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マギクラフト・マイスター  作者: 秋ぎつね
80 新たな仲間篇
3043/4344

80-29 源流部

 チェルによる、『隠し扉』の正体看破。

 それは、


「これ、多分『掃除用のロッカー』です」

「なんだって……」


 その内容に、肩の力が抜けるアーノルト。

 『ハリケーン』で様子を見ていた仁もガクッと来た。


「おそらく、この中に掃除用ゴーレムも格納されていると思います」

「……チェルが言うんだからそうだろうな。でも、どうしてわかったんだ?」


「いえ、こうした施設のロッカーは得てしてこういうものなので」

「そ、そうか」

「開けるのでしたら、多分この辺にロック解除のレバーが……ああ、ありました」

 ロッカー下方の右側に、指が入るくらいの四角い穴が空いており、そこに人差し指を差し込んで中のレバーを軽く引くと、かちゃりと音がして扉が開いた。


「開きました」

「……本当に掃除用具入れだったな……しかし、ここの掃除用ゴーレムは人型か……」


 身長150センチほどの中性的な体格をしたゴーレムが2体格納されていた。

 その他にホウキ、ちりとり、モップ、布巾などの清掃用具も。


「わかった、もういい。閉めてくれ」

「はい、アーノルト様」


 チェルは『掃除用具ロッカー』を閉じ、帰り支度をする。

 といっても、散らかした工房を元に戻すだけだ。

 これはチェルのこだわりであった。


 そしてアーノルトとチェルは『コマンド1』と『ミニモグラ』を手に持って転移魔法陣を使い、地上へと戻ったのである。


*   *   *


「おかえり。ご苦労さま」

「ただいま。なかなか興味深かったよ」

「ただいま帰りました」


 仁はアーノルトたちをねぎらった後、『コマンド1』と『ミニモグラ』のメンテを行った。


「ご苦労だったな。まだ出番があるかもしれないから、ここにいてくれ」

「ハイ、ワカリマシタ」


 それが済むと船室に戻り、アーノルトたちと打ち合わせである。


「なんだか、別の施設の情報があったようだな?」

「うん。チェルによると『最終兵器の製造は、ボーダー川の源流部で行われている』……らしい」

「だいぶ北だな」

「でも、戦場からはかなり離れているから、当時の施設がそのまま残っていてもおかしくはないよ」

「そうか。……行ってみるか?」

「行こう」

「よし。……あ、その前に」

「どうしたんだい?」

「『ミニモグラ』が空けた穴を塞いでくる」


 水が入ったり小動物が潜り込んだりしないよう、仁は礼子に頼んで『岩石崩壊(コラプス)』で穴を崩壊させた後、自ら『融合(フュージョン)』で岩を一体化し、穴の後始末をしたのだった。


*   *   *


 その後、『ハリケーン』は再び空へ。

 もちろん、簡易天幕とその中の転移魔法陣は撤去している。

 蛇足ながら、仁はアーノルトたちが戻ってくる前に軽食を済ませていた。


「で、『ボーダー川の源流部』ってどこになるんだ?」

「おそらく『スホント山』と『トコナコン山』の鞍部だ」

「ええと、地図では……ああ、ここか」


 仁は壁のモニタに地図を映し出し、位置を確認した。


「すごく精密な地図だな。……空から測量したのか」

「そういうことだよ。……で、このあたりか?」


 仁は地図上を指差した。


「おそらくな。近くまで行って、また自由魔力素(エーテル)の動きを調べてもらえばわかるだろう」

「よし」


 『ハリケーン』は一路北へと飛んでいく。

 距離は200キロほど、時速400キロなら30分で到着だ。


「ああ、まだ雪が残っているな……」

 見渡す限りの銀世界である。

 この緯度、この標高だとまだ積雪期といえよう。


「だが、源流部っていうとこのあたりだな。礼子、また調べてみてくれ」

「はい」


 今回も、飛行はホープ、『魔力素探査機(エーテルレーダー)』は礼子という分担で調査を進めていく。

 そして20分が過ぎた。


「地下に自由魔力素(エーテル)反応発見」

「お、見つけたかな? 深さは?」


 今回は聞かれる前に三角測量を行っており、すぐに返答がきた。


「地表部から地下へ150メートルほどです」

「このあたりの標高は……」

「2000メートルくらいですね」

「そうか」


 雪の深さは3メートルくらいあるようで、いきなり『ハリケーン』を着陸させるのは躊躇ためらわれた。


「どうするかな……部分的に雪を溶かすか、あるいは固めるか」

「ちょっと待ってくれ、ジン」

「どうした?」

「もしかしたら、こっちの転移魔法陣は無事かもしれないぞ」

「そうか……だけどどうやって探す?」

「僕に考えがある」


 そしてアーノルトは仁にアイデアを説明した。


「近い性質の簡易魔法陣を付近で作動させるんだ。もし近くに別の簡易魔法陣があって、性質が似ていたらわずかに反応する……かもしれない」

「なるほど、魔力の共振みたいなものを使うんだな」

「そういうことになるね。さっき撤去したやつがあるだろう?」

「ああ。簡易天幕の床に描いてあるから、消してはいないよ」

「それを使って、向こうに転移してまた戻ってくればいい」

「なるほど、やってみる価値はあるな」


 そこでさっそく、『ハリケーン』の床に簡易天幕用の床を広げ、転移魔法陣の準備を行った。


「デハ、ワタシガイッテキマス」


 『コマンド1』が実験を自ら買って出た。

 『ミニモグラ』と一緒に転移すれば、万が一戻れなくても脱出してこられるだろうという理由からだ。

  実際には転送装置を内蔵しているので、120メートル程度の地下からの脱出は問題ないのだが、今のところアーノルトたちにはまだ秘密なのである。


(そろそろ打ち明けたいよなあ)


 アーノルトたちの為人ひととなりも大分わかってきたので、『仁ファミリー』に入ってもらえればな、と考えている仁なのである。


「デハ、イキマス」


 『ミニモグラ』に乗り込んだ『コマンド1』は転移魔法陣へと進入、その中心に乗った時に魔法陣が作動し、転移して消えた。

 そして10秒後に再び魔法陣の中央に現れる。


「どうだ、礼子?」

「はい、お父さま。ここから少し上流部で反応がありました」

「お、それかな? とにかく行ってみよう。ホープ、頼むぞ」

「はい、ご主人様」


 ホープは『ハリケーン』を上流部へ向けた。

 およそ2キロの地点に大岩があり、その根本に大きな割れ目があった。


「あの中かもしれないな」


 というアーノルトの推測に、仁も賛成だった。

 その付近の積雪量は1メートルほどとやや少なく、チェルが見てくると言うので『ハリケーン』の高度を下げ、地表1メートルのところで静止。

 チェルはハッチを開け、飛び降りた。

 お腹のあたりまで雪に埋まるが、問題はない。

 そのまま雪を掻き分けて大岩に到達、割れ目から中へと入っていったのだった。

 いつもお読みいただきありがとうございます。


  本日8月12日(木)は14:00に

  異世界でホムンクルスになっていたのでスローライフを目指す

  https://ncode.syosetu.com/n8402fn/

  を更新します。

  こちらも応援のほどよろしくお願いいたします。


 20210812 修正

(旧)

水が入ったり小動物が潜り込んだりしないよう、仁は『岩石崩壊(コラプス)』で穴を崩壊させた後、『融合(フュージョン)』で岩を一体化し、穴の後始末をしたのだった。

(新)

水が入ったり小動物が潜り込んだりしないよう、仁は礼子に頼んで『岩石崩壊(コラプス)』で穴を崩壊させた後、自ら『融合(フュージョン)』で岩を一体化し、穴の後始末をしたのだった。


(誤)そのまま雪を掻き分けで大岩に到達

(正)そのまま雪を掻き分けて大岩に到達


 20210813 修正

(誤)今回は聞かれる前に3角測量を行っており、すぐに返答がきた。

(正)今回は聞かれる前に三角測量を行っており、すぐに返答がきた。

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― 新着の感想 ―
[一言] ホテイアオイは水中の重金属を吸収・吸着できます…問題は重金属を吸収したホテイアオイの処理法が当時は確立されていなかったw
[気になる点]  いつもならゴーレムであっても人型とかなら仁が反応するのに完全スルーでしたが?後で落ち着いたら検証するのでしょうか?  チェルがロッカーを開けたら掃除用人型ゴーレム…タイプ000-01…
[一言] >その他にホウキ、ちりとり、モップ、布巾などの清掃用具も。 モップとか布巾って劣化してそうな。 >「『ミニモグラ』が空けた穴を塞いでくる」 あけた穴の分の土砂が周辺に転がってるはずだか…
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