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マギクラフト・マイスター  作者: 秋ぎつね
86 暗示事件篇
3278/4351

86-25 ラクシェ工房

 『ハリケーン』は1時間弱でウラウの町からガイロフの町へと移動した。

 そのまま郊外に着陸し、仁Dと礼子とで町中へ。

 このあたりの町は防壁はなく、外敵による被害も少ないことがうかがえる。


「そこそこ大きな町だな」

「ゴーレムの歩哨が立っていますね」


 礼子が指差す方をみると、戦闘用と思われるゴーレムが町の外をにらみつけるようにして立っていた。

 仁Dと礼子には目もくれないので、対人用ではなくそれ以外の外敵が対象のようだ。


 とがめられることもなく、仁Dと礼子はガイロフの町へ。

 地方都市ではあるが、かなり大きく、人も多く、賑わっている。

 時刻は午前10時ころ。


「『ラクシェ工房』だったな」

「はい。聞いてまいります」

「頼む」


 礼子は、旅行者ではなく町の住人と思われる人を選んで道を訪ねた。


「ああ、『ラクシェ工房』ね。そこの通りを真っ直ぐ行って、2つ目の交差点を左に……」

「ありがとうございます」


 と、そんな感じで道を確認し、仁Dと礼子は『ラクシェ工房』へ。

 5分ほどで到着。

 賑やかな大通りから少し外れた、閑静な場所にある工房であった。


「中堅どころって感じかな」

「そうですね。ゴーレムの製作がメインで、一部魔導具も作っているようです」

「だな」


 看板代わりにゴーレムの外装が置かれていて、その手に『ラクシェ工房』と書かれた表札があった。


「ここは、ストレートに用件を話すのがいいでしょうね」

「そうだなあ。専門家ばかりだろうし」


 説明すれば話が通じるだろうと、仁Dと礼子は『ラクシェ工房』の扉を叩いた。


「はい、いらっしゃいませ……え?」


 出てきた職人は、仁Dと礼子を見て固まった。


「今代魔法工学師マギクラフト・マイスター、ジン殿……と、レーコ嬢!?」

「あ、はい、こんにちは」

「ちょ、ちょっと、お待ち下さいいい!」


 職人は身を翻すと工房の中へ駆け込んでいった。

 そして30秒後。


「ジン殿、こんな僻地の工房へようこそ!」

「レーコ嬢、お目にかかれて光栄です!」

「まさかお目にかかれるなんて!」


 等々、口にしながら大勢の職人が殺到してきたのだった。


*   *   *


「……大変、失礼いたしました」

「いえ、お気になさらず」


 騒動の後、仁Dと礼子は商談室に通された。

 商談室といっても、一番奥の応接間である。


「それで、本日はどんな御用でしょうか」


 仁Dたちに応対しているのは『ラクシェ工房』の主、ランドウ・ラクシェ。

 壮年の男で、しっかりした印象がある。


「実は、とある事件を追っていまして」

「事件ですか?」

「はい」


 ここで仁Dは、『バックドア』が仕込まれた制御核(コントロールコア)を追跡していることを説明した。

 その過程で制御核(コントロールコア)の『バックドア』を無効化し、出どころを探していることも。

 もちろん『バックドア』がどういうものかも説明しており、ランドウ・ラクシェは正しく理解してくれた。


「そんなことがあったのですか。……で、私どもが納品したゴーレムの制御核(コントロールコア)にもその『バックドア』が……」

「そうなんです」

「それではジン殿が自らおいでになるわけですね……」

「『世界警備隊』も動いていますからね」

「わかりました。まずは確認いたします。やり方のご指導をお願いできますか?」

「もちろんです」


 口頭で説明することもできたが、ランドウは仁Dからの直接指導を願い出た。

 余計なプライドもなく、何が必要か判断できるいい指導者である。


*   *   *


「……というわけだ」

「おお……」

「そんなことが……」


 ランドウからの説明を聞いた工房の職人たちは皆、顔をしかめた。


「早速確認しましょうぞ」


 職人頭のドーブ・ノーエンが胸を叩いた。


「お前ら! 製作中のゴーレムは一旦そのままにしておけ! まずは在庫の『制御核(コントロールコア)魔結晶(マギクリスタル)』から調べていくぞ!」

「はい!」


 職人頭の号令の下、職人たちは一斉に確認作業を開始したのだった。


*   *   *


「結果、128個のうち24個が『バックドア』付きでした」

「内訳は?」

「24個全て、光属性の魔結晶(マギクリスタル)を使っていました」

「やはり光属性か……」


 当面、光属性の魔結晶(マギクリスタル)を使う際は十分な検査をしてから使うか、全属性に切り替えるかした方がよさそうだと仁Dは提案。


「そうですね」


 ランドウ・ラクシェもそれを受け入れたのである。


 さらに、『光属性』の魔結晶(マギクリスタル)を使ったゴーレムは、これまでに32体出荷されたということであった。


「その出荷してしまったゴーレムはどうなりますか?」

「それに付きましてはこちらでフォローいたします。あ、3体はウラウの町でしたので29体ですね」


 その3体は町長のところとリーマス商会のものである。

 残る29体はもう少し近いところらしく、『ラクシェ工房』で交換をすることになった。


 交換に伴うコストはどうするのか、と仁Dは思ったが、


「これは信用に関わることですので全てこちらが持ちます」


 ということで、この工房が良心的な運営をしていることがうかがえたのである。


 仁Dを操縦している仁としても安心であった。


 さて、最後の問題は、その『光属性の魔結晶(マギクリスタル)』を購入した先である……。

 いつもお読みいただきありがとうございます。


 20220412 修正

(誤) 交換に伴うコストはどうするのか、と仁Dは思ったが、」

(正) 交換に伴うコストはどうするのか、と仁Dは思ったが、

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― 新着の感想 ―
[一言] >戦闘用と思われるゴーレムが町の外を睨みつけるようにして立っていた。 伝統的な阿形、吽形の仁王ポーズで。 ?「二代目が広めた由緒あるポーズなのです」ジッサイ大抵の外敵は逃げ出す 仁「えぇ……
[一言] >>説明すれば話が通じるだろうと ハ「それは甘いんじゃ無いかな・・・」 エ「普通はこう言った事言われたらキレる」 >>30秒後 ハ「40秒もかからずに支度したんだ」 >>殺到してきた エ…
[一言] >>そのまま郊外に着陸し、仁Dと礼子とで町中へ。 考えてみれば老君はスポークスと会話した時、仁Dを操作して仁のモノマネをして帳簿を調べて、蓬莱島全体の管理もしてたんだよなぁ……ブラック? …
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