73-42 運よく忍び込んだ先で見つけたものは
『ポーセ』は、『メメンタス』がある施設もしくは基地の最上階に設置されているという。
そこで『忍部隊』は、まず『メメンタス』の部屋前にある通路へと転移した。
〈さて、ここからは、以前と同様に音声ではなく内蔵魔素通信機を使うぞ〉
〈了解〉
〈……上へ向かう。階段へ向かおう〉
この階に関しては、八割方調査ができているので、階上への階段の位置はわかっている。
だが。
〈2箇所ありますが、どちらを使いますか?〉
〈うーむ……〉
〈もしかすると、片方はダミーとか、最上階まで行けないとかありそうですね〉
〈いや、一応どちらも、『魔法障壁』の張られている階までは行けることがわかっている〉
その張られている階は、おそらく目的地の3フロアくらい下と推測される。
見通すことのできない3つのフロアに何が待ち受けているのか、それはわからない。
〈まずは近い方の階段を使おう〉
〈わかりました〉
周囲を警戒しながら、『忍部隊』は階段を上っていく。
1段1段上がることはできないので、飛び上がりながら、だ。
『忍部隊』のジャンプ力は平常時で50センチ。身長の10倍を飛び上がれる。
であるから、1段が18センチ程度の階段は問題なくぴょんぴょんと飛び跳ねながら上がっていけるのだ。
階段には『エーテル発光体』が使われており、十分に明るかった。
『忍部隊』10体は音も立てずに階段を上がっていき、3分後には『魔法障壁』の前にいた。
〈さて、難しいのはここからだな〉
魔法障壁を突破したときに何事も起きないならよし。
が、蓬莱島でもそうであるように、魔法障壁を通過するものがあったならチェックを行う、あるいは警報を発するという可能性がある。
〈何かでテストできないものか……〉
ネズミのような小動物でもいればよかったのだが、あいにくとこの基地内にはそうした生き物は皆無。
〈……仕方がない。もう1つの階段を回ってみよう〉
〈了解〉
『忍部隊』は一旦階段を下り、1階層下のフロアを横切ってもう1つの階段へと向かってみた。
〈……待て〉
先頭を進んでいた『忍壱』が注意を促した。
〈……ゴーレムだ〉
何やら素材を運ぶゴーレムがいたのである。
都合のいいことに、そのゴーレムは階上を目指している。つまり『忍部隊』と同じ方向だ。
〈よし、密かに付いていくぞ〉
〈了解〉
階段を変えたのは大当たりだったようで、素材を運ぶゴーレムと出会い、その影に隠れて無事『魔法障壁』を通過。
〈うまくいったな〉
〈はい。このままゴーレムに付いていきますか?〉
〈そうだな。とりあえず、結界か障壁に出会うまでついていってみよう〉
その性質上、『魔法障壁』は基本的に、一重にまた最も外側にしか張れない。
魔力波を通さないため、それ以上外側には何もできないからだ。
もちろん対策はある。
ミスリル銀の魔導線を予め配線しておくことだ。
また、独立した障壁発生機を設置するという方法もある。
蓬莱島では両方を採用している。
それはさておき、『忍部隊』は無事に1つ目のフロアを通過し、1階層上のフロアに達した。
そこには物理障壁が張られている。
〈ゴーレムについていけば、あの物理障壁も通過できるようだが、まずはこのフロアを調べてみよう〉
〈了解〉
目的地を目指すことが最終目的であるが、途中のフロアでも情報収集も怠らないほうが後々役に立ちそうでもある。
そういうわけで『忍部隊』は辿り着いたフロアの情報を集めることにしたのであった。
* * *
〈ここは、どうやら工場のようだな〉
〈ですね〉
そのフロアにはゴーレムの部品が置かれていた。
今は生産が止まっているのであろうことは見てわかる。
〈量産工場ではないな〉
〈はい。一品生産、とまではいかないにせよ、丁寧な作りをする工場……というより大規模な工房ですね〉
〈確かにな〉
だが今は全てが停止している。
生産を担当するようなゴーレムもいない。
〈……これはチャンスかも知れないぞ〉
〈どういうことですか?〉
〈ここを調べれば、ここで作られたゴーレムの機能や性能も推測できるかもしれないということだ〉
〈なるほど〉
〈そういうわけだ、手分けして調べよう〉
〈了解〉
『忍部隊』は2体1組となってフロアの調査を開始した。
〈……これは……!〉
忍参が見つけたのは、ピンク色をした魔結晶……の欠片。
〈これは……もしかしたら『マライト』ではないか?〉
『マライト』は、外見はローズクォーツに似ており、魔結晶としての性能は良好なのだが、特定の魔力波に過剰反応するという性質がある。
特定波長の魔力波信号の増幅率が違うのである。
これを制御核に使うと暴走しやすい。
かつて『黄金の破壊姫』と呼ばれた頃のエレナの制御核には、この『マライト』が使われていた。
また、仁の子孫であるルビーナが、それと知らずにマライトを使ってゴーレムを作り、暴走させてしまったこともある。
〈まさかとは思うが、これを使ったために『ポーセ』が暴走した、ということはないだろうな?〉
今回、『魔法障壁』内に潜り込む際、『ポーセ』に気取られるのを避け、連絡用のミスリル線を障壁外に出すことをしなかった。
〈……後でまとめて報告するしかないか〉
〈そうですね〉
そして、また新たな発見が。
〈これを見てください〉
忍捌が見つけたそれは、作りかけ、もしくは失敗作なので放置された、そのように見える魔導具。
だが、問題はそこではない。
使われていた素材の一つが『ミティアナイト』だったのである。
鉱物名は『ユニバシウム』。アルスでは『エルラドライト』の名で流通している。
魔力を増幅する効果を持つ。増幅率は標準で20倍。
太陽の下では水色、人工光の下では緑色に光るのが特徴。使い方によっては殺人兵器となりうるので、国が管理し、専売になっている。
〈これを使って、何らかの魔法攻撃を増幅するのか……〉
〈それだけではなさそうです〉
忍伍もまた、『ミティアナイト』が使われた部品を見つけた。
それはゴーレムの右腕。
〈動作をブーストするのに使うのだろうか?〉
〈あり得るな〉
それには十分な『魔力素』の供給が必要だが、『始祖』縁であれば動力源は『魔力反応炉』であろうから問題ないはず。
〈全身を『ミティアナイト』で強化しているとしたら侮れないぞ〉
少なくとも『職人』と同等以上の可能性がある、と忍壱は計算した。
〈あと1つ、重要な発見があったら、なんとか『魔法障壁』を抜けて老君に連絡したほうがいいな〉
そしてそれはすぐに見つかったのである……。
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本日11月8日(日)は14:00に
異世界でホムンクルスになっていたのでスローライフを目指す
https://ncode.syosetu.com/n8402fn/
を更新します。
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お知らせ:11月8日(日)昼過ぎまで不在となります。
その間レスできませんのでご了承願います。
20201108 修正
(誤)『忍部隊』は2対1組となってフロアの調査を開始した。
(正)『忍部隊』は2体1組となってフロアの調査を開始した。
(誤)特定の魔力波に過剰反応するという背質がある。
(正)特定の魔力波に過剰反応するという性質がある。




