↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マギクラフト・マイスター  作者: 秋ぎつね
73 メメンタス調査篇
2783/4409

73-49 彼らにも考えてもらうことにしたが

 仁Dは『ルゥカー』に意見を述べている。


「『ポーセ』がどんな戦力を持っているか、推測しているのか?」

『はい。『鞭』『熱線系魔法攻撃』『スパイクキック』などですね』

「……それがわかっていて、対策をしないのか?」

『はい、特には。そうした武器も、『当たらなければ』いいのです』

「本気で言っているのか……」


 どこかで聞いたことがあるようなセリフに、仁Dはがっくりしたように肩を落とした。


「どうして『当たらない』と言えるんだ?」

『速いからです』

「うーん、どのくらい速いかわからないが、ちょっと見せてもらえないか?」

『わかりました』

「やっぱり模擬戦で、がいいだろうな」


 そういうわけで、3階層上にある広いホールで模擬戦を行うことにした。

 ホールの広さは直径30メートルほど。天井までの高さは7メートル。速さを十分に活かせる広さがある。


(まあ、まずは小手調べと行くか)


 『ルゥカー』側は3体全部を繰り出している。

 仁Dはまず、『職人(スミス)』101を出してみることにした。

 そして『紛い物(エラート)』たちはもちろん全員見物だ。


「この『職人(スミス)』は技術系のゴーレムだが、戦闘力が皆無というわけじゃないからな」


 そして仁Dは、適当な素材からやっつけ仕事で作った鞭を『職人(スミス)』101に持たせたのである。

 材質は青銅なので、『ルゥカー』のゴーレムの合金鋼の外装に傷をつけることはないだろうと思われた。

 もっとも、傷くらいならすぐに仁Dが直してしまうが。


「それでは、始め!」


 3対1の模擬戦が始まった。

 『ルゥカー』の万能ゴーレムは、確かに素早い動きをしていた。


「だが、単調だな」


 直線的な動きだけでは『職人(スミス)』101を翻弄することはできない。

 『職人(スミス)』101は変幻自在な動きで3体を翻弄する。


「おお」

「見ごたえがあるな」

「ジン君のゴーレムは素晴らしい」


 『職人(スミス)』101が振るう鞭は、立て続けに万能ゴーレム2体にヒットした。

 もう1体は後方にいたため、隙を見て2体の間から飛び出し、『職人(スミス)』101に剣を突きつけてきた。

 が、『職人(スミス)』101はそれを難なくかわすと、鞭を使ってゴーレムの剣を巻き取ってしまったのである。


「それまで」


 これはあくまでも模擬戦であり、壊し合いではないので、仁は終了を宣言する。


『……』

「どうだ、『ルゥカー』?」


 監視用の魔導監視眼(マジックアイ)で一部始終を見ていたはずの『ルゥカー』は、すぐに返答しなかった。

 が。


『……狭い部屋では、鞭は使いづらいはずです』


 と、負け惜しみのようなことを言い始めた。


「ふむ、一理あるかもしれんな」

「そうなると、純粋な力比べになる……のか?」

「興味深い」


 『紛い物(エラート)』たちは娯楽のように感じているようだ。


「……それじゃあ、狭い場所でもやってみよう」

『では、通路で』


 仁Dの提案に『ルゥカー』はすぐに応じた。


「わかった」


 今度は、ホールを出た通路で模擬戦である。

 『職人(スミス)』101を挟み、片側に2体、反対側に1体という布陣だ。


「では、始め!」


 仁Dの号令で再び模擬戦が始まった。

 今回は、明らかに不利な配置からの開始であったが、それをものともしない『職人(スミス)』101。


 鞭を短めに持つことで、多少先端が壁や天井をこする程度に抑えた。

 まず、1体の方に鞭を振って牽制した後、身をひるがえして2体いる側へと突進する。

 通路は狭いため、2体いても並んで迎え撃てるわけではなく、『職人(スミス)』101は短めに持った鞭を相手の剣に巻きつけ、その機能を奪った後、正面蹴りを行う。

 仮に足裏にスパイクが付いていたなら少なくないダメージを喰らうであろう。


 正面蹴りを喰らったゴーレムは吹き飛び、後方にいたゴーレムにぶつかって停止。

 ぶつかられた方のゴーレムも転倒した。


 その間に、もう一度身を翻した『職人(スミス)』101は、1体だけのゴーレムに突進。そして……。


「『水弾(ウォーターボール)』」


 野球のボールほどの水弾をぶつけたのである。


「それまで」


 再び仁Dが模擬戦をやめさせる。


「ほう」

「これは……」

「なるほどな、戦い方というものにはバリエーションがあるのだな」


 『紛い物(エラート)』たちは素直に感心している。


「どうだ? 今の『水弾(ウォーターボール)』だが、熱線魔法だったらやられているぞ」

『……仰ること、理解しました』

「それならいい。どうだ、少なくとも『鞭』と『熱線魔法』への対策は必要だろう?」

『はい』

「よし。急いで考えよう。……そうだ、『紛い物(エラート)』の皆さん、何かいい案はありませんか?」


 事ここに及び、仁Dは『紛い物(エラート)』のアイデアも聞いてみようと思ったのである。


「ふむ、興味深いな」

「ええ、そうね」

「熱線なら反射かな?」

「盾の表面の反射率を100パーセントに近づければいけそうだな」


 どうやって、という方法については触れていない。


「鞭は……わからんな」

「ええ。ああいう武器って、盾で防ぐしかないのでは?」

「あるいは物理的な結界か」


 考え方は仁たちと大差ないようだった。

 が、こういう思考実験的なものは好みのようで、『紛い物(エラート)』たちはわいわいがやがやと楽しそうに言い合っている。

 仁も、仁Dの口を通じて意見を出す。


「……鞭は、材質にもよるが、絡め取ってしまうというのはどうだろう?」


 その言葉を聞きつけた『紛い物(エラート)』たちは即反応した。


「ふむ、ジン君の意見は面白いな」

「先程は逆に剣を絡め取ったりもしていたようだが」

「鞭が絡みついたあとは、結局のところ力比べになりそうね」


「通路のように、1対1で対峙できる場所なら、3体が協力して引っ張れば勝てるかもしれないな」

『なるほど。……ジン殿、それにはどのような武器がいいでしょう?』

「『ソードブレイカー』みたいなやつかなあ」

『それは?』

「ああ、知らなかったか。……こういうやつだ」


 仁Dは、転がっている素材で模型を作ってみせることにした。


「『変形(フォーミング)』」

「おお」

「見事!」

「この形状は……」


 仁Dが作った『ソードブレイカー』の模型は、ちょっと見た目には肉厚な剣の片側がノコギリのようにギザギザしているもの。

 だが、よく見るとそのキザギザの部分はノコギリよりももっと凹凸が激しくなっている。

 つまりはその凹凸に敵の剣を受けた後にひねることで折る構造だ。

 ゆえに『ソードブレイカー』。


 鞭であってもギザギザ部分に引っ掛かりそうである。


『これはよさそうですね』


 『ルゥカー』も認めた。


「よし、あとは熱線魔法だな」


 『紛い物(エラート)』を交えた話し合いは佳境に入る。

 いつもお読みいただきありがとうございます。


  本日11月15日(日)は14:00に

  異世界でホムンクルスになっていたのでスローライフを目指す

  https://ncode.syosetu.com/n8402fn/

  を更新します。

  こちらも応援のほどよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 今日は自重が吹っ飛んでますねw ストッパーがいないw 老「自重やフラグ他はマイロードのソードブレイカーあたりでチリと化しました。」 [気になる点] 手加減された水弾で良かったですね。 感…
[良い点] 『ルゥカー』の惨敗 オエステシリーズは蓬莱島勢にコテンパンにされてたわけで、 味方になったらいきなり強くなるってこともないでしょう。 そもそも『自己進化』できるわけでもないし。 そりゃ…
[一言] >「どうだ? 今の『水弾ウォーターボール』だが、熱線魔法だったらやられているぞ」 ル『私の愛した万能ゴーレムたちは負けました。何故ですかっ!?』 ジ「厨二病だからさっ!!」もうイロイロとなっ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。