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マギクラフト・マイスター  作者: 秋ぎつね
81 新技術開発篇
3074/4346

81-15 ノルド連邦でも……

 仁がゴウとルビーナに『マギロケットエンジン』使用のノウハウを教えていた頃。

 『アヴァロン』ではアーノルトによる『魔導大戦の真実』という講義が行われていた。


 この講義は対外的に連絡されてはいるものの、急なことなので、基本的に聴講しているのは『アヴァロン』の者たちである。

 講義の出来次第で、各国から正式な考古学者・民俗学者らを呼んで、本格的な研究を行う、というのが『アヴァロン』の最高学府、『アカデミー』の考えであった。

 そして。


「いやあ、そんな裏事情があったとはね」

「当時は悲惨だったんだなあ」

「2度と繰り返してはいけないね」


 『デキソコナイ』の暗躍を伏せての説明ではあるが、これまでになかった情報が満載だったため、出席者からの評判は上々であった。

 そのため、『アカデミー』学長のセイバン・イライエ・センチが、アーノルトに打診してきた。


「アーノルト殿、来月頭に、各国の要人や学者を招いて『魔導大戦の真実』を講義していただきたいのですが」

「来月ですか?」

「そうです。各国に通達し、それぞれ聴講者を決めるのにそのくらいは掛かるでしょう」

「なるほど」

「それから、できればミツホやフソーでの聞き取り調査も行いたいと思っています」


 セイバン・イライエ・センチの言葉に、アーノルトは聞き返した。


「ええと、ミツホとかフソーというのは、ショウロ皇国の西にある国でしたね?」

「そうです。住民は魔法を使えないのですが、一部に魔法技術を使っていますので、『魔素暴走エーテル・スタンピード』の直後にどうなったか、という話は貴重だと思います」

「確かにそうですね」


 セイバンの意見にアーノルトも賛成した。


 この会話は老君も傍聴しており、そこは盲点だった、ということで独自に調査を始めたのである。


*   *   *


 同じ頃、『ノルド連邦』。

 『森羅しんら』の氏族長の家にて、検討会が行われていた。

 集まったのは各氏族のおさもしくは長老たち。つまり氏族内で大きな発言力を持った者たちだ。

 何の検討会かといえば、『魔導大戦』についてである。


 今回、仁の肝煎りで『魔導大戦』の真実が暴かれた。

 ローレン大陸の人類には秘匿しておくような内容も一部あったが、『北方民族』にはそういうものはない。

 なにせ、『デキソコナイ』から直接攻撃を受けた事実があるからだ。


「ううむ、これは素晴らしい!」


 傀儡くぐつの氏族長、ジカラートがうなった。

 その隣では傀儡くぐつ氏族の長老の一人、エンドゥスも感心している。

 彼はヘカトンケイルを操れる能力者で、今年574歳。当然、仁が『デキソコナイ』を倒したときのことを覚えている。


 福音ふくいんの氏族長、イェニエスタもまた、まとめられた『魔導大戦』の内容に感服していた。


「いやいや、さすが『森羅しんら』氏族長の奥方、シオン殿だ。かのジン殿と協力し、これだけの内容をまとめ上げてしまうとは」


 イェニエスタは今年451歳。やはり『デキソコナイ』の侵攻を体験した世代である。


「あの時は、もう終わりだと思ったものだ」

「そうだな。『天使アンギラス』まで現れた時は心底そう感じたよ」


 当時を知る者たちは皆、『デキソコナイ』の悪行に震え、仁の救援に感謝していた。


「さて、諸君」


 ここで、『森羅しんら』の氏族長、ベリアルスが口を開く。


「シオンの報告によれば、ローレン大陸では『魔導大戦』当時の遺跡を調査しているという」


 そこで言葉を切り、集まった面々を見渡し、再び口を開いた。


「我らの『ノルド連邦』内にも、もしかすると過去の施設が残っているかもしれん。それを見つけ出し、歴史的資料とし、使えるものがあったら使おうと思うのだが」

「ほう、面白い試みですな」


 ベリアルスの言葉に真っ先に反応したのはイェニエスタ。

 シオンよりも年下で(シオンは今年515歳)あるが、思慮深く物静かな性格である。


「そういえば、『シトン川』の河口付近に遺跡らしいものがあると言い伝えられていますな」


 そんな発言をしたのは傀儡くぐつ氏族の長老、エンドゥス。


 『シトン川』はノルド連邦のあるゴンドア大陸の東部やや南寄りを流れている大河である。

 そちらには集落もなく、住んでいる氏族もいない。

 極稀に『ゴンドアカリブー』や『霜降狐(しもふりぎつね)』、『岩氷ウサギ』などを求めて、狩りに行くものがいるくらいである。


「いや、実際に何か建造物の跡があったと言った者がいます」


 そう発言したのは傀儡くぐつの氏族長、ジカラート。


 近年は乗り物が発達したので、冬季でも遠征ができるようになった。

 それで、冬には真っ白な毛並みに変わり、高値で取引される『霜降狐(しもふりぎつね)』を狩りに行く者が出てきたというのだ。


「その者が言うには、石造りの建造物のようだった、と言います」

「確認はしなかったのか?」

「雪と氷に覆われていたそうですからね。それに目的は狩りであったので、まさかそんな重要案件に関するものとは夢にも思わなかったのでしょう」

「うむ、まあ、そうであろうな」


 問い詰めていたベリアルスも残念そうに頷いたのだった。


「でも、その遺跡らしい場所は、調べてみる価値がありそうね」


 シオンが発言する。


「うむ、そうだな。何かわが国に有益なモノが眠っているやもしれんし」


 ベリアルスも同意した。


「幸い、もう春が近いから、これ以上雪が増えることもなさそうですものね」

「そうだな」


 3月を迎え、ノルド連邦にも春の兆しが見え始めていた。雪解けが始まったのである。

 まだ雪も降ることがあるが、積もる量より溶ける量の方が多くなってきていた。


「『風力式浮揚機(ブローフローター)』を使えば問題なく移動できるでしょう」

「そうだな」


 引き続き、その遺跡らしき場所を調査に行くメンバーも選定していったのである。


*   *   *


 結果、第1次調査隊に選ばれたのは……。

 『傀儡くぐつ』のロードトスとハルナータ、『森羅しんら』のコンダックとゼダイス、『福音ふくいん』のアーキスタとサージェラーの計6名の技術者が選ばれた。


「準備を整え、調査に向かってくれ。隊長は、ロードトスにやってもらおう。異議はあるか?」

「ありません」

「異議なし」


 というわけで、ロードトスを隊長とした、『シトン川遺跡(仮称)調査隊』が発足したのである。

 いつもお読みいただきありがとうございます。


 都合により、9月12日(日)の

 異世界でホムンクルスになっていたのでスローライフを目指す

 は休載させていただきます。


 お知らせ:9月12日(日)は昼過ぎまで不在となります。

      その間レスできませんのでご了承ください。


 20210912 修正

(誤)仁がゴウとルビーナと共に『マギロケットエンジン』使用のノウハウを教えていた頃。

(正)仁がゴウとルビーナに『マギロケットエンジン』使用のノウハウを教えていた頃。

(誤)『デキソコナイ』の暗躍を伏せての説明ではあるが、こまでになかった情報が満載だったため

(正)『デキソコナイ』の暗躍を伏せての説明ではあるが、これまでになかった情報が満載だったため


(旧)「それから、できればミツホやフソーからの聞き込みも行いたいと思っています」

(新)「それから、できればミツホやフソーでの聞き取り調査も行いたいと思っています」

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― 新着の感想 ―
[一言] >「いやあ、そんな裏事情があったとはね」 >「当時は悲惨だったんだなあ」 >「2度と繰り返してはいけないね」 仁「……誰かと思ったら、カチェア達3人に航空研の面々まで……」 カ「ジンさんのお…
[一言] 余裕が乏しかった上に長寿な人が多いから、考古学とか無縁だったんだろうなぁ 交通手段が進歩して余裕もできたからこそ、歴史的遺物を探す事もできるわけで ジ「寒い地域だと、足の進歩は特にでかいぞ…
[良い点] アヴァロンで重要な歴史の講義が開かれている最中に、マギクラさんとこではマギロケットエンジンの講座が二人だけに行われていたという。 なんと贅沢なw エイラ「多分、ジンは既に実用化してるんだろ…
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