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マギクラフト・マイスター  作者: 秋ぎつね
72 オエステ基地潜入篇
2733/4391

72-53 転移門設置

 驚く『モースク』を尻目に、仁Dは雑用、いや家事用ゴーレム20体を製作した。

 ベースはゴーレムメイドだ。

 こちらも、出力は本家5色ゴーレムメイドの3分の1くらいである。

 それでも『セルウス』よりは強いであろう。


 彼女らの名前は『メイデン』1〜20となった。


*   *   *


「『モースク』、この基地内は鋼鉄でできているのにサビ1つない。誰がメンテナンスしているんだ?」


 今の『オエステ1』のゴーレム事情で、ここまでの整備ができるはずがないと仁Dは質問したのだ。


『うむ、そこに気が付いたか。実は、『オエステ2』から時折整備用のゴーレムが来てくれるのだ』

「ん? それって、行き来できるルートがあるということか?」

『そうだ。専用の転移魔法陣がな』

「へえ」


 これは朗報であった。いざとなればそのルートを使って『オエステ2』に乗り込むことができる。

 だが、問題もある。『転移魔法陣』は起動に時間が掛かり、また、1度に送れる人数が少ないのだ。平時ならともかく、戦時用には向かない。

 しかも、『オエステ2』からもこちらへ来ることができるわけだ。

 もしも攻め込むとなったなら、その『転移魔法陣』は閉鎖し、専用の『転移門(ワープゲート)』を設置する必要があるな、と、仁Dは考えた。


「転移魔法陣の話が出たから相談するが、こちらへ助手ゴーレムを呼び寄せてもいいだろうか?」


 ここまで信頼を得たからには、そろそろ切り出してもいいだろうという判断である。


『うむ、いいだろう。ジン殿を見くびっていた。それは謝罪する』

「気にするな」


 と言いながらも、仁D……今現在は老君が操縦なので老君……は驚いていた。

 『始祖(オリジン)』が作った魔導頭脳が謝ったのである。

 だが、ここで焦ってはいけないと、慎重な物言いを心掛ける老君。


「では、礼子を連れてきたと同じように地上に出て、2体のゴーレムを呼んできてもいいか?」

『許可する。『セルウス』を案内に付けよう』

「ありがとう」


 許可を得たので仁Dは地上に出、『ペガサス2』からやって来ていた『職人(スミス)1』と『ランド1』を呼び寄せたのであった。

 ちなみに、『ペガサス2』で待機する『職人(スミス)』と『ランド』は交代しており、今回はナンバーが『1』の2体が担当していたのである。


 こうして『オエステ1』には、仁D、礼子、職人(スミス)1、ランド1が揃ったのである。

 同時に、『転移門(ワープゲート)』を組み立てるに必要な資材も持ち込むことができたのであった。


*   *   *


 職人(スミス)1とランド1が加わったおかげで、仁Dの作業効率は大幅に増した。

 できたばかりの技術系ゴーレム『テクト』もいるが、これまで積み重ねた知識と経験の点において、やはり蓬莱島勢に軍配が上がるのだ。


 仁Dはさっそく『オエステ1』内を再整備していく。

 大まかな作業は『テクト』に、片付けや掃除は『メイデン』に。

 そして仁Dと礼子、職人(スミス)1は不具合の出始めていた各種設備を修繕していったのである。

 同時に、多少の居住性も向上させた。


 最低限しか行われていなかった空調を修理し、水回りを完璧にし、居住性を向上させた。


「これで少しはマシになったな」

『うむ……流石であるな』


 そろそろ、例の交渉をしてもいい頃かと、仁Dは『モースク』に提案を行う。


「『モースク』、もう1つ提案がある」

『うむ、何だ?』

転移門(ワープゲート)」を設置したいのだが」

『何!? 貴殿は転移門(ワープゲート)も作れるのか?』

「もちろん」

『うむう……それを使ってどうする気だ?』

「ここからの出入りが楽になるからな。それにマリッカを招くこともできるぞ」


 この言葉は効果があったようだ。


『マリッカ……様というのは、あの『魔結晶(マギクリスタル)』の?』

「そうだ」

『うむむ……よし、小型のものであれば許可しよう』

「それは助かる」

『ただし、『転移門(ワープゲート)』の部屋には警備用ゴーレム2体を常駐させるぞ』

「それは当然だな」


 言質げんちをとったので、仁Dは早速『転移門(ワープゲート)』の設置を開始する。

 場所は、これまで資材で埋まっていた倉庫の1つ。

 続けてのゴーレム製作で、ちょうど1部屋分が空になったので整理をした結果である。

 もちろん『モースク』には許可をとってある。


「小型だからこいつでいいだろうな」


 用意したのは定員5名用のもの。蓬莱島基準でいう『小型転移門(ワープゲート)』である。

 ちなみに『中型』は馬車が送れるもの、『大型』は『ペガサス2』クラスの航空機を送れるもの。

 『超大型』になると『コンロン3』クラス、そして『超々大型』が宇宙船用となる。

 また、小さい方は、『小型』が人間、あるいはゴーレム数名用。『超小型』が人間1人用。『超々小型』は、人間だと四つん這いでないと通れないもの、となる。


 今回設置したのは『小型』だった。

 『転移門(ワープゲート)』の設置は10分で終了した。


「これでマリッカを呼べるな」


 実際に呼ぶのはマリッカDだが、『モースク』がどんな反応を見せるか、興味があった。

 そこでまず、『モースク』に準備が終わったことを知らせると、


『さすがに早いな、だが、あれが小型なのか?』


 と言われてしまったので、仁Dは大きさの分類を説明して聞かせたのだった。


*   *   *


 蓬莱島では、そうしたやり取りも記録され、分析されている。


「しかし、『モースク』の考え方はかなりアバウトなことがあるな」


 ラインハルトが呆れたように言う。

 『転移門(ワープゲート)』設置について、仁に『小型で』とだけ言い、その定義について説明しなかったあたり、論理的ではないと考えたからだ。


「ああ、それは思った」

「……」

「ターレスさん? 何か気になることでも?」


 何か言いたげな『長老』ターレスの様子を見て、仁が尋ねた。


「いや……われの考えすぎならいいのだが……」

「何がです?」

「……『モースク』がアバウトな考えをする、という理由にだ」

「わかるんですか!?」


 『長老』ターレスにき込んで尋ねたのはラインハルト。


「うむ。……これは、われが前の『主人』にお仕えしている時は『禁忌』だったのだが……」


 ターレスはゆっくりと語りだした……。

 いつもお読みいただきありがとうございます。


 本日は 異世界シルクロード(Silk Lord) も更新しております。

     https://ncode.syosetu.com/n5250en/

     お楽しみいただけましたら幸いです。


 20200926 修正

(誤)「早いな。さすがだな。だが、あれが小型なのか?」

(正)『さすがに早いな、だが、あれが小型なのか?』

(誤)また、小さい方は、『小型』が人間あるいはゴーレム数名用。

(正)また、小さい方は、『小型』が人間、あるいはゴーレム数名用。

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― 新着の感想 ―
[良い点] >「ああ、それは思った」 まあ、元々工業畑の人間で、アルス世界に統一規格って概念を持ち込んだ仁としては、 そこに真っ先に気付くのも当然ではあるのですが、 そもそも当の本人が、ちょっとがちょ…
[一言] >「……」 >「ターレスさん? 何か気になることでも?」 > > 何か言いたげな『長老』ターレスの様子を見て、仁が尋ねた。 > >「いや……吾われの考えすぎならいいのだが……」 >「何がです…
[気になる点] >>また、小さい方は、『小型』が人間数名用。『超小型』が人間1人用。 ルビミスってますよ? [一言] >>彼女らの名前は『メイデン』1〜20となった。 必殺技は内部に取り込んでの串…
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