79-12 予想外
非常に回りくどい説明であったが、魔導頭脳『イザーク』は気付いてしまった。
『その『北方民族』とは『魔族』。『ノルド連邦』とは魔族の国なのか?』
「そうです、と言ったらどうしますか?」
『うぐぐぐぐぐ………………』
「『イザーク』!?」
『ががががががががgRFG&’((UV〜`P+L<>ギ”#’=0)IUJH……』
「ユミィ、何かおかしいわ」
「そうね、ヴェラ」
『Gぬ#$%U=0JざンK|〜`+L<ジふくぁ$%&’I・・・・・・』
「暴走ね、ユミィ」
「そうね、ヴェラ」
「このまま自爆でもされると厄介だと思うのよ」
「賛成するわ」
「大急ぎで自爆装置がないか探しましょう」
「ええ」
そういうわけでユミィとヴェラは魔導頭脳『イザーク』の魔力の流れを確認することにした。
だが。
「わからないわね、ユミィ」
「わからないわ、ヴェラ」
1分ほど探してみたが、一向に埒が明かないのだった。
しかし、救援がやってくる。
「ユミィ、ヴェラ、我々に任せてくれ」
「あなたたちは……『職人』さん!?」
『職人』291から300までの10体が、老君によって転送されてきたのである。
『ht&’;hjカ1%&’890=クゴ=OK+:M+*N・・・・・・』
「これは、また典型的な暴走を起こしているな」
「まずは停止させよう」
「それがいいな。『魔力素除去器』照射」
『ゲガガガガ……ガ………………』
「よし、静かになった」
「ありがとうございます、『職人』さん」
「助かりました、『職人』さん」
礼を言うユミィとヴェラ。
「礼はいい。だが、少々不用意だったな」
「……言葉もありません……」
「こんな簡単に暴走するとは思わなかったんです……」
不用意に挑発し、暴走させてしまったことを叱責され、ユミィとヴェラは少し凹んだ。
「だが、まあ、あの場合は仕方ない面もあるな。ここの魔導頭脳がここまでポンコツだとは老君でさえ予測がつかなかったのだから」
「おそらく、大戦末期の、資材もろくにない状態ででっち上げた施設なのだろう」
『職人』291と300とが意見を述べた。
「魔導頭脳……『イザーク』といったか。こいつはもう無害だ。だが……」
「なにかあったのですか?」
「あったどころではない。地上で2体の『ギガース改』が動き出したのだ」
* * *
蓬莱島で事態の進展を観察していた仁は、簡単に暴走してしまった魔導頭脳『イザーク』を見て呆れていた。
『覗き見望遠鏡』では音声は拾えなかったが、ユミィとヴェラの内蔵魔素通信機があったので、経緯は把握できた。
「……ひどすぎると思わないか、老君?」
『はい、御主人様。おそらくですが、魔導頭脳『イザーク』は、どこか故障したままなのではないかと思われます』
「自己診断機能がないのか……」
『はい。突貫工事で据え付けた……もしかすると『仮』の管理魔導頭脳だった可能性もあります』
魔導大戦末期は、どのような時代だったか、想像がつかない点も多々ある、と老君は言った。
「だが、それは後回しだな」
『はい。あの魔導頭脳『イザーク』の暴走を止めなければなりません。……どうやらユミィとヴェラには荷が重いようですね』
「そのようだな。『職人』を送り込もう」
『はい。291から300までの10体を転送します』
「任せた」
その後、仁が『覗き見望遠鏡』の画面を見ていると、到着した『職人』たちが手際よく魔導頭脳『イザーク』を停止させたのを確認した。
しかし、である。
『御主人様、地上の『ギガース改』が動き出しました』
「なに!?」
『停止していたのはひょっとして、『イザーク』がなにかしていたのでしょう』
おそらく、ごく簡単な『停止信号』を出していたのだが、その『イザーク』が停止したため、信号も止まり、『ギガース改』が動き出したものと思われた。
「その『停止信号』がどんなものかわかれば、『ギガース改』を止められるのかな?」
『はい、御主人様。その可能性は十分にあります。ですが、一旦動き出したら、停止させる信号はまた別にある可能性もあります』
そうでなければ、戦場において簡単に停止させられてしまうから、と老君は言った。
『ですからここは、『職人』たちに『停止信号』を調査させると同時に、『タイタン』で『ギガース改』を止めるのがよろしいかと』
「近くの町に被害が出る前に、か」
『はい』
「わかった。『タイタン』を出そう」
こうして、礼子操縦の『タイタン2』と老君操縦の『タイタン3』を送り出すことになった。
使用するのは輸送機『コンドル』1と2である。
もちろん、蓬莱島から飛んでいったのでは時間が掛りすぎるので、近くまで『転送機』で送り出すことになる。
到着時間については、『ギガース改』が現れた時点で準備、発進させていたということにすればいい。
当然、礼子は『タイタン2』に搭乗するので、仁のそばには『ミニ礼子』が残ることになる。
* * *
『ルトグラ砦』の南にルトグラの町がある。
そこを目指し、2体の『ギガース改』は進んでいった。
距離はおよそ5キロメートル。『ギガース改』の動作は遅いとはいえ、歩幅が大きいので時速10キロ程度は出ている。つまり30分でルトグラの町に到達する計算だ。
老君が推測したように、魔導頭脳『イザーク』からの制御信号が途絶えたからである。
その制御信号は、別に『停止信号』というわけではなく、単なる『味方』を示す識別信号であったのだが。
「お、おい、あれは、何だ!?」
迫りくる『ギガース改』に真っ先に気が付いたのは、町の外で農業を営む人々。
「ば、化け物だぁ!」
それを見た者たちは大急ぎで町へと逃げ帰った。
『ギガース改』がルトグラの町に到達するまであと10分。
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20210615 修正
(旧)
そこを目指し、2体の『ギガース改』は進んでいった。
(新)
そこを目指し、2体の『ギガース改』は進んでいった。
距離はおよそ5キロメートル。『ギガース改』の動作は遅いとはいえ、歩幅が大きいので時速10キロ程度は出ている。つまり30分でルトグラの町に到達する計算だ。
(旧)『ギガース改』がルトグラの町に到達するまであと5分。
(新)『ギガース改』がルトグラの町に到達するまであと10分。




