やっぱりそうなるか、と思いながら仁Dは『ファースト』の話を聞く。


『レーコ嬢が『不敗』なら、彼女よりも強いものと戦ったことはないのであろう。つまり、少なくとも彼女に勝つこともまた『強くなること』の1つといえる』

「言っていることはわかるんだがな。……負けたらどうするんだ?」

『次の機会までに『強くなる』までだ』

「それでいいのか?」


 『ファースト』の『基底命令』がやや不安定、もしくは不完全であるが故に、礼子に負けたあとの反応が気掛かりな仁Dであった。


*   *   *


御主人様(マイロード)、お気になさらず、礼子さんに模擬戦をしてもらいましょう』


 蓬莱島で老君が仁に提案している。


「いいのか?」

『はい。『ファースト』の反応を見て、その後の対策を決定する必要がありますし』

「そうか、わかった」


 いよいよ、礼子の模擬戦開始である……。

 いつもお読みいただきありがとうございます。


 20220415 修正

(誤)だが、マスクを付けてしまうと意志の疎通がしづらくなるからな」

(正)だが、マスクを付けてしまうと意思の疎通がしづらくなるからな」

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― 新着の感想 ―
[一言] ファーストのシェンナ観を見るに、 アーノルトがセオドアを優秀と評した理由は、これだけなのではないか、 という気が。 仁「多分、アレだな。同じ作品のファンでも、カップリングが違うだけで敵、って…
[一言] >>好意的な言葉 エ「言葉の上では」 ラ「慇懃無礼か」 >>なんと エ「六聖拳?」 ラ「え?海本な人の操縦中の声じゃ?」 >>かつての量産型ではない エ「魔改造が過ぎて性格まで・・・」 …
[一言] >>対面、そして 対決? >>魔導頭脳『ファースト』は仁たちを好意的な言葉で迎えた。 部屋が折り紙の鎖とかティッシュのお花とかで飾り立てられてました。 >>『空気の組成はいかがかな?…
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