表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マギクラフト・マイスター  作者: 秋ぎつね
73 メメンタス調査篇
2779/4403

73-45 慎重に、そして時には大胆に

 『しのび部隊』8体は、2体1組になって、フロアの探索を行っていた。


 しのびいちと組んでいるのはしのび


〈うむ……ここは倉庫……というより保管庫か?〉

〈そのようですね〉


 珍しい、というほどでもないが、『通信の魔導具』『掃除の魔導具』『空調の魔導具』『浄水の魔導具』『滅菌の魔導具』などが棚に並べられていたのである。

 出来はかなりいい。

 また、製造年月日はそれほど古くなさそうである。およそ200年以内に作られたもののようだ。


〈うーん……興味深いが、取り急ぎ報告するほどではないか〉

〈そうですね〉


*   *   *


 しのびろくもまた、1つの部屋を物色し、珍しいものを見つけていた。


〈これは……剣か〉

〈アダマンタイト……いや、マギ・アダマンタイトのようだな〉

〈向こうには鞭があるぞ〉

〈つまり、ここは武器庫というわけか〉


 その武器庫には、他にも槍、メイス、棒、斧などが十数本ずつ保管されていた。


〈だが、目新しい武器はないようだ〉

〈だな〉


*   *   *


 しのびしちはちもまた、発見をしていた。


〈これは……!〉

〈ゴーレムだな〉


 戦闘用ゴーレムである。


〈……だが、停止してだいぶ経つのではないか?〉

〈うん、そうみたいだな〉


 掃除はなされているようだが、薄っすらとほこりが積もっていたり、金属部分のつやがなかったりと、長期間置かれていたことを思わせる外観であったのだ。


〈……旧型ということか?〉

〈その可能性はある〉

〈だが、危険性を測る物差しにはなるぞ〉

〈うむ、そうだな〉


 そういうわけでしちはちは内蔵魔素通信機(マナカム)を使い、他の面々に連絡をした。


〈どうした?〉

〈おお、これは!〉


 すぐに全員……さんを除く8体が一堂に会した。


〈ここにあるのはおそらく旧型と思われますが、『ポーセ』側の戦力・技術力を測る物差しとして、詳細な調査をした方がいいと思ったので呼びました〉

〈うむ、しちはちの言うとおりだ。手分けして解析を行っていこう〉

〈了解〉


〈私たちも手伝います〉

〈おお、さんではないか〉

〈はい。『魔法障壁(マジックバリア)』内へ入るゴーレムがいたので便乗して、またこちらへ入れました〉

〈そうか。これでまた全員が揃ったわけだ。よし、調査をするぞ〉


 思いがけず10体全員が揃った『しのび部隊』は、旧型とはいえ、間違いなく『ポーセ』の持ち駒である戦闘用ゴーレムの解析を始めた。


〈身長は2.2メートル。体重はおよそ250キロ、人型〉

〈……骨格は軽銀、関節部はアダマンタイト。外装は鋼鉄と軽銀の複合装甲。内側にミスリルコーティングあり〉

〈筋肉組織は金属系〉

〈視覚センサーは2個。赤外線、紫外線にも対応〉

魔力反応炉(マギリアクター)の効率は80パーセントほど。ただし大型〉

〈……おっ、両肩と腰にも魔力反応炉(マギリアクター)があるぞ。小型だが〉

〈なるほど、両手両足の取付部にある『ミティアナイト』を使う際にこの魔力反応炉(マギリアクター)もアクティブになるのだな〉


 次々に明らかになる戦闘用ゴーレムの仕様。


〈出力は……推定でランド隊の4分の1程度〉

〈魔法攻撃用と思われる端子が手の指先にあります。その数、合計8個〉

〈なるほど、母指を除く指先に1つずつか〉

〈足裏にスパイクはありません〉

〈すると、あの惨状を作り出したのはこの型ではないということだな〉


 こうして、旧型戦闘用ゴーレムのスペックが明らかになった。


〈よし、このくらいにしておこう。……今度はろくが『魔法障壁(マジックバリア)』の外に出て報告するように。同時に、見つけた武器の報告もな〉

〈はっ、了解です〉

〈……老君なら、このデータからいろいろと予測ができるはずだ〉


 そしてろくは『魔法障壁(マジックバリア)』のある下のフロアに向かい、残る8体はさらに上のフロアを目指したのである。


*   *   *


〈うん? 上のフロアへ通じる階段はあったが、障壁(バリア)が張られていないな〉

〈ここまで侵入する者がいるとは考えていないのでは?〉

〈……そうかもしれん。『始祖(オリジン)』は無駄を嫌うというからな〉


 そして彼らは階段を上へと向かった。

 次のフロアに出る、その手前でしのびいちじゅうに指示を出す。


じゅうはここで待機。我々になにかあった場合は速やかに撤退し、老君に報告せよ〉

〈了解です〉


 こうした措置を行った後、6体の『しのび部隊』は次のフロアに立ったのである。


〈ここは……〉

〈広いですね〉


 これまでのフロアは、階段から出てすぐの場所は小部屋になっていたが、ここは大ホールといえるような広い部屋だったのだ。


〈さらに慎重に行くぞ〉

〈了解〉


 そして6体は『不可視化(インビジブル)』の結界をまとい、慎重に歩を進めていく。


〈……このホール内には何もめぼしいものがないのは一目瞭然だ。が、かといって中央を突っ切るのは危険過ぎる。壁伝いに右回りで向こうに見える出口へ向かうぞ〉

〈了解です〉


 多少回り道になるわけだが、リスクを考えればこれがベターなルートである。

 そんな危険回避策が功を奏し、『しのび部隊』は何ごともなくホールを抜けることができたのである。


〈さて、いよいよ『ポーセ』の聖域に近づいたという気がするぞ〉

〈同感です〉


 ホールを出た先は、真っ直ぐに伸びる金属製の通路となっており、所々に戦闘用ゴーレムが配備されているのが見えた。


〈……我々の『不可視化(インビジブル)』がやつらのセンサーを欺けるかどうかだが〉

〈旧型の視覚センサーが赤外線にも対応していたから難しいでしょうね〉

〈とすると、新装備の出番だな〉

〈『転送装置』ですね〉


 『転送装置』は、『北方民族』が使う『転移魔法』を再現した魔導機(マギマシン)である。

 今回装備しているものは、ドアを開けずに壁の向こう側へ行くためのものであるが、別に壁がなくても転移は可能だ。


〈ここから見える突き当り。その3メートル手前でどうだろう〉


 しのびいちは仲間に相談した。

〈いいと思います〉

〈戦闘用ゴーレムとも十分距離がありますし〉


〈それでは私とがまず転移する。そして安全と判断したら、残る全員も転移してこい〉

〈わかりました〉


〈よし、よ、行くぞ〉

〈はい〉


 そして2体は消え、ほぼ同時に通路の向こう端に現れた。


〈成功だ。……そこの壁に窪みがある。そこなら全員が隠れられるだろう〉

〈では、呼びますか?〉

〈うむ〉


 そしてしのびからの呼びかけで、さんしちはちの4体も転移してきたのである。


〈……この扉の向こうが怪しいな〉


 果たして、彼らを待つものは何か……。

 いつもお読みいただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 73-45 慎重に、そして時には大胆に 更新ありがとうございます。 [気になる点] さすがに武器を潰す時間はないですね(苦笑)
[一言] 味を感じる事が出来るだけでなく、三種類の甘味をきちんと区別して感じる事が出来る、という点でも技術の高さを後々実感するかも いずれにせよ、始祖達の中には食道楽に走る者もいるかもしれませんねえ……
[一言] >生物素材部品の保存性 動力源となる各種炉などを構成する魔結晶の消耗も考えると通常の魔力を流し続けるのは問題でしょう。 でしたらそれ以外の魔力、長期間・低出力が求められる機能ですから魔法陣に…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ