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マギクラフト・マイスター  作者: 秋ぎつね
76 アドリアナ記念館篇(3901年〜3902年)
2882/4354

76-29 参拝後、オノゴロ島へ

 8日朝、ゆっくりした朝食の後、エイラたち3人はロイザート観光へと出掛けていった。


「それじゃあな、ジン。いろいろありがとう」

「ジンさん、お世話になりました」

「ジン殿、いつかまた、『アヴァロン』にも来てくださいよ」

「それじゃあ、気をつけてな」


 短い別れの言葉を交わした後、3人は南東区画へと歩いていった。


「さて」


 仁は仁で、今日の予定がある。

 仁が敬愛したかつての女皇帝、ゲルハルト・ヒルデ・フォン・ルビース・ショウロ、おくりな大明慈母皇帝(たいめいじぼこうてい)』の廟へ墓参に行くのだ。

 祥月命日しょうつきめいにちは4月8日なので、今日1月8日は月命日つきめいにち、となる。

 ショウロ皇国……というより、アルスに『月命日』という考え方はないので、これは日本人である仁の考え方となる。


「ジン様、お花の用意もできています」

「ありがとう。それじゃあ、行こうか」

「はい」


 皇帝家の墓所があるのはトスモ湖畔の小さな丘陵。

 少し離れているので『ハリケーン』で向かう。


 広い浜辺に『ハリケーン』は着陸。

 前回の墓参時には留守番だったホープだが、今回はホープも含めた全員で向かう。


 天然の小さな丘に、3メートルほどの築山でおよそ1キロメートル四方を囲まれた墓所。

 一般人は参拝所までだが、関係者である仁一行は霊廟まで入ることができる。


「ようこそ、仁様、礼子様。どうぞお入りください」


 墳墓の入口を守っている、過去の仁が作った2体のゴーレム……イメージは『仁王』……が許可を出した。


「ありがとう。……こちらはダイキ・ニドーとココナ・ニドー夫妻で、俺の子孫にあたるんだ」

「承りました」


 これで、次からはダイキ・ココナ夫妻だけでも中に通してもらえるだろう。


「それに、これは『ホープ』。覚えておいてくれ」

「はい、仁様」


 同時に、ホープの紹介もしておく仁であった。


 参道は白い大理石で舗装され、左右に木と花が植えられている。

 真冬の今は、ケメリア(椿)の花が道を彩っていた。

 やがてたどり着いた白い大理石で作られた献花台に、ココナが花を供える。

 そして全員が黙礼し、手を合わせたのだった。


「ようこそお参りくださいました」


 目を開けると、過去の仁が作った墓守自動人形(オートマタ)の『菊姫』が立っていた。

 上下純白の巫女装束に身を包み、柔らかく微笑んでいる。


「菊姫、こちらはお父様の子孫、ダイキ・ニドー様とココナ様のご夫妻です」


 礼子が菊姫にダイキ・ココナ夫妻を紹介した。


「菊姫と申します、以後お見知りおきくださいませ」

「こちらこそ、よろしく」

「これは菊姫の弟に当たる『ホープ』だよ」

「そうですか。ホープ、よろしくね」

「はい、こちらこそ」


 そんな挨拶を済ませ、仁たちは来た道を戻っていく。


「ジン様、お連れくださってありがとうございました」

「この次からは簡単に中へ入れると思う。俺もそうそう来られないと思うから、命日には代わりにお参りを頼むよ」

「はい、お任せください」


*   *   *


 お参りを済ませた一行は、墓所を出、『ハリケーン』に戻る。


「今日は2人を『オノゴロ島』に案内しようと思うんだ」

「それはそれは! 楽しみですよ!」

「ええ、ええ! 是非、お願い致します!」


 2人とも大喜びであった。

 

 屋敷を管理してくれる2人への感謝を込めてのこの招待旅行である。


 ショウロ皇国と『オノゴロ島』の時差はおよそ6時間40分。蓬莱島とはマイナス5時間20分。

 つまりショウロ皇国が現在午前9時なら、蓬莱島は午後2時20分、『オノゴロ島』は午前2時20分となる。

 なのでまずは遊覧飛行をしながら『オノゴロ島』へと向かう。

 6時間ほど掛けて飛んでいけば、朝の丁度いい時刻に着けるというわけだ。

 もちろん、マリッカには話してあるので、先行して『オノゴロ島』に行ってくれている。


「ああ、いい眺めですねえ」


 この日もまずまずの天気なので、下界の眺めはいい。

 時折綿雲の間を突っ切りながら『ハリケーン』は西を目指す。


 そしてほぼ時差と同じだけの時間を掛け、『オノゴロ島』上空に到着したのである。


「あれが『オノゴロ島』ですか。空から見るのは初めてです」

「楽しみですわ」


 『ハリケーン』はホープの操縦で、ゆっくりと降下していく。

 いつもは『転移門(ワープゲート)』で来ているので、仁としても新鮮な体験であった。


*   *   *


「ようこそ、ジン様。ようこそ、ダイキさん。ようこそ、ココナさん」

「『オノゴロ島』へようこそいらっしゃいました」

「歓迎致します」


 『ハリケーン』を降りると、マリッカと、トライハルト・スザンヌのランドル夫妻が出迎えてくれた。


「お久しぶりです、ダイキさん、ココナさん」

「ご無沙汰しております」

「なかなかお伺いできなくて面目ないですよ」

「いえいえ、それはお互い様です」


「さあ、堅苦しい挨拶はそこまでにしよう。みんな『仁ファミリー』の子孫なんだから」


 ことさら明るく仁が言い放つと、トライハルト・スザンヌ夫妻とダイキ・ココナ夫妻は互いに顔を見合わせ、微笑みあったのである。


「そうですよ。さあさあ、こちらへ」

「それじゃあ……トライハルト、スザンヌ、2人をよろしく頼むよ」

「はい、お任せください、ジン様」


 ダイキ・ココナ夫妻はトライハルト・スザンヌ夫妻に任せることにする仁。

 そして仁自身は、この『オノゴロ島』でちょっとやりたいことがあったのである。


「マリッカ、少しいいか?」

「は、はい、ジンしゃま。なんでしょうか?」

「『テスタ』と少し話をしたいんだ」

「わかりました」


 『テスタ』は『オノゴロ島』の統括管理魔導頭脳である。

 マリッカの配下であるから、質問などはマリッカとともに行う方が効率がいいのだ。


*   *   *


「『テスタ』、久しぶりですね」

〈マリッカ様、お元気そうで何よりです〉

「今日は、質問があってやってきました」

〈何でしょうか? 私に答えられることでしたら、何なりと〉

「それはジンしゃ……様から聞いてください」

〈わかりました。……ジン殿、何をお知りになりたいのでしょうか?〉

「うん、『始祖(オリジン)』が君たちを作ってから……そうだな、1500年くらい前までのことを聞きたいんだが」

「どうなのでしょう、『テスタ』?」


 この質問内容はマリッカも知っている。そして彼女もまた、その答えが気になっているのだ。


〈それは……〉


 テスタの答えに仁とマリッカは耳を澄ましたのだった。

 いつもお読みいただきありがとうございます。


 20210305 修正

(旧)「あれが『オノゴロ島』ですか」

(新)「あれが『オノゴロ島』ですか。空から見るのは初めてです」

(旧)

「はじめまして、ダイキ・ニドーと申します」

「ココナ・ニドーです。以後、よろしくお願いいたします」


「さあ、堅苦しい挨拶はそこまでにしよう。みんな『仁ファミリー』の子孫なんだから」


 ことさら明るく仁が言い放つと、緊張を顔に浮かべていたダイキ・ココナ夫妻もほっと小さく息を吐き出した。


「そうですよ。さあさあ、こちらへ」

「そうだな。……トライハルト、スザンヌ、2人をよろしく頼む」

(新)

「お久しぶりです、ダイキさん、ココナさん」

「ご無沙汰しております」

「なかなかお伺いできなくて面目ないですよ」

「いえいえ、それはお互い様です」


「さあ、堅苦しい挨拶はそこまでにしよう。みんな『仁ファミリー』の子孫なんだから」


 ことさら明るく仁が言い放つと、トライハルト・スザンヌ夫妻とダイキ・ココナ夫妻は互いに顔を見合わせ、微笑みあったのである。


「そうですよ。さあさあ、こちらへ」

「それじゃあ……トライハルト、スザンヌ、2人をよろしく頼むよ」


 48-14で訪れていました orz

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― 新着の感想 ―
[一言] オノゴロ島へのアクセスは難しいですからねえ この2人の性格からして仁に頼んで連れて行ってもらうなんてしないでしょうし、いいお礼になりますなあ
[良い点] 76-29 参拝後、オノゴロ島へ 更新ありがとうございます。 [気になる点] 先日の伏線が、回収されるときが来た?! [一言] 次回の更新も、楽しみにしております。
[一言] >イメージは『仁王』 デザインには女皇帝も口を出してたり? 腐「せっかく二体一組なんだから細マッチョとゴリマッチョにして…」 仁「あーあーキコエナイ」 >〈それは……〉 テ〈細かいこと…
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