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マギクラフト・マイスター  作者: 秋ぎつね
73 メメンタス調査篇
2752/4397

73-18 魔導頭脳を更新したなら、その次の一手は

 『ルゥカー』新造が開始された。


「礼子、そっちを外してくれ」

「はい」

「マリッカはこれを」

「はい!」


 礼子とマリッカDを助手に、仁Dはてきぱきと作業を進めていく。

 『モースク』を新造したので、手際は更によくなっている。

 あの時と違うのは、マリッカDも手伝っているのでお目付け役がいないこと。

 もっとも、『オエステ2』にはもう1基『守備用魔導頭脳』である『プローテ』があるのも大きい。


 思考ルーチンに含まれていた、『感情過多』な欠点はなくした。

 というよりも、元の雰囲気を残しつつ、『アドリアナ式』で記述した、というのが近い。

 つまり、文字どおりの『新生』である。

 こうしたのも、短絡的に『オエステ1』に攻め込むような判断を下すようなリスクは極力なくしたかったのである。

 そのため、今回の作業には2時間を要した。


「よし、完成だ。礼子、チェックを頼む」

「はい。………………問題ありません」

「よっしゃ、再起動だ。マリッカ、頼む」

「はい! 『フォーメルスヴォート』『起動せよ(ウエイクアップ)』」


『……ありがとうございます。すっきりした気分です』


 再起動後、最初の言葉がそれであった。


「どうです、『ルゥカー』、異常はないですか?」

『はい、マリッカ様。とても調子はよいです。ジン殿、感謝します。レーコ殿もありがとう』

「それはよかった」

「どういたしまして」


 だが、これで終わりではない。

 もう1つ、『プローテ』を新造する必要があるのだ。


*   *   *


 『プローテ』の新造には1時間半を要した。

 だんだん手際もよくなってきていることと、こちらの方が規模が小さかった関係である。


 この作業をやっていて興味深かったことは、ハードウェアは『第1世代製』で、ソフトウェアあるいはファームウェアが『第2世代製』だったことだろう。

 だがそれにより、『暴走』……この場合はソフトウェアの暴走による『オエステ1』襲撃……が発生してしまったわけだが。

 ちなみに『ルゥカー』の場合はハードウェア・ソフトウェア双方での暴走と言えよう。


 新造が完了したなら、慎重なチェック後、起動である。

 これもまたマリッカDが行う。


「『ワグドモール』『起動せよ(ウエイクアップ)』」

『…………ありがとうございます、マリッカ様、ジン殿、レーコ殿』

「調子はどうですか?」

『はい、マリッカ様。とてもいい調子です。これでより一層お役に立てます』

「お願いしますね」


 こうして『オエステ2』の接収は終わった。

 ちなみに、仁Dたちが魔導頭脳を新造している間に『職人(スミス)』たちは壊れたゴーレムを全て修理し終えていた。


*   *   *


「さて、残るは『オエステ3』か」


 蓬莱島にいる仁が呟いた。

 正確には、未知の基地があるはずだが、既知の基地……では『オエステ3』が最後になる。

 仁としては、『オエステ3』に、他の基地の情報があることを期待していた。


「……まあ、期待したいよね」


 食堂に入ってきたハンナが苦笑しつつ言った。


 ちなみに、『仁ファミリー』のメンバーは、半数が一旦『ヘール』に戻っている。

 蓬莱島に残っているのはハンナ、サキ、グース、エルザ、ミーネ、マーサ、マリッカ、『長老』ターレス、ネージュ、ルージュらだ。

 ハンナやサキは『こっちの方が面白そう』という理由で。

 エルザは仁がいるから。

 マリッカはもちろん基地接収のキーパーソンだから。

 ミーネとマーサはそれぞれエルザとハンナがいるから。

 そしてターレスはマリッカのサポートで、ネージュとルージュはもちろんターレスと一緒にいることを選んだから、である。


「ん、『オエステ1』と『オエステ2』に資料が残っていなかったことからも、『オエステ3』にあるというのは期待薄」


 エルザも食堂にやってきて、正論を口にする。


「……まあそうなんだけどさ、ちょっとは期待してもいいじゃないか」

「でもまだ謎はあるからなあ。仁、『メメンタス』のことだってわかっていないだろう?」

「ああ、グースか。……そうなんだよなあ」


 今現在の謎は、『オエステ3』『メメンタス』『第1世代が作ったらしい基地と惑星管理魔導頭脳』である。

 『パンドール大陸に移住した第2世代とその基地』も気にはなるが、優先順位は落ちる。

 今は1つ1つ順番に解決していくしかない。

 その中では『オエステ3』が最もわかりやすいというわけだ。


「『オエステ3』へは『転移魔法陣』で行けるけど、最初に送り込むのはやっぱり『オエステ2』のゴーレムがいいよなあ」

「うん、おにーちゃんの言うとおりだね」

「じゃ、また、改造する?」

「いや、自律型のゴーレムに行ってもらったらどうかなあと思っているんだが」


 おそらくは『第1世代』が作った自律型ゴーレム。

 その性能を見極めてみたい、と思った仁なのである。


*   *   *


「『オエステ3』について知っていますか?」


 『オエステ2』では、マリッカが『ルゥカー』に尋ねていた。


『はい、マリッカ様。150年ほど前までは情報のやり取りがあったのですが、今は没交渉です』

「なにかあったのですか?」

『いえ、特には。ただ、向こうでなにかトラブルが生じたらしいのですが、こちらへは何も連絡はありませんでした』

「それで、それきり?」

『はい。音沙汰ありません』

「様子を見に行かなかったのですか?」

『はい。当時は、特に必要と思っておりませんでしたから』

「……」


 超個人主義の『始祖(オリジン)』なので、連絡がなければないで何も問題にしないようだ、と横で聞いている仁Dは思っていた。


「それでは、『オエステ3』の調査をしましょう」

『わかりました。ゴーレムを派遣すればいいですね?』

「そうですね。派遣するゴーレムはどうしますか?」

『はい、マリッカ様。『A』『B』と呼ばれた2体はどうでしょうか?』

「自律型ですね。いいと思います。送り出す前に一度会っておきたいのですが」

『では、そのように』


*   *   *


「あなた方が『A』『B』ですね?」

「はい、マリッカ様」

「そのとおりでございます」


 『A』『B』を呼び出したマリッカD。

 その後には仁Dと礼子が控えている。


「そちらのお嬢さんには驚かされましてございます」

「本当に『統括管理魔導頭脳』を直してしまうとは脱帽です」


 2体とも敵意はないようなので、マリッカは指示を出すことにした。


「『オエステ3』が音信不通になっています。様子を調べてきてください。無理はしないでください。必要のない戦闘もしないように」

「かしこまりました」

「仰せのままに」


 『A』『B』2体は一礼して立ち去っていった。

 そのまま『オエステ3』への転移魔法陣に乗り、転移。


 いよいよ『オエステ3』の調査開始である。

 いつもお読みいただきありがとうございます。


  本日10月15日(木)は14:00に

  異世界でホムンクルスになっていたのでスローライフを目指す

  https://ncode.syosetu.com/n8402fn/

  を更新します。

  こちらも応援のほどよろしくお願いいたします。


 20201015 修正

(旧)マリッカはもちろん基地接収のキーマン(キーウーマン?)だから。

(新)マリッカはもちろん基地接収のキーパーソンだから。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] > 思考ルーチンに含まれていた、『感情過多』な欠点はなくした。 > というよりも、元の雰囲気を残しつつ、『アドリアナ式』で記述した、というのが近い。 > つまり、文字どおりの『新生』で…
[一言] 個人主義だから気にしなかったけど、別に興味がない訳じゃないだろうから、こうして指示があれば素直に動くって所かな? 連絡が途絶えたって事はあちらも第二世代が亡くなったんだろうなあ。というか、男…
[一言] >マリッカはもちろん基地接収のキーパーソンだから。 老「認証エラー防止のため、マリッカさんの舌の神経にはタイミング良く麻痺させるナノスミスが常駐済みです」 鞠「ひどいでしゅー!」
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