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マギクラフト・マイスター  作者: 秋ぎつね
72 オエステ基地潜入篇
2717/4397

72-37 次の手

 蓬莱島で仁たちが防御力強化を行っていた頃、『ジョナール基地』の『統括管理魔導頭脳ジョナサン』もまた、次の手を打っていた。


『最後の通信の情報と、マリッカ様からいただいた情報を合わせて考えると、『オエステ基地』に所属するゴーレムは……』


 1.所属が異なる他者とは、情報交換すら拒絶している。

 2.そのやり方は拒絶というよりも敵対に近い。ただし、必要以上に近づいた時に限っているようである。

 3.外見はこちらの警備用ゴーレムなどと共通だが、その性能は段違いに高い。


 ……ということが推測された。


『ううむ、なかなか手強いな……だが、マリッカ様に満足していただけるような報告を行うには、もう少し情報を集めねば』


 そこで『ジョナサン』が行ったのは、さらなるゴーレムの派遣である。

 幸いというべきか、警備用に留まらず、『ジョナール基地』にあるゴーレムの数量は多かった。

 というのも、4000年の歳月を掛け、少しずつ生産して充実させてきたからである。


『……同じことを『オエステ基地』もやっていたのだろうな。しかも、こちらよりも技術者の人数が多かったからか、改良を重ねていた……』


 その推測どおりなら、同じものを作り続けてきた(作り続けるしかなかった)ジョナール基地よりも、改良を続けていたオエステ基地のゴーレムの方が性能が高いのも頷ける。


『……あのジン殿のレーコという自動人形(オートマタ)なら勝てるかもしれんが……まだ支援を要求する段階ではないな』


 そう結論し、『ジョナサン』は、10体の警備ゴーレムを送り出すことにした。

 方法は『転移魔法陣』である。

 連絡が途絶えたとはいえ、『(ウノ)』と『(ドス)』は、目的地の50キロ手前に『転移魔法陣』を設置していたのである。

 仁が聞いたなら『セーブポイントみたいだな』と言ったかもしれない。

 もっとも、実際にセーブできるわけではなく、撤退や増援の拠点となる点が違うのだが。


*   *   *


 『転移魔法陣』が設置されていたのは、大岩のひさしが張り出した下であった。

 恒久的なものではなく、数日、長くても数ヵ月維持できればよいという程度のものである。


 蛇足ながら……転移『魔法陣』は、『始祖(オリジン)』のものとはいえ『転移門(ワープゲート)』に比べ、発動に時間が掛かる。

 比較すると『転移門(ワープゲート)』は起動してから0.3秒ほどで物体を転移させられるようになるが、『転移魔法陣』は30秒ほども掛かるのだ。

 緊急時にこのタイムラグは大きい。

 とはいえ、特別な魔導装置(マギデバイス)を必要としないため。正確な魔法陣を描く知識と技術があればどこにでも設置できるのは大きな利点である。


*   *   *


『転移魔法陣より10体のゴーレムが出現。『ジョナサン』は、さらなる増援を送り込んだ模様』


 転移魔法陣を監視していた『しのび部隊』の一員『しのび』が蓬莱島に報告を入れた。


『蓬莱島了解。 ……その転移魔法陣の構成を送ってください』

しのび了解』


 老君は、この機会に『始祖(オリジン)』が使う転移魔法陣についての情報を増やしておこうと思ったのである。

 すでに知られているものに比べ、何か違いがあるのか? あるとすればなんのための違いか?

 もしかしたら、既知のものより何か優れているのではないか?

 そうした調査を行いたかったのだ。


 結果的に、何も違いはしなかったが。


 ちなみに、現地にいる『しのび部隊』、ホープ、ランド1、職人(スミス)1らは交代で蓬莱島に戻り、改造を受けている。


*   *   *


 転移魔法陣によって送り出された10体のゴーレムは、1時間と少しで目的地に到着した。

 そして現地で自律行動を許可されたのも前回と同じ。

 だが、1体だけは『ジョナサン』の制御下にあった。

 今回はその1体が『1』となり、指揮をすることになる。

 以下のゴーレムは『2』〜『10』となった。


[よし、まずは『(ウノ)』と『(ドス)』の回収だ。『10』、行け]

[はっ]


 『10』と呼ばれたゴーレムは、停止した2体のゴーレムに近付いていった。


[止まらないな?]


 それもそのはず、使われた魔導具の弾は仁が回収済みである。


[時間経過で効果が切れたのかもしれん。油断はするな、『10』よ]

[はい]


 『10』はまず、両脚が無事な『(ウノ)』を引きずってきた。

 それを『1』自らが確認する。


[何も異常はないな……]


 魔導具がないのだから、『魔法無効器(マジックキャンセラー)』と『魔力素除去器(エーテルエリミネイタ)』の効果も切れているわけだ。

 なので、単に『強制停止』させられているということになる。


[『起動せよ(ウエイクアップ)』]

〈……はい〉


 なんの問題もなく『(ウノ)』は再起動した。


[『(ウノ)』よ、報告すべきことはあるか?]

〈はい。……どういう攻撃かはわかりませんが、急激に魔力素(マナ)が減少し、停止したものと思われます〉

[なるほどな。……会話は魔導回線で行うようにせよ]

[はい]

[それでいい。……これは、この付近にあるはずの『オエステ基地』……仮称だがな……の魔導頭脳に聞かせるためだ]


 わざと盗聴させ、ここに自分たちがいることをアピールする、と『1』は説明した。


[わかりました]

[……次は『(ドス)』だ]


 今度は『(ウノ)』が『(ドス)』のところへ向かった。

 そして斬られた脚2本を抱え、『(ドス)』を引きずってくる。


 『1』はその『(ドス)』を調べていく。


[ふむ、脚を斬られた以外は何も異常はないな]


 そして『(ドス)』を再起動させると、


[『(ウノ)』、これより『11』と名乗れ。『(ドス)』は『12』だ。そして『12』は満足に動けんだろうから、『11』に転移魔法陣まで運んでもらえ]


 そして『ジョナール基地』に戻ったら修理するように、と命じたのである。


[こちらは我々に任せておけ]

[わかりました]


 そして『(ウノ)』改め『11』と、『(ドス)』改め『12』は一旦『ジョナール基地』に帰還したのだった。


*   *   *


[さて、我々は『オエステ基地』を探すぞ。もっとも、基地の者たちは自らの基地をなんと呼んでいるかは知らんがな]

[わかりました]


 そして捜索が始まった。

 今度は10体いるので、2体ずつ5組に別れ、より広い範囲を歩き回ることにした。


[残念だな、この期に及んで、これ以上の有効な方法がないというのは……]


 『1』(=ジョナサン)はぼやきながらも現地を歩き回る。

 そして『巡回するゴーレム』が現れるのを待つのであった……。

 いつもお読みいただきありがとうございます。


  本日9月10日(木)は14:00に

  異世界でホムンクルスになっていたのでスローライフを目指す

  https://ncode.syosetu.com/n8402fn/

  を更新します。

  こちらも応援のほどよろしくお願いいたします。


 20200910 修正

(誤)「はっ」

(正)[はっ]

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― 新着の感想 ―
[良い点] 72-37 次の手 更新ありがとうございます。 [気になる点] 『結果的に、何も違いはしなかったが。』 →「結果的に、何も違いはしなかったが。」は 「結果的に、何も違いはなかったが。」 …
[良い点] >結果的に、何も違いはしなかったが。 つまり今現在、こと魔法陣研究に於いては、エイラ達が時代&世界の最先端を突っ走っている、という事に。 もっとも、既に始祖達の時代で研究が頭打ちで発展が望…
[一言] 礼子ちゃんが敵の魔導具を回収してなかったら二次被害が出てたでしょうねえ ソレを見越しての10体という多めの派遣だったのかもですが
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