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マギクラフト・マイスター  作者: 秋ぎつね
79 捜理協会篇
2986/4342

79-13 『タイタン』VS『ギガース改』

 蓬莱島から派遣された『コンドル』1と2が現場に到着した。

 『コンドル』は4つのリング状の『魔法型噴流推進機関(マギジェットエンジン)』を持ち、現代日本でいう『ドローン』のような形状をしている。

 その中心部に『タイタン』をぶら下げているのだ。


御主人様(マイロード)、このままではルトグラ周辺の畑や果樹園が踏み荒らされます』

「よし、『タイタン2』、『タイタン3』、『魔法障壁(マジックバリア)』を全身に展開。その後、降下だ」

『はい』


 『ギガース』は周囲の自由魔力素(エーテル)を集め、自分のエネルギーとする。

 それは触れた相手にも及ぶので、『魔法障壁(マジックバリア)』を展開する必要があるのだ。

 その場合、『魔力反応炉(マギリアクター)』は一時停止し、こういうときのための『魔力貯蔵庫(マナタンク)』に蓄えられた魔力素(マナ)を使用する。


『『コンドル1』、『タイタン2』リリース。『コンドル2』、『タイタン3』リリース』


 2体の超大型戦闘用ゴーレム『タイタン』は、50メートルの上空で切り離され、それぞれ『ギガース改』の頭上へと落下、いわゆる『フリーフォールキック』をお見舞いした。


 凄まじい轟音が響き、2体の『ギガース改』の上半身が粉砕された。

 その音に、避難していた人々は振り返り、迫りきていた怪物が、銀色の巨大ゴーレムに押し止められているのを目にしたのである。


「おお、あれは味方なのか!?」

「そうらしい。……頑張れー!」


 幾人かは足を止め、『タイタン』を応援する。


*   *   *


 『タイタン2』は礼子による操縦である。

 人間には耐えられない加速度や衝撃も、礼子には何の痛痒つうようも与えない。

 30メートル強の距離を落下し、『ギガース改』の頭部を粉砕しながらの両足蹴り。

 強化された『タイタン2』のボディはその衝撃に耐えたものの、『ギガース改』を構成している岩石は砕け散る。

 危なげなく着地する『タイタン2』。

 だが、『ギガース改』もまだまだ余力があるようで、周囲の岩石を集め、再生しかけていた。


「相変わらずしぶといですね」


 『ギガース』も『ギガース改』も、周辺の自由魔力素(エーテル)を利用して動作する。

 そして周囲の岩石を集め、身体を形成するのだ。


「やはり、『魔力核(コア)』を破壊する必要がありますね。……老君から、研究のために1つは確保してほしいと言われてますが、それは『タイタン3』に任せましょうか」


 だが、万が一を考慮し、『タイタン3』が『魔力核(コア)』を確保するまではこちらの『ギガース改』を破壊するのは見合わせておこうと考え、少し距離をとったのである。


*   *   *


 『タイタン3』は老君が操縦する機体である。

 その視覚センサーからの情報と、『覗き見望遠鏡(ピーパー)』による映像を利用し、広い視点での行動ができるのが強みだ。

 ちなみに、礼子の操縦する『タイタン2』はパワー重視のチューニングが、老君の『タイタン3』は精密動作重視のチューニングが施されている。

 さらに、今回出動しなかった『タイタン1』は半自律タイプで、中庸なチューニングとなっていた。


 その『タイタン3』もまた、上空からの『フリーフォールキック』を行ったあと、『ギガース改』の背後に着地した。


『ふむ。『改』といえども、周囲の様子を察知するセンサーはそれほど性能がよくなってはいないようですね』


 擬似的に形作られた関節の構造からいって、前面が優先されており、背後への攻撃手段がないのである。


御主人様(マイロード)も『ギガース改』の『魔力核(コア)』には興味を持たれると思いますから、確保しておきますか。……礼子さんにも一応頼みましたが、多分破壊を優先されるでしょうからね』


 礼子の性格を十全に理解している老君であった。

 これが仁自ら礼子に頼んだのなら、絶対に背くことはないのだが。


『では』


 フリーフォールキックを受け、大破した上半身の再生中を狙い、右拳での正拳突き。

 『ギガース改』の身長はおよそ18メートル。『タイタン』は3機とも15メートル。

 若干の体格差はあるが、動作速度とパワーは遥かに『タイタン』の方が上である。


 再生途中だった『ギガース改』の上半身が再び吹き飛んだ。

 そしてもう一撃。

 腰のあたりまで吹き飛ぶ『ギガース改』。

 その、ちょうど腰の部分に『魔力核(コア)』があった。


『『ギガース』は胸部でしたが、『改』は腰部ですか』


 老君は『タイタン3』の両手に『魔法障壁(マジックバリア)』を局所展開し、その『魔力核(コア)』を掴み取った。


 『魔力核(コア)』による制御を失い、残った下半身は瓦礫となって崩れ去る。

 そして老君の操縦する『タイタン3』は『ギガース改』の『魔力核(コア)』を確保したのであった。


*   *   *


 老君の操縦する『タイタン3』が『魔力核(コア)』を確保したことを知った礼子は、もう加減は無用と、『タイタン2』のフルパワーによる拳を『ギガース改』に叩きつけた。

 砕け散る『ギガース改』の右肩。

 もう一撃。今度は左肩が砕け散り、『ギガース改』は両腕を失う。

 痛みを感じない『ギガース改』はそれでも『タイタン2』に向かってくる……が、さらなる拳撃に、上半身が砕け散った。

 その腰部に『魔力核(コア)』があることを礼子は知っているので、再生が始まる間に破壊するべく、手刀を突き込み、『魔力核(コア)』を取り出したのである。


「確保できちゃいましたね……2個あって困るものでもないので持ち帰りましょう」


 『魔法障壁(マジックバリア)』を展開した掌で『魔力核(コア)』をしっかりと確保する『タイタン2』。

 『ギガース改』の残った下半身が崩壊するのを尻目に、『魔法障壁(マジックバリア)』を展開した掌で『魔力核(コア)』を持ち、『タイタン2』は『タイタン3』と合流した。


 そこへ、老君からシールドケースが転送されてきたので、『魔力核(コア)』を2個ともそこへ入れて封印すれば、『ギガース改』の脅威はなくなった。


*   *   *


「おお、すげー!」

「救世主だ!!」


 ルトグラ町の住民は『ギガース改』と『タイタン』の戦いを遠くから眺め、『タイタン』の勝利に快哉かいさいを叫んでいた。


 後に、この戦いは半ば伝説化して後世に伝えられていくのだが、それはまた別の話である。


*   *   *


「ご苦労だったな、礼子、老君」


 蓬莱島では、戦闘の一部始終を見ていた仁が老君と礼子をねぎらっていた。


『いえ、なんということはありませんでした、御主人様(マイロード)

『お父さま、これから帰ります』


 『タイタン』2機は『コンドル』に運ばせ、礼子は『タイタン』内蔵の『転移門(ワープゲート)』で蓬莱島へ戻ってきた。


「ただいま戻りました」

「おかえり、礼子」

「『ギガースの魔力核(コア)』は老君に任せてあります」

「ああ、それでいい。この騒動が終わらないとゆっくり解析もできないだろうしな」


 そして仁は、ユミィとヴェラ、それに『職人(スミス)』たちの様子を確認するのであった。

 いつもお読みいただきありがとうございます。


 20210616 修正

(誤)『ギガース改』の驚異はなくなった。

(正)『ギガース改』の脅威はなくなった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] フリーフォールからのタッグマッチという、ロボットプロレスとしては極めて正道な。 そして、バランスとパワーの次が、スピードでも砲撃戦でも電子戦でもなく精密動作性という辺りが、 仁らしいと言…
[一言] >フリーフォールキック タイタン2は礼子のフォースジェネレータでさらなる加速も可能w >『タイタン3』は老君が操縦する機体である。 通称、ビッグ老。 老『ビッグ老、アクション!』THE…
[一言] >>フリーフォールキック ハ「頭突きじゃないんだ」 >>確保するまでは ハ「男女男りものに?」 エ「猫のように」 >>掴み取った。 ハ「抜き手は無いんだ・・・」 エ「金色じゃないし火種で…
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