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マギクラフト・マイスター  作者: 秋ぎつね
73 メメンタス調査篇
2743/4393

73-09 小競り合いの果てに、見出した道は

 礼子対警備ゴーレム。その初手は警備ゴーレムからであった。

 人間の目には見えないような速さで発射されたそれは……。


「『強制停止弾ホルター』ですか」


 礼子のメイスに弾かれた小さな弾丸が、床に転がった。

 念のため礼子は、それをメイスの先で潰す。


「それは効きませんよ」


 『識別信号』を発して作動させない上、礼子の能力ならメイスで弾くこともできるのだ。

 もちろん作動していても問題ないよう『反発させる』という対策もされている。今回は反発させるまでもなかったが。


「では、こちらも!」


 今度は礼子が、瞬足の踏み込みからメイスによるかち上げを行った。

 だが、そのメイスは空を切る。

 ……いや、メイスの中ほどから『断ち切られた』のだ。

 4本腕のゴーレムの左上の腕には、鈍く光る黒い剣が握られていた。


「なるほど、それが『単分子ブレード』ですね」


 半分になったメイスを手放した礼子は、背中の『桃花』を抜き放った。


「お父さまの技術と、そちらの技術、比べさせてもらいましょう!」


 一旦背後に跳び下がってから、再度の突進。

 左下から右上への斜め切り上げ。

 対する4本腕ゴーレムは左上から右下への斜め振り下ろし。


 『単分子ブレード』と『桃花』が激突した。


 キン、という澄んだ音を立て、剣の切っ先が床に落ちた。

 そう、『剣』の切っ先が。


「お父さまの、勝ちです」


 礼子の『桃花』は『単分子ブレード』を切り裂き、4本腕ゴーレムの2本の左腕をも斬り飛ばしていたのである。

 そして返す刀で残った2本の腕も切り落とす。


「そういえば、あなた方は脚を切るのが定番でしたね」


 とどめとばかりに4本腕ゴーレムの脚も斬り飛ばす礼子。

 これで文字どおり手も脚も出なくなったわけだ。


「済みませんが、しばらくそうしていてください」


 動けなくなった2体にそう告げて、礼子は先へ進む。

 目指すのはゴーレムが出てきた曲がり角の先だ。


 そこにはやはり扉があった。それも、『白い』扉だ。

 鋼鉄製の銀灰色をした床、壁、天井の中で、それはひどく目立っていた。


「なにかあるでしょうね……管理魔導頭脳ではなさそうですが」


 この扉の奥も、『覗き見望遠鏡(ピーパー)』では見通せなかったのである。


「……ここもロック機構は同じですね」


 格別複雑な施錠はされていなかったので、簡単に開けることができた。

 そして、開いた扉の奥には……。


「これは……」


 墓標らしきものがあった。

 礼子が墓碑銘を確認すると……。


「『ジェドエフ』『テプヘレス』『クフカエフ』『フェルヘテ』『ルサンク』『ルセネト』……『第1世代』の『始祖(オリジン)』でしょうね……」


 室内は『白い』。

 そこからしても、ここは間違いなく、『オエステ2』に関係する『始祖(オリジン)』の墓所のようだ。


「……申し訳ないことをしましたね」


 礼子を拒んだ2体のゴーレムは、ここを守っていたことになる。


「後ほど……この基地を掌握したなら、きっとお詫びに伺います」


 礼子は墓碑に向かって、仁に学んだ仕草……『合掌』を行い、一礼するときびすを返し、その部屋を後にしたのであった。


 切断されたメイスを拾い上げ、工学魔法で接続し直す礼子。

 そして動けないゴーレムにも『失礼いたしました』と声を掛け、礼子は来た道を戻っていった。


*   *   *


 十字路に戻った礼子は、最初に来た道を引き返していく。


「なかなか辿り着かせてくれませんね……」


 そして、最後のポイントは、『転移魔法陣のある部屋』。

 そう、『ふりだし』の場所である。

 そもそも、転移してきた『セルウス』を案内していった『A』『B』は、最初から間違った道へといざなったのではないかと考えたのだ。


「最初に向かった方向が、既に間違った方向であるなら……」


 正しい方向はどちらであるか、と礼子は考えた。

 今、この場から礼子が進むべき方角は2つ。

 誤った方角とは正反対にある通路と、誤った方角のすぐ隣りにある通路。2つに1つだ。

 礼子はすぐ隣の通路を選んだ。

 反対側、というのはあまりにも見え透いていたからである。


「……暗いですね」


 通路は斜め下方へ延びており、照らす『エーテル発光体(AL)』の光量は低い。

 が、礼子の目ならば全く問題はない。

 そして。


「『強制停止弾ホルター』強制作動」


 行く手を塞ぐ4本腕ゴーレムが数体いたが、それは『強制停止弾ホルター』を強制作動させることで無力化する。


「……こちらが正しい道のようですね」


 それは、進むにつれ障害……立ち塞がるゴーレムが増えてきたゆえの推測である。

 そしてついに。


「……『魔法障壁(マジックバリア)』」


 行く手に『魔法障壁(マジックバリア)』が張られていたのである。


「おそらく、この先が……それではこれを」


 ポケットからミスリル銀の被覆線を取り出す礼子。

 それを『魔法障壁(マジックバリア)』から20メートルほど離れた場所にある壁の突起に結びつけ、そのまま障壁(バリア)の内側へ。

 再び20メートルほど進んだ場所にある壁の突起に結びつける。

 これで『魔法障壁(マジックバリア)』を貫くアンテナ線を張り終えたことになる。

 言い換えると、ミスリル銀線による『穴』を結界に空けたことになるのだ。


『老君、聞こえますか?』


 試しに内蔵魔素通信機(マナカム)で蓬莱島へ連絡してみる礼子。

 返事はすぐに来た。


『聞こえますよ、礼子さん。どうやら正しいルートを見つけたようですね』

『はい。魔導頭脳はまだ発見していませんが、時間の問題でしょう』

『そう願います。実は、状況が変化しました』

『何かあったのですか?』


 含みがある老君の言葉が気になった礼子は、聞き返した。

 返ってきた説明は、思いも掛けぬもの。


『……『オエステ1』が、4本腕ゴーレムに襲撃されています』

 いつもお読みいただきありがとうございます。


 20201007 修正

(誤)試しに内蔵魔素通信機(マナカム)で蓬莱島へ連絡して見る礼子。

(正)試しに内蔵魔素通信機(マナカム)で蓬莱島へ連絡してみる礼子。

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― 新着の感想 ―
[良い点] たとえ、世界最凶を相手取り達磨になりながらも、先人の眠りを守るために戦った、と思うと。 [気になる点] ただこれ、 魔導頭脳から遠ざけて、しかも囮にした結果、なんですよねえ……。 [一言]…
[気になる点] うーん?作者さん的に相手側がオネステ1を攻めてる理由は「マリッカが欲しいから」なのか。 自分は「オネステ3」が生きていて「オネステ1」が何者かに占領されて 「オネステ2」を「セウルス他…
[一言] おおっ⁉良い展開ですね‼ ワクワクしてしまいます‼
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