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マギクラフト・マイスター  作者: 秋ぎつね
86 暗示事件篇
3271/4357

86-18 新たな可能性について

 『世界警備隊』情報局局員のペギー・ゼノスは、エーゲの町にある販売代理店の宿舎に泊めてもらっていた。

 宿舎は個室で、連絡員や運送担当が泊まれるように作られた部屋が4つほどあった。

 その1つにペギーは泊めてもらうことになったのだ。


「助かります」

「いえいえ、『世界警備隊』のかたなのですから、こちらにもこれくらいさせてください」

「……おそれいります」


 部屋は6畳くらいで、シングルベッドが1つ。他にはサイドテーブルとスツールがあるだけの簡素な部屋である。

 それでも、調査対象となっている商会の宿舎なので、何か手掛かりが掴めないかと、恐縮しつつも泊めてもらったわけである。


 夕食は外へ食べに出、情報収集だ。

 ……だが、土地勘がなく、知り合いもいない状況なので、ペギーとしては成果はあまり期待できなかった。


「……なかなか難しいですね……」


 実は、ペギーはこれが初の単独任務である。これまでは先輩との共同調査だったのだ。


 つまり、『表』の彼女はおとり……とまでは言わないが、陽動としての役割の方が大きかったと言えよう。もちろん、本人は意識してはいない……。


*   *   *


「ふむ、ペギーは販売代理店の宿舎に泊まるようだな。なかなかうまく立ち回っているようだ」


 『世界警備隊』情報局局員、ゼーガ・ランバンはそれとなくペギー・ゼノスの様子をうかがっていたが、初の単独任務にしてはうまくやっているなと評価していた。

 元々、『表』としての聞き込みを中心とした調査で何かわかるとは期待されていないのだ。

 つまり、『裏』で調査する彼が本命なのである。


「さて、こういう時は……」


 ゼーガは酒場へと向かう。

 ありきたりだが、定番の情報源、それが酒場である。

 噂話が聞けるのはもちろん、酔うことで口が軽くなる者は多く、玉石混交ではあるが、酒場は情報の宝庫といえた。


「ふむ……特に変わったことはないのか……なかなか手ごわい案件だな」


 『ある』ことを証明するには1つでもいいから実例を示せばいいのだが、『ない』ことの証明は非常に難しい。

 『悪魔の証明』に通じるものがあるといえよう。


 ゼーガは深夜まで、酒場をハシゴし、情報を集め続けたのだった。


 ちなみに、支給された『解毒』の魔導具をもっているので悪酔いや泥酔はしない。


*   *   *


 そして『エリカ』。

 彼女は諜報員として作られた自動人形(オートマタ)であるから、周囲の探知はお手のものである。


「この町にも不審な気配はないようですね」


 だからといって警戒しないでもいいというわけではないが、他の可能性も考慮しなくてはならない。


「ここの店に納品された品物は、仕分けされ、発送されるわけですが、『アヴァロン』向けは特別扱いなんですよね……」


 クライン王国——『アヴァロン』間の定期便があり、そこに託されることになるのだ。


「その定期便を疑って掛かることになりますね」


 定期便を運営しているのは『アヴァロン』である。

 つまり、『アヴァロン』の職員を疑って掛かることになるのだ。


「とはいえ、『魔法連盟』の残党の可能性もありますし、グラハム・ダービーの例もありますしね」


 グラハム・ダービーは現最高管理官であるトマックス・バートマンの前任者である。

 魔法連盟の構成員だったため、『アヴァロン』にいろいろと混乱をもたらした過去がある。まさに獅子身中の虫であった。


「もし、黒幕の目的が混乱させることだったら……」


 そう考えると、この定期便も怪しく思えてくるのだった。


*   *   *


 老君もまた、『覗き見望遠鏡(ピーパー)』による調査を行っていた。

 そしてエーゲの町には、怪しいところはないと結論を出したのである。


『だとすると、『アヴァロン』の定期便ということになりますが……それでは他の国々に散らばることはないでしょうしね』


 根本から考え直す必要があるかもしれない、と老君は思い始めたのだった。


『正体を隠し、暗躍する……なかなかの強敵ですね』


 老君も認める相手、ということである……。


*   *   *


 蓬莱島にいた仁に、ラインハルトから連絡が入った。


「どうした、ラインハルト?」

『いや、サキの誕生日パーティのときに話し合っていた件だけど、1つ思いついたことがあったから、伝えておこうと思ってね』

「なんだい? 聞かせてもらおう」


 仁としても、魔結晶(マギクリスタル)の流通ルートを追跡して黒幕を見つける作戦は難航していることを知っていた。

 そこへラインハルトからの連絡である。


『もちろんさ。ええとな、流通の途中ではなく、始まりを疑ってみたらどうか、と思ったんだ』

「なんだって?」

制御核(コントロールコア)を作ったのはトモシデ・ヨダたちなんだろう?』

「そうだが……まさか!」

『ああ、彼らが使っている、あるいは使っていたゴーレムに『バックドア』がないか調べたほうがいい』

「それは盲点だったな。助言ありがとう」

『なんの』


 通信は切れた。


「老君、聞いたな?」

『はい、御主人様(マイロード)

「その可能性は?」

『検討しました。当人たちの証言があったことと、彼らが現在『アヴァロン』預かりになっているため、検証はしておりません』

「そうか……」

『マキナにやらせましょうか?』

「そうだな。そうしてくれ」

『承りました』


 蓬莱島と『アヴァロン』を振り回す謎の存在。


 仁は改めてその危険性を感じていたのだった。

 いつもお読みいただきありがとうございます。


 20220405 修正

(誤)『世界警備隊』』情報局局員のペギー・ゼノスは

(正)『世界警備隊』情報局局員のペギー・ゼノスは

(誤)『世界警備隊』』情報局局員、ゼーガ・ランバンは

(正)『世界警備隊』情報局局員、ゼーガ・ランバンは

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― 新着の感想 ―
[気になる点] >彼らが使っている、あるいは使っていたゴーレムに『バックドア』がないか調べたほうがいい って、ソレは既に調査済みですよ? 彼らの作品のコンピュータに悪意ある教育がなされていた事が発端…
[一言] >>泊めてもらうことに 腐「翌朝には有名なあの台詞が何処からか・・・」 ハ「朝は寝床でg(ryじゃないの?」 エ「年齢詐称疑惑」 >>彼女は囮 捨組「少しだけ親近感が・・・」 >>彼が本…
[一言] >>『世界警備隊』情報局局員のペギー・ゼノスは、エーゲの町にある販売代理店の宿舎に泊めてもらっていた。 その後、彼女を見たものはいなかった……。 >>その1つにペギーは泊めてもらうことに…
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