表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マギクラフト・マイスター  作者: 秋ぎつね
81 新技術開発篇
3075/4345

81-16 発見、それは……

 『シトン川遺跡(仮称)調査隊』が出発したのは3月7日。

 半日の準備で出発である。

 こうしたフットワークの軽さは『北方民族』の特徴である。寿命が長いからのんびりしているということはない。

 そしてもう1つ。

 『森羅しんら』のコンダックは転移魔法を使えるのである。これは大きい。


 一緒に転移できる重さはおよそ100キロ、大きさでいえば、自分を中心にした直径2メートルの球体内。転移可能な距離はおよそ1000キロ。

 これにより、自分以外に1人を転移で運ぶことができるし、必要な物資や足りないものを補充できる。

 なので移動についてはかなり気楽であった。


 使ったのはロードトスが新たに作った大型風力式浮揚機(ブローフローター)

 10人乗りで、イメージとしては『マイクロバス』が近いかもしれない。


「さすがロードトスだ。速いな」

「時速100キロ以上出ているんじゃないか?」

「ああ。120キロだ」

「この大きさでそれはすごい。今日中に着いてしまうな」


 『森羅しんら』の氏族領と目的地であるシトン川河口まではおよそ600キロ、5時間で到着できる計算だ。

 実際、途中で休憩をはさみながら、一行は6時間半で目的地に到着した。

 その日は野営の準備をして終了となる。

 準備の大半は、ロードトスが連れてきた少女型自動人形(オートマタ)の『桃子』が行ってくれた。


「楽な遠征だなあ」

「そりゃ、これだけ装備があればな」


 『傀儡くぐつ』のハルナータが言い、『森羅しんら』のコンダックが反応する。

 今回使っているのは10人乗りの大型風力式浮揚機(ブローフローター)なので、荷物もたっぷり積め、物資に余裕があるのだ。

 なので耐寒装備をたっぷり用意してきたため、野営が楽、というわけである。


 大型の天幕は断熱性の高い生地で作られているし、暖房の魔導具は酸素を消費しないので酸欠になりにくい。

 柔らかな床敷きと厚手の寝袋があれば、寒い夜も快適に過ごせる。

 加えて、食料も十分なので遠征というよりもレジャーでキャンプに来ている気分だ。


「緊急性のない調査行というのはいいものですね」


 これまで2度ほど遺跡の調査をしている『福音ふくいん』のアーキスタはしみじみと言った。


「そういえば、前回の調査ってどうだったんだ?」


 ロードトスが尋ね、アーキスタは照れくさそうに答えた。


「それが、見掛け倒しといいますか、中は空っぽでしたよ。……その分、雪虎スノータイガーの群れが住み着いていて苦労しましたけどね」

雪虎スノータイガーか。退治したのなら毛皮がいい稼ぎになったろう?」

「まあそうも言えますね」


 雪虎スノータイガーの毛皮は丈夫で保温性もよく、実用的である上、ローレン大陸に持っていくと、現状ではこちらでの5倍以上の値が付くのである。


 可搬式の暖炉を囲んでの談笑。夜は更けていく。

 魔獣から守る『障壁発生器(バリアプロジェクター)』もあるので、就寝中の見張りは『桃子』に任せ、全員ぐっすりと休んだのであった。


*   *   *


 調査が開始されたのは翌朝から。

 付近は平原の中に大岩が突き出ているような地形である。

 イメージとしては『カルスト』だろうか。

 日本で言えば山口県の秋吉台である。

 秋吉台は山地ど真ん中と言っていいような場所だが、ここは河口付近であることが異なっているが。


 そんな場所を一行は探索していった。


 真っ先に目に付いたもの。

 それは、古びた扉らしきものが付いた、岩でできた建物のような物であった。

 どうやら、天然の露岩を削って作った小さな家のようだ。


「これかな?」

「うむ、聞いていたものと似ているな。規模は思っていたより小さいが」

「ここからどうするかだが」

「私が調べてきます」


 立候補したのは『桃子』。ロードトスの自動人形(オートマタ)である。


「うむ、それじゃあ頼むか」

「はい」


 というわけで『桃子』は古びた扉に手を掛けた。そして……。

 桃子が渾身の力を込めると、きしみながら扉が開いていく。

 50センチほど開いたところで、桃子は手を止めた。

 開口部から中を覗き込む。


「中は……広いですが行き止まりですね」

「えっ!?」


 意外な報告に、一同呆気にとられる。

 だが、さらなる報告があった。


「テーブルと椅子の残骸があります。それから、奥の壁に何か書かれています」

「読めるかい、桃子?」

「はい。ところどころ崩れていますが……『シ*ン鉱山は採算がと*なくなったために閉山*ました』とあります」

「ふむ……『シトン鉱山は採算がとれなくなったために閉山しました』……か」


 どうやらここは鉱山の入り口か何かだったらしい、と一行は察した。


 そこで、扉をもう少し開け、全員で中に入ってみると、どうやらここは鉱山の管理室のような場所だったらしい。

 テーブルと椅子の残骸は、事務的な仕事をしていた名残りであろう。


「だけどここは鉱山の入り口じゃなさそうだな」


 ロードトスが言った。


「ここはあくまでも管理施設で、鉱山は別の所にあったんだろう」

「ですね。まあ、そんなに遠くではないと思いますが」

「探してみますか?」

「そうだな。せっかく来たんだから。それに、何が採れていたのかも知りたいし」


 というわけで、付近に鉱山の入り口だった名残りがないか、手分けして探すことにした。

 同じ氏族の者同士、2人1組で探していく。


 それほど遠くにあるはずがないと思って探していると、30分ほど後に『福音ふくいん』のアーキスタとサージェラーの2人がそれらしいものを見つけたのである。


「ここじゃないでしょうかね?」

「どれどれ」

「どこだどこだ」

「見つかったのかー?」


 アーキスタが声を上げると、付近にいたコンダックとゼダイスがすぐに反応し、次いで少し遠くにいたロードトスとハルナータもやって来た。


 そこはドーム状に盛り上がった岩の基部で、明らかに人工的に塞いだ跡が残っていた。

 とはいえ、700年という歳月のため半ば砂に埋れ、半ば草が生い茂っていて、余程気をつけていても気が付かないような状態である。

 それを見つけられたのは、アーキスタもサージェラーも魔法技術者(マギエンジニア)で、『地下探索(グランドサーチ)』が使えたからに他ならない。


「どうする? 入り口の土や岩をどけてみるか?」

「ここまできたら、やらない手はないだろう」


 全員一致で、旧鉱山を調べてみることに決まったのである。

 いつもお読みいただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] >こうしたフットワークの軽さは『北方民族』の特徴である。寿命が長いからのんびりしているということはない。 何しろ、『魔族』とのファーストコンタクトからして……。 塩「……今、せっかちって言わ…
[良い点] ノルド連邦のみなさん、すっかり協力関係出来てますねぇ。 老「仲違いなんかしてたら、種族そのものが消…」 仁「やめい#…ロードトスの大型風力式浮揚機いいなぁ。速度とか乗車定員を見てるとT◯Y…
[一言] >>半日の準備で出発 ハ「40秒で準備は出来ないんだ」 礼「私なら可能ですよ」 >>コンダックは転移魔法を使える ハ「意識が混濁して居る状態で使って・・・」 エ「『いしのなかにいる』状態に…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ