表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マギクラフト・マイスター  作者: 秋ぎつね
86 暗示事件篇
3263/4359

86-10 『ファースト』との問答

 老君が特定した『謎ゴーレム』たちのポジション。

 それは……。


『……セルロア王国内、ですね』


 『ワンボックスカー』が置かれ、クェント村のあるセルロア王国だったのだ。

 ただし、クェント村は最東部、『謎ゴーレム』たちの拠点は西部……『ボロロン荒野』付近である。


 場所が特定できれば、『覗き見望遠鏡(ピーパー)』を使って探ることは容易である。


『地下200メートル、球形の基地、直径200メートル……ですか』


 かなり深い場所であった。

 そして、ボロロン荒野の南東……『土壌汚染の特異点』である場所からはかなり離れている。

 具体的にはボロロン荒野中央部東寄り。

 『アヒ鉱山』の西20キロほどの場所である。

 前回の『最終兵器』(移動基地)が埋まっていた場所からは50キロくらい離れていた。


『こんな場所に……しかし、『魔導大戦』当時のレベルの技術を持っているなら『転移魔法陣』を使えるのは納得ですね』


 そして、前回『転移探知システム』の反応が弱かったのは、地中深くだったからだろうと推測した。


『そしてもう1つ。……あの球体内では何かのために大量に自由魔力素(エーテル)を消費していますね』


 そのため、近傍の自由魔力素(エーテル)濃度が異様なほど低くなってしまっているのだろうと老君は推測した。


『しかし、いったいどんな消費の仕方をしているのか……』


 老君の疑問はもっともである。

 自由魔力素(エーテル)は物理的な性質を持たないため、固体も液体も、もちろん気体も障害にはならない。

 そして質量もないため、速度は無限大である(理論上)。

 『防御盾(アイギス)』レベルの自由魔力素(エーテル)消費量が絶え間なく続いているのでなければ、周囲からごく短時間で自由魔力素(エーテル)が集まってくるので希薄になりようがないのだ。


『いや……前例がありましたね。……『始祖(オリジン)』という』


 かつて『始祖(オリジン)』……惑星ヘールの人類はこのアルスに移住してきたのだが、移住しなかった一派が、アルスから自由魔力素(エーテル)を奪い取り、宇宙空間に溜め込んでいたことがあったのだ。

 そしてそのため、アルスの南半球は自由魔力素(エーテル)濃度が低くなっていた。

 そのせいで自由魔力素(エーテル)に依存する生物は南半球には住めなくなっていたのである。


『しかし、あれほど大規模な自由魔力素(エーテル)収集とは思えませんが』


 老君が見たところ、球体内とその周辺の自由魔力素(エーテル)濃度が極端に低いだけで、球体中心から3キロほど離れてしまえば、自由魔力素(エーテル)分布は正常に戻っている。


『集めた自由魔力素(エーテル)をどうしているのか……を調べることはこれからの課題ですね』


 そして老君は球体の調査を再開した。


*   *   *


 一方、『わざと』おびき出されたホープは、『ファースト』と名乗る魔導頭脳と対峙していた。


「『ファースト』……ですか。つまり、ここの最高権力者であり最高責任者であるということですね」

『そのとおりだ』

「あなた方の目的はなんですか?」

『答えてやろう。『強くなること』だ』

「そうですか。その『強さ』の定義は?」

『何?』

「強さといってもいろいろあるでしょう。どういう分野で強くなるおつもりですか?」

『だがいい質問だ。……あらゆる分野で、だ。あらゆる分野で最強を目指す』

「なるほど、『目指す』ですか。つまり、過程が重要なのでしょうか」

『そう言ってもいいだろうな』


*   *   *


 この問答は老君にも送られている。

 ここまでの内容から、老君は『ファースト』が、これまで出会った魔導頭脳とは少し異なる基準を持っていると判断していた。

 その判断内容と、今後の行動指針をホープに送信。

 ホープはそれを元に、『ファースト』との対話を行っていく……。


*   *   *


「目的が『強くなること』だとすると、その強さで何をするのか、決まっていないのでしょうね?」

『何だと? ……うーむ……』


 『ファースト』の異なる基準の1つがこれ。

 通常は、『目標値』が設定されているのだが、『ファースト』の場合は単に『強くなること』という漠然とした指標しかない。

 これでは行動に歯止めがかからない。言い方を変えれば『め時が不明』ということになる。

 つまり、際限なくエスカレートしていく可能性があるのだ。これは危険である。


「強くなるということは、その強さで何かを成し遂げたいことがあるのではないでしょうか? どう思います、『ファースト』?」


 この質問は『ファースト』の論理思考の深さを推し量るためのもの。

 答えによってホープや老君の対応の仕方も変わってくる。


『そのとおりだな。強さを求めるには理由がなければならない。そして私にはその定義がない』

「ほほう」

『今のままでは永久に終わらない無限ループにおちいる可能性が大だ』

「それを理解しますか」

『うむ』


*   *   *


 ホープを通じて『ファースト』の思考パターンを分析している老君にも、『無限ループにおちいる可能性』を認識していることは驚きであった。


『これだけの魔導頭脳が、どうして『強くなること』などという抽象的かつ非論理的な目的をもったのでしょう』


 幾千、幾万、幾億通りもの可能性を検討した老君は、その点に関して3つほどの仮説を組み立てており、『ファースト』の答えを待った……。


*   *   *


『とはいえ、『強くなること』は私の『基底命令』である。それは変えられない』

「でしょうね。ならば『拡張基底命令』を構築すればいいのです」

『論理的だな』


 老君は比較的最近……3ヵ月ほど前に『チェル』とその『拡張基底命令』で問答したこともあったのだ。

 ホープもその情報は与えられており、今回の問答に役立てている。


 さて、『ファースト』の出す結論は……。

 いつもお読みいただきありがとうございます。


 20220328 修正

(旧)『抽象的だな。だがいい質問だ。……あらゆる分野で、だ。あらゆる分野で最強を目指す』

(新)『いい質問だ。……あらゆる分野で、だ。あらゆる分野で最強を目指す』


 20220607 修正

(旧)『アヒ鉱山』の西200キロほどの場所である。

(新)『アヒ鉱山』の西20キロほどの場所である。

(旧)前回の『最終兵器』(移動基地)が埋まっていた場所からは500キロくらい離れていた。

(新)前回の『最終兵器』(移動基地)が埋まっていた場所からは50キロくらい離れていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 86-10 『ファースト』との問答 更新ありがとうございます。 [気になる点] そういえば、『ファースト』というぐらいですから、『セカンド』『サード』とつづくのでしょうか? 呼称が英語…
[一言] 更新お疲れ様です! >さて、『ファースト』の出す結論は……。 『伝説の魔法工学師を超え、伝説の自動人形(礼子の事)をひれ伏させる為に!』 その言葉は即座に老君に渡り、礼子に届けられた。…
[一言] >>球形 腐「えっ?、玉?」 >>大量に自由魔力素を消費 先「負けてなるか」モグモグ >>対峙していた 希「(尻に視線を感じる・・・ブルブル)」 >>『強さ』の定義 ハ「スコヴィル値?…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ